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税務調査で初めて申告の誤りを指摘されます
2024年も税務調査の相談をかなり受けました。2023年は全国各地から問い合わせがあり、遠方の方はすべて電話相談で終わったため、面談回数はそれほど多くありませんでした。しかしながら、2024年は名古屋市を中心に愛知県の相談者が多かったこともあり、事務所で面談する機会が前年度に比べると増えました。
ある個人事業主と税務調査に関する面談をしている時に、「税務署から連絡がなかったから私が提出した確定申告書は正しいと認定されていたと思っていた」という事を話していました。これはよく聞く話です。そこで今回は、税務署から確定申告書の誤りを指摘されるタイミングについてお伝えします。
【目次】
- 確定申告書の内容は細かくチェックされない
- 税務調査前に指摘されるケース
- 税務調査で指摘されるケース
- 確定申告書が間違っている事を予め掴んでいる
- 確定申告書が間違っている可能性が高い
- まとめ
1.確定申告書の内容は細かくチェックされない
個人の確定申告はすべて3月中旬が申告期限であるため、税務署は確定申告書を短期間に一気に受け取ります。提出された申告内容を細かくチェックできるはずがありません。原則として、提出された申告内容をそのままデータ化しているだけでしょう。
例えば、青色申告会や私たち税理士がサポートする無料税務相談会を経由して確定申告する方もいます。私たちは書類の不備等は確認しますが、本人がまとめた売上や経費の金額が正しいか否かまでは確認しないため、細かくチェックしているとは言えません。従って、青色申告会や無料税務相談会を経由して申告していても、税務調査に選定される可能性があります。
2.税務調査前に指摘されるケース
提出した確定申告書が明らかに間違っていることがわかった場合、連絡が来る可能性があります。例えば、初めて住宅ローン控除を適用した時に必要な添付書類を添付していない場合、添付書類と数値が一致していない場合などが考えられます。こういったケースでは、税務署が気づいてくれたら電話などで連絡が届くと思います。申告期間が始まる2月中旬頃に申告していれば、明らかな誤りがある場合は申告期限の3月中旬までに税務署から連絡が来る可能性もあります。そのあとすぐに再申告してしまえば、期限内申告になるので延滞税も発生しません。
3.税務調査で指摘されるケース
確定申告の誤りは原則として税務調査で指摘されます。それはなぜか。仮に売上900万円で申告していて、真実の売上が3,000万円だったとしても、確定申告書を見ただけではわかるはずがないからです。ではどうして税務調査に選定されるのでしょうか。
1.確定申告書が間違っている事を予め掴んでいる
税務署が確定申告書の誤りを税務調査前に掴んでいるケースがあります。そのきっかけとしては、元請けの税務調査だったり、銀行調査であったり、税務署への通報だったり、色々な可能性があります。私は年に1度位の頻度で経営者もしくは従業員不正の相談を受けます。例えば、1つの銀行だけ売上を一切計上していない中で無予告調査を受けたケース、従業員が億以上のお金を会社から引き出していて、税務署がその従業員との面談を求めているケース、複数拠点に同時に無予告調査を受けたケースなどは税務署は何かしらの情報を掴んでいる可能性が高いです。
2.確定申告書が間違っている可能性が高い
税務署には、これまでの税務調査の実績がデータベース化されています。納税者がどういった誤り・不正をしているかノウハウがありますので、そういった納税者を選別して税務調査の対象としています。税務調査の対象になりやすい個人事業主の特徴は以下のコラムでまとめています。基本的に追徴課税が多額になりそうな個人事業主を選定していると思います。
4.まとめ
「確定申告書を提出して何も言われなかったから、ざっくりやっても良いんだ!」と勘違いして、長期にわたって適当な申告をしている人はとても多いです。税務調査の相談を受けていると本当にそのように感じます。申告時点ではそもそもチェックされていなかっただけなのです。
杜撰な数値に基づき確定申告をしていた場合、税務調査に選定されれば追加の税金を払う必要がありますし、何よりも過少申告加算税(悪質な場合は重加算税)、延滞税といったペナルティを支払う必要があります。特にペナルティは本来であれば払う必要のないものですので、是非初めから適正な申告をするよう心掛けてください。
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