お知らせ・コラム
News & Column
税理士になるルートは1つではない。
令和3年度の税理士試験の合格発表が去年の12月17日に行われました。合格率などは国税庁ホームページに掲載されていますのでご興味のある方はご覧ください。愛知県の場合、5科目合格に達した方は43名だったようです。官報合格と呼ばれるそうです。例年と比較して多いのか少ないのかはよくわかりませんが。
税理士試験の難しい所は、①長期戦になることと、②それ故に損切が難しい点だと思っています。公認会計士試験の場合、勉強に専念すれば1年間の勉強で合格することも可能ですが(私は1回目は不合格だったので、2年かかりました)、税理士試験はほぼ不可能なようです。その理由は、試験のボリュームが公認会計士試験よりも多い点と働きながら目指す方が多いためです。私がよく拝見する税理士Youtuberは働きながらで5年かかったと話していました。相当優秀であるはずなので、5年でも短い方なのだと思います。働きながら5年以上勉強するのは相当きついはずですし、モチベーションを維持するもの大変です。5科目合格して税理士になった方は本当に尊敬します。
通常、税理士になるには税理士試験に合格する必要がありますが、別ルートも存在します。今回はそのルートについて取り上げます。
【目次】
- 税理士資格の取得方法
- 税理士試験合格者(大学院資格免除含む)
- 国税出身者
- 公認会計士や弁護士資格を有する人
- その他
- 税理士にも得意不得意がある
- 税理士を選ぶポイントなど
1.税理士資格の取得方法
1.税理士試験合格者(大学院資格免除含む)
最もポピュラーな資格取得方法ですが、最も大変だと私は思います。そのため、大学院に通う事で税務2科目を免除した上で税理士を目指す方が増えています。私の周りも同様です。その税務2科目に合格するのは本当に大変なようなので、言葉は悪いかもしれませんが、お金で解決するやり方はとても理にかなっていると思います。私だったら間違いなく2科目免除のために大学院に通います。勿論、大学院でしっかりと勉強することが大前提です。絶対に税理士になる!という強い気持ちで勉強しているのであれば、勉強期間は絶対に短い方が良いです。税理士の資格さえあれば、可能性はかなり広がりますよ。
税理士試験合格者の特徴は、公認会計士試験と比較すると税務科目が多いので、税理士になった時点の税務知識は相対的に豊富と言えます。税理士試験に合格した方が最も税務について知識があると思っているので、税理士は税務のプロフェッショナルである以上、最も評価されるべきルートだと個人的には思っています。
2.国税出身者
日本税理士会連合会のホームページをみると、国税出身の方が税理士になる要件は以下の通りです。23年以上働けば、税法と会計に関する科目が免除されるので、税理士試験を全く受けることなく税理士になることができます。
- 10年又は15年以上税務署に勤務した国税従事者⇒税法に属する科目が免除
- 23年又は28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者⇒会計学に属する科目が免除されます。
国税出身者の特徴は、なんといっても税務調査に強いことだと思います。私に税務調査の交渉術を教えてくれたのも国税出身の税理士です。税務署内部の動きなどもよくご存じなのでとても勉強になりました。逆に税務に関する知識は、他のルートの方と比較すると弱いかも知れないと国税OB自身が言っていました。上場企業などの規模の大きい企業の税務調査は別ですが、個人事業主や中小企業の税務調査は、税法とは全く違うところで交渉するケースも多く、税法の知識がそれほど必要とされていないのが原因でしょうか。勿論、世の中を見渡すととても凄い国税出身の税理士もたくさんいますので、本人の素養は勿論ですが、配属された部署なども影響するのかもしれません。凄腕の国税OBの方とお話しすると勉強になることばかりです。
3.公認会計士や弁護士資格を有する人
公認会計士や弁護士の資格を有していると、一定の要件を満たせば容易に税理士資格を取得することができます。特に追加で試験を受ける必要もありません。逆に税理士が試験なしに公認会計士や弁護士の資格を取得することができません。この点が一部の税理士試験合格者から嫌われている要因のようです。私からすると税理士になった後が大切なので、税理士になる経路なんてどうでもよいと思っています。
公認会計士は、税理士試験合格者と比較すると、税務の試験が圧倒的に少ないので相対的に税務知識は乏しいです。あくまで試験合格直後の話ですが。公認会計士出身の方で相続税の専門家として著名な方もいますし、国税OBと同様、本人次第という事でしょう。私の税務知識は他の税理士に比べたらまだまだなので、リスクの高い案件は受けないようにしています。
4.その他
上記以外にも税理士へのルートはあるかもしれませんが、数としては相当少ないはずなので、ここでは取り上げません。
2.税理士にも得意不得意がある
このように税理士になるルートがかなり違うので、ベースとなるスキルも大きく異なります。だからこそ、税理士だったら税務については何でも知っているよね?というスタンスで聞いてくる方もいるのですが、それはちょっと辛いです。例えば、私であれば相続税は対象外です。相続税について聞かれても込み入った話はできません。だからこそ、相続税を専門に扱っている信頼できる税理士と連携しており、顧問先から相続の相談があった場合は、最終的にその税理士にお願いしています。国際税務も対象外です。
3.税理士を選ぶポイントなど
お伝えした通り、税理士は税務について万能という訳ではなく、得意不得意があります。とはいえ、売上が数千万から数億円規模で、国内のみを事業対象としている企業であれば、どの税理士を選んでも企業税務についてはそれほど違いはないのかなと思ったりもします。
そのため、税理士を選ぶポイントは、節税、税務調査、コンサルティングといった視点で、皆さんが重視するポイントを満たしてくれそうな税理士を選ぶとよいと思います。税理士のホームページをネットで検索すれば、その辺りの情報は容易に得られるはずです。梁瀬会計事務所は、税務調査、無申告・期限後申告を集客の中心としており、かつ強みとして強調するようにしています。顧問先の規模としては、現状は数億円規模までかなと。当事務所の規模が大きくなり、一定規模の企業税務も扱える人材や時間を確保できるのであれば対象を広げるかもしれませんが、まだ先になりそうです。そもそも今の人員体制だと新たに受けられる件数が…
税理士の選び方については、幾つかの視点でコラムを書いています。参考になることもあるかもしれませんので是非ご覧ください。