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2021.12.23 コラム

令和4年度税制改正。悪質な納税者には加算税をより課す!

12月10日、自民党ホームページにおいて令和4年度税制改正大綱が公開されました。内容については、それぞれの大規模税理士法人のホームページにて速報版が公開されていますので、そちらをご確認いただければと思います。当税理士事務所は、速報版をまとめるような労力はないので、気になった箇所に絞ってお伝えします。今回は、過少申告加算税等の加重措置についてお伝えします。

【目次】
  1. 過少申告加算税等の現状
  2. 令和4年度税制改正の概要
  3. まとめ

1.過少申告加算税等の現状

税務調査に選定された結果、無申告の方については無申告加算税、申告済みの方で何かしらの指摘を受けた場合については過少申告加算税が課されます。そのペナルティを整理すると以下の通りです。正当な理由がある場合などについては、不適用であったりペナルティの軽減がありますが、その辺りの説明は割愛しています。

名称 課税要件 ペナルティ
過少申告加算税  期限内申告をしていて、その申告に対して修正申告等をする場合  10%
 15%(50万円超の部分)
無申告加算税  税務調査の結果として、期限後申告をした場合  15%
 20%(50万円超の部分)
重加算税  仮装又は隠蔽が発覚した場合  35%(過少申告の場合)
 40%(無申告の場合)

重加算税は本当に厳しいことがわかります。悪いことをした人には強く罰するということであり、ペナルティを多額にすることは全く問題ありませんが、本来重加算税を課すべき案件ではなかったとしても、税務署は重加算税を課そうとするので、その点は本当に注意が必要です。

2.令和4年度税制改正の概要

今回の税制改正により、帳簿の提出がない場合等について、過少申告加算税等の加重措置が整備されました。具体的には以下の通りです。

要件 加算されるペナルティ
 帳簿を提示又は提出しなかった場合  +10%
 収入金額の記載が著しく不十分である場合 ※1  +10%
 収入金額の記載が不十分である場合 ※2  +5%
 上記以外  加算なし
 納税者の責めに帰すべき事由がない場合  加算なし

※1:収入金額の2分の1以上が記載されていない場合
※2:収入金額の3分の1以上が記載されていない場合

この税制改正の適用は、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する場合です。

1.無申告の方が税務調査に来た場合

無申告の場合、そもそも収入金額を申告していないので、100%収入金額を記載していない事と同じでり、+10%加算されます。従って、「無申告加算税(15%or20%)+10%」のペナルティを支払わなければなりません。

2.申告した売上金額が真実から大きく異なる場合

真実売上2,000万円、申告売上900万円の場合、真実の2分の1以上が記載されていないため、10%加算されます。従って、「過少申告加算税(10%or15%)+10%」のペナルティを支払わなければなりません。

3.申告した売上金額が真実からそこそこ異なる場合

真実売上2,000万円、申告売上1,200万円の場合、真実の3分の1以上が記載されていないため、5%加算されます。従って、「過少申告加算税(10%or15%)+5%」のペナルティを支払わなければなりません。

4.申告した売上金額が真実とそれほど相違しない場合

真実売上2,000万円、申告売上1,800万円の場合、真実の3分の2以上が記載されているため、加算の対象外です。従って、「過少申告加算税(10%or15%)」というこれまで通りのペナルティを支払うことになります。

3.まとめ

今回の取り上げた税制改正は収入金額が要件なので、プライベート支出を盛りだくさんで経費積み増しという事例については、ペナルティの加算はありません。だからと言ってプライベート支出を加算しても問題ないですよという事では一切ありませんが、理屈をしっかりと構築した上で経費のグレーゾーンを攻める事業者にとっては、今回の改正は影響ありませんので、これまで通りしっかりとグレーゾーン経費を攻めてください。

まともに申告している限り、収入金額の3の分の1もずれることはあり得ません。従って、テキトーな申告をしている方限定で影響のある税制改正です。そういう意味では、とても良い税制改正だと私は思います。

 

 

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