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税務調査立会前に提出した修正申告書の是認率が100%の意味
以前のコラムで、税務調査前に修正申告書を提出する是非についてお伝えしました。そこでは、修正申告書を提出するメリットとデメリットを比較した上で判断する必要があるものの、その判断はとても難しいので、税務調査に強い税理士に相談した方がよいでしょうというのが結論でした。今回は、修正申告書の是認率という点に絞ってお伝えします。
【目次】
- 申告書の是認とは
- 是認率100%は本当に良いの?
- 確実に経費にできるものしか申告していない?
- グレーゾーンを攻めないなら税理士は不要
- 本当に交渉ができる税理士か確認する方法
- まとめ
1.申告書の是認とは
税務調査において申告書に問題がなかった場合に、税務署は当該申告書を是認します。この場合、税務署は「更正決定等をすべきと認められない旨の通知書」を税務調査の対象であった納税者に通知します。つまり、税務調査の連絡があった後、急いで税理士に依頼し、立会前に修正申告書を提出した結果、その申告書の是認率が100%ということは、その税理士に任せれば、必ず税務調査立会で指摘を受けることはないことを意味します。
2.是認率100%は本当に良いの?
常に指摘を受けさせない税理士ってとても素晴らしく感じませんか?税務調査に慣れていなければ、私もそう思ったと思います。でも必ずしもそうとも言い切れない点をお伝えします。
1.確実に経費にできるものしか申告していない?
正直に言うと、納税者が納得することが大前提ですが、税理士が関与すれば、是認率100%事態はそれほど難しくありません。理由は簡単で、誰が見ても確実に経費処理できるものだけを申告すれば、税務署もそれを覆すことができないためです。ただそれでいいんですか?という事です。別のコラムでもお伝えしましたが、経費にはグレーゾーンというものが存在します。このグレーゾーンは、税理士によっても税務署の調査官によっても見解が異なります。このグレーゾーンをしっかりと交渉して経費として認めてもらうのが、いわゆる税務調査に強い税理士だと私は理解しています。私が師事した国税OBはその交渉がめちゃくちゃ上手でしたし、私が懇意にしている税務調査に強い税理士は、全員そのようなスタンスで税務署や国税局と交渉しています。
2.グレーゾーンを攻めないなら税理士は不要
納税者が、修正申告書を作成する事ができなければ、税理士に依頼せざるを得ないかもしれません。しかし、作成できるのであれば、グレーゾーンを全く考慮しない税理士に修正申告書の作成をお願いするのはお金の無駄です。勿論、グレーゾーンすべてを経費処理にするという訳ではなく、経費処理できるしっかりとした理屈があることが大前提です。事前に修正申告書を提出する場合には過去5年分提出するので、税理士報酬はかなり高額になると思いますし。
3.本当に交渉ができる税理士か確認する方法
納税者の状況にもよりますが、修正申告書を事前に提出すこと自体は問題ありません。税理士が事前に修正申告書を提出した方が良いと判断したのであれば、きっとそうなんだと思います。実際に、私たちも事前に修正申告書を提出することは普通にあります。しかし、税理士によっては、過度に保守的な申告書を作成されるリスクがあるので、例えば以下のような質問を投げかけてみてください。
1.事前に修正申告書を提出した方がよい理由は何か
2.認めてもらいたい経費を予めリストしておき、それが経費処理可能か
3.一人だけでなく複数の税理士に同じ質問をする
税務署と交渉できるだけの理屈をしっかりと構築した上で、グレーゾーンの経費を反映した修正申告書を提出し、それにも関わらず是認率100%を勝ち取っているのであれば、その税理士に依頼しましょう。めちゃくちゃ凄い税理士だと思います。
3.まとめ
私も立会前に修正申告書を提出することはありますが、是認率100%という訳ではありません。売上で指摘を受けることはありませんが(納税者が現金取引を誤って報告しなかったり、隠蔽した場合を除く)、他で実を取るために、グレーゾーンのある経費についてこちらが折れることもあるためです。また、私が納税者からヒアリングした内容が、調査官の調査結果(反面調査等)と違っていた場合もあります。グレーゾーンの一部で否認されたとしても、是認される金額が大きいので、グレーゾーンを全く攻めないよりも、最終的に支払う税金はかなり減らせることができます。
税務調査の立会いに関するリスティング広告を出している税理士が本当に増えました。愛知県の場合、全国展開している事務所を含め、リスティング広告を出している税理士が3~4社ほどあったのですが、今年1社増えましたし、東京などの関東圏はますます増えているようです。東京の税理士がライバルが増えて大変だと言っていました。当税理士事務所は、リスティング広告を出していませんので、google検索順位では上位にきても他社のリスティング広告に埋もれる可能性が高く、相対的に相談が来る頻度は少ないです。しかし、広告費が発生しない分だけ報酬を安く設定しています。例えば、国際税務(移転価格税制など)といった難易度の高い案件を除けば、当税理士事務所を含め、皆さんがリスティング広告などで目にする税務調査に慣れている税理士との間に大きな差異はないので、複数の税理士に相談することを是非お勧めします。当税理士事務所の初回面談は無料ですので、その無料相談で可能な限りのアドバイス等を行います。