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2021.01.29 コラム

税務調査前に修正申告書を提出するべきか

新規の税務調査の相談を受けると、税務調査に関する情報がインターネット上にあふれていることもあり、税務調査前に修正申告書を提出した方がよいか質問する方が結構います。今回は、税務調査前に修正申告を出すことの是非についてお伝えします。また、税理士の立場でも修正申告書を提出する派と提出しない派がいますので、そのあたりについても触れます。今回は触れていませんが、修正申告書を提出した場合の是認率について別のコラムで書きましたので参考にしてください。
税務調査立会前に提出した修正申告書の是認率が100%の意味

【目次】
  1. 結論
  2. 事前に修正申告書を提出するメリット
    1. 加算税を軽減できる
    2. 重加算税を回避できる可能性が高まる
    3. ストレスが軽減される
  3. 事前に修正申告書を提出するデメリット
    1. 基本的に提出する年数は5年になる
    2. 税務調査が厳しくなる可能性がある
    3. 税理士への報酬が増加する可能性がある
  4. 税理士の視点
  5. まとめ

結論

ケースバイケースです。すみません、明確な結論をお伝え出来なくて。事前に修正申告すべきです!といった結論をお伝えした方がよいのでしょうが、どちらを選択すべきかについては、皆さんの確定申告書の内容次第であるため、下記のメリット・デメリットを考慮して判断する必要があります。

事前に修正申告書を提出するメリット

1.加算税を軽減できる

調査通知以後から税務調査前までに修正申告を提出した場合、過少申告加算税や無申告加算税を軽減できます。また、延滞税も少し軽減できます。

2.重加算税を回避できる可能性が高まる

確定申告書を見直した際に仮装隠蔽を伴う売上除外が見つかったとして、それを修正した修正申告書を税務調査前に提出した場合、その修正申告書が税務調査の対象になるため、仮装隠蔽による重加算税を回避できる可能性が高まります。詳細はこちらをご覧ください。
税務調査の立会前に修正申告を提出すれば必ず重加算税を回避できるのか

3.ストレスが軽減される

納税者からすると大事な要素のようです。税務調査では、申告誤りがたくさんあったり、重加算税の可能性がある事象が存在する場合、税務職員からの追及も厳しくなりがちです。それを事前に修正申告しておくと、追及対象が減るので、納税者によっては、気持ちがかなり楽になるようです。

事前に修正申告書を提出するデメリット

1.基本的に提出する年数は5年になる

税務職員は、まずは3年分の申告内容をチェックさせてほしいと言うため、とりあえず3年分のみ修正申告書を提出する選択肢もありますが、実際は、同じミスが4、5年前の申告にも存在する場合がほとんどです。そのため、事前に3年分の修正申告書を提出していたとしても、税務署は、追加で4、5年前の申告書も確認する可能性が高いため、予め5年分の修正申告書を提出することが一般的です。しかし、事前に修正申告書を提出しない場合、税務調査が3年で終わるケースもかなりあります。つまり、事前に修正申告書を提出しなければ、3年分しか確認されない可能性があるにも関わらず、5年分の修正申告書を提出する点が大きなデメリットです。そのため、当初提出した確定申告書を慎重に分析した上で、修正申告書提出の有無を検討する必要があります。
先ほど、事前に修正申告を提出しなければ、3年で終わるケースもかなりあるとお伝えしましたが、勿論、5年に延長される場合もあります。この件については、別のコラムでまとめていますので、参考にしてください。
税務調査の調査期間が3年から5年に延長されるケースとは

2.税務調査が厳しくなる可能性がある

事前に修正申告を提出すると、税務職員が露骨に嫌がることがあります。担当の職員に事前に修正申告書を提出した旨を伝えた際、それはやめてほしいと懇願されたこともあります(提出後に連絡しているので、やめることは無理なのですが)。嫌がる理由は簡単で、修正したミスは指摘できなくなるため、彼らの評価につながらないためです。そして、何かしら追加で指摘をしなくてはならないため(指摘事項を見つけることができないと、上司に怒られることもあるそうです)、あら捜しされる可能性が高まります。ただし、最近の傾向としては、そうでもないかな~という印象です。特に若い職員は、事前に修正申告しても、露骨に嫌がられたケースは少ない気がします。逆に、修正申告してもらって助かったといわれたこともあります。その理由は、税務署職員には件数のノルマがあり、それをこなすのが非常に大変らしく、金額の集計を税理士側でやってもらえると、税務調査に要する時間が大幅に減るからだそうです。

3.税理士への報酬が増加する可能性がある

税務調査の立会いに対する報酬は、税理士によって大きく異なります。完全に定額であれば問題ありませんが、事前の修正申告に料金が発生する場合、金額の集計・記帳等にかなり時間を要するため、結構な金額になる可能性があります。私が関与するケースでも追加料金を頂いています。我々税理士へ支払う報酬も、皆様にとっては大きな負担ですので、複数の税理士に話を聞いて、総合的に判断してください。税理士への報酬については、以下のコラムでまとめていますのでご覧ください。
税理士に税務調査の立会いを依頼する場合の料金について

事前の修正申告に対する税理士の考え

税理士のスタンスですが、国税OBの方は、事前に修正申告をしない派が多い気がします。私が懇意にしている国税OBは、事前に修正申告しない派です(絶対にしない訳ではありません)。私は特にこだわりはなく、事前の修正申告もかなりこなしています。この点も、複数の税理士に相談して頂き、判断するとよいと思います。また、どのような案件についても、事前に修正申告することを推奨する税理士については、税理士都合(報酬が増える、交渉が楽になる)の可能性もあるため、注意してください。

まとめ

このように、税務調査前の修正申告には、メリット/デメリットが存在するため、ご自身の申告書を精査した上で、するか否かの判断が必要です。しかし、その判断は非常に難しいため、税務調査に強い税理士に相談することをお勧めします。その時に、税務調査前の修正申告の是非について、必ず税理士の見解を聞きましょう。

そして、複数の税理士に相談いただいた方が良いので、是非、当税理士事務所にも相談いただければと思います。税務調査の料金などはこちらをご覧ください。広告を出していない分、価格を安く設定しています。
税務調査の料金やご利用の流れなど

 

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