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税理士はどのように選びますか
インターネットで検索すると(キーワード:「税理士 名古屋」、「税理士 長崎」等)、多くの税理士のホームページを閲覧することができます。広告を出している税理士もいらっしゃいます。しかし、当然ではありますが、税理士は皆さんが比較できるようにホームページを公開しているわけではないため、皆さんが税理士を比較分析することは難しいと思います。私自身もホームページを制作する上で、名古屋を中心に、競合となる税理士のホームページを研究しましたが、比較作業は難しかったです。そこで、今回は、私だったらこういう税理士を選ぶという視点を入れつつ、税理士の選び方を取り上げてみます。中には、以下のコラムのように顧問料を貰っているにも関わらず、何もしない税理士事務所も実際にありましたので、税理士は慎重に選んでください。
税理士事務所に顧問料払っていたのに無申告?-運送業を営む会社
申告書の作成だけお願いしたいというニーズもあると思います。そのようなケースは、基本的に価格で選ぶことになりますので、格安を謳っている税理士を探してください。例えば、「税理士 名古屋 格安」で検索すると出てくると思います。リスティング広告もあるかもしれません。ここでは、あくまで顧問契約を締結することを前提に記事を書きます。
【目次】
- 税理士を選ぶ指針
- 税理士の得意分野を確認してみる
- 価格を比較してみる
- 節税に対する税理士のスタンスを確認してみる
- 担当する人は誰ですか
- 税務調査に立ち会ってくれますか
- 私が税理士を選ぶなら
1.税理士を選ぶ指針
1.税理士の得意分野を確認してみる
税理士にも得意・不得意があります。創業融資に強い税理士、税務調査に強い税理士、事業承継に強い税理士、相続税に強い税理士、仮想通貨に強い税理士、補助金に強い税理士というように、税理士にはそれぞれ強みがありますので、税理士のホームページを確認する際は、税理士の強みと皆様のニーズが一致しているかどうかを確認してください。私の場合、「税務調査」、「無申告・期限後申告」を大きな切り口にしていますが、多くの税理士が提供する「税務顧問」では、私は以下の強みを謳っています。
- 公認会計士としての経験を生かした経営支援
- システムエンジニアとして勤務していた実績を生かしたIT化
- 銀行監査の経験を生かした資金繰りの安定化
私が懇意にしている税理士の場合、事業計画の策定支援、相続税対策を謳っていたりなど、本当に様々です。また、皆さんの業種が特殊であれば、それをキーワードに選択する方法もありです。小説家、漫画家、YouTuber、せどり、システムエンジニア、音楽家等々。実際に、業種に特化した税理士も存在します。業種に特化するという戦略は、集客方法としてよく聞くやり方です。例えば、同じ監査法人出身だと、神奈川県川崎市において、クリエイターや音楽家に特化した税理士がいますし、ネットで検索してみたら東京に水商売に特化した税理士がいました。私は業種に特化しておらず、様々な業種のクライアントが存在しますが、元々システムエンジニアでしたので、ソフトウエア会社やシステムエンジニアなどに対する理解は深いと思います。
2.価格を比較してみる
価格は大事です。価格表を出している税理士が多いので、価格表を出している税理士から選ぶとよいと思います。価格表を出していない場合、電話で確認する事になりますが、私だったら電話するのが面倒なので、対象から外してしまうと思います。
価格を検討する上での注意点をお伝えします。税務顧問料、決算料などについては、比較しやすいため問題ありませんが、会計ソフト利用料は注意する必要があります。税理士によっては、会計ソフトを指定する場合があります。そして、その会計ソフトの利用料が結構高いことも。ここで注意すべき点は、その利用料に見合った効果が、皆さんにあるか否かです(税理士にとってメリットがあるか否かではありません)。様々な機能を有しているからこそ、高いわけですが、それを使いこなせない場合にはムダ金になります。使いこなすことができる場合は、非常によい会計ソフトだと思います。私たちがメインで使用しているfreeeの場合、以下の値段となりますので、この価格を1つの指針としてもよいと思います。
記帳代行を依頼された場合、私たちはfreeeを使用しますが、事業用の通帳及びクレジットカードをfreeeに登録して頂くことを前提に会計ソフト利用料は0円です。記帳代行を依頼されない場合、会計ソフトの指定はないため、クライアントに好きなものを選択してもらっています。
3.節税に対する税理士のスタンスを確認してみる
ここで取り上げる節税は、小規模共済、セーフティー共済、ふるさと納税といった節税ではありません。これらの節税は、税理士が顧問先に合わせて当然に提案すべきものだからです。ここで取り上げるのは、経費に対するスタンスです。税務調査の実務では、ある取引が売上にあたるか否かで税務署ともめることはあまりないのですが(売上除外が仮装隠蔽にあたるか否かではよくもめます)、経費にあたるか否かについては、非常にもめます。なぜなら、経費にはグレーゾーンが存在するためです。つまり、同じ事象でも、A社では経費として認められ、B社では経費として認められないという事は普通にあります。このグレーゾーンに対する見解が、税理士によって全く異なるため、その点は注意してください。では、税理士のスタンスをどのように確認するかですが、税理士と面談をする際に、皆様の事業で発生する経費(微妙なものも含む)のリストを持っていき、それらが経費として処理できるか否か聞いてみるとよいと思います。間違いなく、税理士によってその答えは異なります。勿論、明らかに経費ではないものはすべての税理士はダメと言います。なぜならそれは脱税ですので。節税と脱税の違いはしっかりとご認識ください。脱税は本当にダメです。
少し話がそれますが、税務調査にて是認通知を受け取った件数をアピールする税理士もいるかもしれません。しかし、その事実だけで納税者にメリットがあるとは必ずしもいえません。なぜならば、グレーゾーンの経費は全く計上せずに確実に経費として認めれるものしか経費として処理していない可能性があるためです。従って、是認通知の件数だけでは判断せずに、先ほどお伝えした経費についてのスタンスをしっかりと確認する必要があります。
※:是認通知とは、税務調査において税金の申告漏れがないと認められた際に送付される通知のことを差します。
4.担当する人は税理士ですか税理士補助ですか
担当者が税理士一人の場合、その税理士が担当になりますが、規模の大きい税理士事務所や税理士法人の場合、税理士ではなく、税理士資格を持っていないスタッフが担当につくことも多々あります。そのため、面談に行った際は、その時面談を担当した人が担当になってくれるのか、税理士が担当になってくれるのかについて確認しましょう。結局、人と人とのつながりで仕事をする以上、嫌な奴とは仕事したくないですよね。しかも、それなりの報酬を払うわけですから、その点はしっかりと要求してよいと思います。税理士補助だから悪いという訳ではありません。通常、税理士補助が主担当であったとしても、税理士がしっかりとチェックしています。実質的に税理士が全くチェックしていない事務所もあるかもしれませんが、それを外部から知る由はないので、そこは運ですね。
5.税務調査に立ち会ってくれますか
税務調査の相談を受けていると、顧問税理士がいるにも関わらず、相談にくる方がいます。その理由は大きく2つあって、顧問税理士が頼りないケースと、そもそも顧問税理士が立ち会ってくれないケースです。前者は理解できるのですが、後者は意味が分かりません。あまりないとは思いますが、念のために、税務調査が来た場合は、皆様の事業を理解している税理士が立ち会ってくれるか否か確認しておきましょう。税務調査の経験数も聞いてみるとよいかもしれません。
2.私が税理士を選ぶなら
最後に、私が税理士を選ぶとしたら、以下の点を重視します。
- 節税をしっかりとやってくれること ⇒ 適正な納税をしたい
- 経営の相談ができること ⇒ 適時・適切に第3者の意見を聞きたい
- 記帳代行を依頼できること ⇒ お金を生み出さない作業は外注したい
- 年齢が近いこと ⇒ 一緒に成長したい、話も合いそう
- 先生オーラを出していないこと ⇒ 相談しやすそうな人がいい
という感じです。これが満たされれば、ある程度お金払います。また、顧問契約を締結すると、税理士は何をやってくれるのかについてもご紹介していますので、参考にしてください。
税務顧問契約を締結すると、税理士はどこまでやってくれるの?