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2021.12.24 コラム

令和4年度税制改正。重加算税、無申告の場合には簿外経費は認めない!

別のコラムで、令和4年度税制改正大綱が公開されたことをお伝えしました。今回は前回お伝えした税制改正よりもインパクトが大きい事項についてお伝えします。無申告の方は、インボイス制度によって期限後申告せざるを得なくなることをお伝えしてきましたが、今回の改正によって、その前から無申告を解消することも検討せざるを得ません。そもそも無申告はすぐに解消すべきですが。

前回お伝えした加算税に関する税制改正についてはこちらをご覧ください。

令和4年度税制改正。悪質な納税者には加算税をより課す!

【目次】
  1. 税務調査の簿外経費に関する現在の実務
  2. 令和4年度税制改正の概要
  3. まとめ

1.税務調査の簿外経費に関する現在の実務

現在、簿外経費については、絶対に認められるわけではありませんが、明確な証拠が無い場合でも一定程度認められることも多いです。いわゆる推計課税です。私がこれまで立ち会った税務調査や相談で考えると例えば以下のようなケースです。

1.ある通帳の売上を全部除外していたケース

建設業の個人事業主で、無予告で調査にきたケースです。1つの通帳に入金された売上を全て除外し、かつ関連する経費についても計上していませんでした。重加算税が課される可能性が極めて高い案件です。建設業で無予告調査という事は、飲食業といった業種特性で無予告調査にきたというより、何かしら不正を掴んでいる可能性が高い。

この税務調査では、売上は当然にバレているので、問答無用に追加で売上計上するのですが、関連する経費をどうするかが問題になります。例えば、1億円の仕事を受注したとして、それを1個人で請け負う事は当然に不可能です。外注費、材料費、その他諸々の経費が必要であることは間違いありません。このように明らかに必要経費があると推測される場合、証拠が無くても一定程度は経費として認めてくれることが多いです。勿論、頑張って証拠をかき集めたり、税務署側が反面調査で証拠を入手したりした上でも、明らかに足りない部分についてですが。

その結果、重加算税を課せられるものの、全く経費を認めてもらえず、売上=利益という前提で課税されることは避けられます。しかし、消費税については、仕入税額控除の要件を満たしていないため、多額の追徴課税は避けられませんが。

2.無申告のケース

無申告の方は、経費に関するレシートや領収書などが全く残っていないケースが散見されます。私が立ち会う無申告の税務調査の2,3割は、ほぼ経費の資料がないです。このようなケースでも、税務署が業種の経費率を利用して一定額の経費を認めてくれるケースが多いです。この経費率の算定は、色々な方法があるので、税務調査に強い税理士に立ち会ってもらう事をお勧めします。税理士が立ち会っていないと、税務調査が提示する経費率を使用せざるを得ないので。

2.令和4年度税制改正の概要

今回の税制改正でどのように状況が変わるのでしょうか。自民党のホームページを要約すると以下の通りです。

仮装隠蔽行為を伴い確定申告書を提出した場合、又は確定申告書を提出していない場合については、その事業年度の売上原価(資産の販売又は譲渡等に直接要する一定の費用等を除く)及び費用について、次の場合を除き、必要経費として損金算入を認めてくれなくなります。

  1. 保存する帳簿書類等により、売上原価又は費用の額等の基因となる取引が行われたこと及びその額が明らかである場合
  2. 売上原価又は費用の額等の基因となる取引の相手が明らかであり、取引が行われたことが明らか又は推測される場合で、税務署による反面調査でその取引があったと認められる場合

令和5年1月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

つまり、これまでは重加算税が課されようが無申告であろうが、同業他社の経費率を使用して一定額の経費を認めてもらえていたものが、重加算税が課される案件及び無申告の案件については、証拠が無い限り、経費として認めてもらえなくなる可能性が高まります。

数多くの税務調査に立会いをしてきた経験からすると、相当影響のある税制改正です。消費税は仕入税額控除という明確なルールが規定されているため、消費税の追徴課税は大きくなりがちでしたが、法人税や所得税は推計課税によって救われることも多かったです。それが認められにくくなるので、無申告の方は早めに対応することを本当にお勧めします。

3.まとめ

先ほどの例で考えてみます。

1.売上を全部除外したケース

除外した売上が追加計上され、かつ関連する経費も証拠が無ければ認められないことになります。しかも重加算税という重すぎるペナルティも頂戴する訳です。正しく申告していれば、売上から経費を差し引いた金額に対して税金が課されたのに、売上に対して税金が課されて、しかも重加算税と延滞税が課されることになります。この案件の場合、会社だろうが個人事業主だろうが潰れる可能性が高いでしょう。しかも税金は一生付きまといます。

2.無申告のケース

無申告の場合は得てして経費に関する資料が残っていません。今回の税制改正が適用されると、業種の経費率を使用した推計課税が認められにくくなるので、ほぼ売上に対して税金が課される可能性も否定できません。しかも無申告加算税は今回の税制改正で10%アップです。ただでさえ無申告案件は過去5年分なので税額が増えがちですが、こちらも立ち直れないくらいの税額になる可能性は否定できません。

最近の税務調査の傾向として、重加算税は昔から厳しかったのですが無申告も相当厳しくなっています。これまでは無申告最強説もありましたが(数十年無申告の方もいるのでしょうし)、今回の税制改正が適用されて以降は、そうじゃないよねと私は思います。という事で、無申告は早めに解消した方が良いので、是非、期限後申告に慣れた税理士に相談してください。当税理士事務所は、顧問契約を締結して頂くことを前提に期限後申告の料金を安く設定しています。最初の相談は無料ですので、是非ご相談ください。東海地区以外の方も受け付けています。

無申告・期限後申告の料金やご利用の流れ等

 

 

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