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無申告がバレると本当にきつい
今年に入って一番多い新規の相談は、無申告・期限後申告の相談です。6~7割を占めると思います。そして今年受注した案件については、既に5年分の申告を終えています。既存顧問先の確定申告と同時進行なのでとても大変でした。これまで相当数の無申告・期限後申告のサポートをしてきましたが、改めて思ったことを今回はお伝えします。
【目次】
- 無申告を解消したきっかけ
- 無申告がバレると厳しい理由
- 令和4年度税制改正の影響
- 分割納税も大変
- まとめ
1.無申告を解消したきっかけ
以前のコラムでも無申告・期限後申告のきっかけについてお伝えしました。
今年関わった案件のきっかけについて一部をお伝えすると、今までよくわからず無申告の状態が続いていたが、仕事がらみで確定申告書の提出が求められたことで税理士に相談にきた方、無申告が取り締まられるニュースをみて自分も申告しないといけないのでは?と不安になって税理士に相談にきた方などです。
今回の件を含めこれまで関与した無申告の方をみていくと(今は顧問先なので適切に納税しています)、税金について無知だったが故に無申告の状態が継続し、何かしらのきっかけでその状態が解消されるパターンが多いです(一番多いのは税務調査がきっかけですが)。話をするとみんな真面目な感じですし、意図的に無申告だった方は少ない気がします。真実はわかりませんが。
当税理士事務所の場合、無申告・期限後申告については今後顧問契約を締結することを前提にサポートしているので、とりあえず今回だけ無申告を解消してほしい!といった脱税志向の強い方はそもそも当事務所に連絡してこない可能性も高いです。脱税志向の強い方とは関わりたくないので、予めそのようにハードルを設けています。
2.無申告がバレると厳しい理由
無申告を解消する場合、原則として過去5年分の確定申告書を提出します。個人事業主の場合、所得税、市県民税、国民健康保険、個人事業税について5年分払わなければなりません。売上の規模によっては消費税も支払う必要があります。当税理士事務所が無申告・期限後申告のサポートをおこない、現在は顧問先として関わっている方たちをみていると、税金の支払いで苦労している方が一定数いるのが現実です。因みに、一括で支払う事ができた猛者は感覚的には10%程度でしょうか。
売上規模が5,6百万円規模の方であっても、納税額が3~4百万円規模になることは普通にあり得ます。そして、自発的に期限後申告をせずに税務調査に入られてしまったら、無申告加算税の適用税率もかなり違ってくるため、その負担もばかになりません。自発的に申告した方が絶対にいいです。
1.令和4年度税制改正の影響
そして、今後は無申告はより厳しくなります。これは確実です。それは令和4年度税制改正で明確になりました。2点あるのですが、それぞれ説明したコラムがありますのでご覧ください。特に重加算税・無申告の場合に簿外経費を認めない!というのは本当に厳しいです。税務調査で交渉の余地が狭まりますので。今後は無申告はリスクでしかないと思います。
令和4年度税制改正。重加算税、無申告の場合には簿外経費は認めない!
2.分割納税も大変
無申告の場合は、納税額も多額になりますし、貯金をしていない事も多いので、基本的には分割納税することになります。その場合、国税や自治体に分割納税の相談をするのですが、これがまた大変です。国税の徴収部門は納税者の状況を加味してくれることも多いのですが、自治体は本当に厳しいです。約束通りに支払っていても、担当者が変更になった瞬間に一括で払え!と方針転換することもあります。私の顧問先もそれをやられてトラブルになりました。大前提として、納税していない方が悪いのですが、なかなか厳しいです。
払えなければ、取引先から直接回収することも当然にあり得ます。ここまでやられてしまうと事業継続も困難になるため、顧問先には、以下の事は必ず守るように伝えています。これは最低条件です。
- 国税や自治体と約束した金額は必ず払うこと
- 払えそうにない場合は、事前に必ず国税等に相談に行くこと
3.まとめ
令和4年度の税制改正や、来年始まるインボイス制度により、無申告の包囲網は確実に狭まっています。ネットで調べると、無申告が10年以上バレなかった!といった情報もあふれています。そして、それは事実なのでしょう。しかしながら、昔と比べれば、バレる可能性は高くなっているのは明らかなので、意図的に無申告を選択する戦略(悪い人)は、費用対効果の面で割が悪いというのが私の見解です。税理士の立場として、無申告は当然ダメとしか言えませんが、意図的に無申告の方に対しては、戦略的にも良くないよとお伝えしたいです。
当税理士事務所のスタンスとして、脱税志向の強い方とは関わりませんが(どの税理士も同じです)、今後適正に納税することを大前提として無申告・期限後申告のサポートは積極的に引き受けていますし、料金も広告にお金をかけていない分、申告料金を安く設定していますので、無申告を解消したいと思いの方は是非ご連絡ください。