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持続化給付金や家賃支援給付金のために期限後申告した場合の注意点
2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響により、様々な補助金等の支援がありました。国民1人あたり10万円の支給(特別定額給付金)、売上が大きく減少した法人・個人事業主に対する持続化給付金や家賃支援給付金、それ以外にも政策金融公庫や民間金融機関による実質無利息・無担保の融資等、多くの支援がありました。最近であれば、飲食業に対する1日6万円の時短協力金でしょうか。この時短協力金は、1日の売上が数万円しかないような法人・個人事業主にとっては、非常に大きな協力金であり、それを元手に旅行に行ったり高額な買い物をするような方もいるようです。顧問先ではありませんが、私の知り合いにも車を買った方がいます。正直、不公平感は拭い切れないところです。
少し話がそれましたが、当税理士事務所の顧問先についても、特に持続化給付金と家賃支援給付金については、支援を受けた法人・個人事業主は多いです。それだけ、新型コロナウイルス感染症は事業経営に大きな悪影響を及ぼしています。今回は、持続化給付金や家賃支援給付金を申告するために期限後申告した場合についてご説明します。
【目次】
- 持続化給付金や家賃支援給付金の申請には確定申告書が必要
- 期限後申告した個人事業主の申告方法は
- 2019年の確定申告書のみを所得税0円で申告した場合
- 過去5年分の確定申告書を所得税0円で申告した場合
- 2019年の確定申告書のみを実態に応じて申告した場合
- 過去5年分の確定申告書を実態に応じて申告した場合
- まとめ
1.持続化給付金や家賃支援給付金の申請には確定申告書が必要
持続化給付金や家賃支援給付金を申請するには、確定申告書が必要でした(創業間もない企業等は除きます)。そのため、2019年度確定申告について期限後申告した個人が非常に多かったことは、ニュース等で明らかになっています。普通のサラリーマンや学生など本来申告の必要のない方が嘘の確定申告をしている場合については、そもそも論外なので今回は取り上げません。早めに返還手続きを進めてください。今回は、事業を行っている個人事業主で、2019年度確定申告の期限後申告をした方について、今後どのようなリスクが発生するかについて取り上げます。
2.期限後申告した個人事業主の申告方法は
2020年4月17日以降に期限後申告した場合、持続化給付金や家賃支援給付金の申請のために申告したと、税務署は推測します。そして、適当に申告しているだろうとも考えるはずですので、通常よりも税務調査の対象にはなりやすいと考えます。その上で、以下の4パターンについて検討します。わかりやすくするためにかなり極端な例にしています。
| 期限後申告/所得税 | 0円で申告 | 正しく申告 |
| 2019年分のみ | ① | ③ |
| 過去5年分 ※ | ② | ④ |
※無申告の場合、通常、過去5年分を申告するため。例えば、事業開始が2017年であれば、2017年から2019年の3年分を申告しますが、ここでは、昔から事業を行っていたと仮定しています。
①2019年の確定申告書のみを所得税0円で申告した場合
高確率で税務調査が入ると思います。それが真実の申告であったとしても、2018年度以前も事業をやっていたのではないか?、所得税0円の場合、所得がほとんど発生していないことを意味しますので、適当に申告しているのではないか?と税務署は当然に考えるためです。税務調査は、税金が取れそうなところを対象にする傾向がある以上、避けることは難しいと考えます。
②過去5年分の確定申告書を所得税0円で申告した場合
実際にこのような申告をしている人は少ないと思いますが、①よりも税務調査に入る可能性が高いと思います。なぜなら、5年間も所得税がほとんど発生しない確定申告をした場合、税務調査に入ってくださいと主張しているようなものだからです。これまで私が関与した無申告の案件でも、5年のうち、2年間は所得税0円という事もありましたが、5年連続で所得税がほとんど発生しないというケースは経験がありません。法人の赤字とは異なり、個人事業主の所得金額があまりに低い場合、資産家でもなければ、基本的に生活ができないため、このような申告をしている方がいれば、早めに税理士に相談してください。
③2019年の確定申告書のみを実態に応じて申告した場合
①ほどではありませんが、税務調査に入る可能性があります。すぐに税務調査の連絡がこないにしても、2018年度以前の確定申告が提出されていないことについて、税務署からのお尋ねが来るかもしれません。お尋ねがきてしまうと、何かしら対応が必要になるため、逃げ切ることはできません。税務調査前に確定申告を提出することでペナルティを減額することはできますが、過去4年分を追加で申告することになるため、税額負担についてはかなりの額になります。
④過去5年分の確定申告書を実態に応じて申告した場合
他のケースに比べれば、かなり確率は下がります。持続化給付金もしくは家賃支援給付金目的に期限後申告したとは思われるでしょうが、税務調査の対象に選定しても追加で払ってもらう税額は少ないと想定されるため、他のケースと比較すると確実に税務調査の優先順位は下がります。また、税理士のサインがある確定申告書であればさらに確率は下がります。
3.まとめ
持続化給付金もしくは家賃支援給付金目的で期限後申告した場合について、今後税務調査の対象となる可能性について整理してみました。①から③については、税務調査の対象に選定される可能性は高いと考えられます。税務調査の対象になる前に対処すべき事案ですので、早めに税理士に相談することをお勧めします。無申告だった方のサポートを嫌がる税理士もいます。その理由は、特に経費をどこまで入れるかについて、ノウハウがないためです。当税理士事務所は、無申告の方の期限後申告の経験も豊富ですし、最初の相談は無料で受けていますので、その無料相談でも可能な限りの事はお伝えします。そして、無申告・期限後申告を依頼した場合の料金は広告費にお金をかけていない分、他の税理士よりも安く設定しています。
また、過去5年分の確定申告をする場合、それなりの税負担は避けられません。税務調査後に支払う税金(概算額)を算出する方法をお伝えしたコラムがありますので、気になる方はご覧ください。そちらで概算すると、結構な金額になってしまうと思います。その場合、分割納付に関しても、積極的にサポートしますので、その点もご安心ください。税金の算出方法、及び分割納税については、以下のコラムをご覧ください。