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接待飲食費の金額上限が5,000円から10,000円へ
令和6年度の税制改正で税理士、経理を担当されている方、自治体の担当者などを賑わせているのが、所得税と個人住民税の定額減税でしょう。自治体や国税の担当者からは聞いていませんが、少なくとも税理士や経理担当の間ではとにかく評判が悪いです。この政策に振り回された人たちはずっと言い続けると思いますよ、ひどい政策だったと。
勿論、令和6年度の税制改正すべてが悪いわけではなく、今回取り上げる交際費等の損金不算入制度の見直し・延長は、個人的にはとても良い政策だと思っています。そこで今回は、この令和6年度税制改正の1つである接待飲食費についてまとめました。
【目次】
- 交際費とは
- 少額飲食費とは
- 社内飲食費に該当しないこと
- 一人当たりの飲食費の金額が1万円以下であること
- 法令で定める書類を保管していること
- まとめ
1.交際費とは
交際費の定義は、国税庁のHPに掲載されています。
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいいます。
これだけみてもよくわかりませんが、交際費(特に飲食費)の基本的な部分や当税理士事務所の考え方をまとめていますので、参考にしてください。
2.少額飲食費とは
次に本コラムの本題である少額飲食費についてです。上記のコラムに記載している通り、損金算入できる交際費は制限されています。そこで交際費に該当しないように福利厚生費や少額飲食費をうまく活用する必要があるのですが、福利厚生費については別のコラムで取り上げていますので、今回は少額飲食費についてご説明します。
少額飲食費として認められるためには以下の要件をすべて満たす必要があります。
1.社内飲食費に該当しないこと
社内飲食費とは、「専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するもの」と国税庁HPに明記されています。この社内飲食費は除くとされていますので、社外の人と飲食した場合が少額飲食費に該当することになります。
2.一人当たりの飲食費の金額が1万円以下であること
令和6年度の税制改正で改正された箇所です。今まで5千円以下が要件でしたが、今回から1万円に引き上げられています。この金額基準の判定は、法人の適用している消費税等の経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)により算定した価額により行いますので、税抜経理方式の方がより範囲を広げることが可能です。
3.法令で定める書類を保管していること
- 飲食等をした年月日
- 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係
- 飲食等に参加した人数
- 飲食費の金額、飲食店等の名称および所在地
- その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項
レシートや領収書の裏に参加した人の名前とその関係、参加人数を明記すれば、それ以外の項目はレシートや領収書の情報で事足りると思います。より詳細な情報は以下の国税庁HPが参考になります。
3.まとめ
とにかく大事なことは、人数を含めて誰と食事をしたのかを明記する事です。交際費が800万円を超える会社はそれほど多くないと思いますが、800万円を超える場合は少額飲食費に該当するものは適切に対応しましょう。ちょっとした手間をかければ経費として認められるものですから勿体ないです。節税商品を購入したり節税保険を契約する前に、まずはこういった新たな資金流出を伴わない節税を重視すべきです。