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2021.02.15 コラム

相続税対策を銀行に相談する場合の注意点

相続税は、相続する金額が大きければ大きいほど、税率も高くなるため、対象となる方の多くは、何かしら対策を検討します。そのため、相続税対策はとてもニーズのあるのですが、金額が大きくなりがちなので否認されたときの影響が半端ないです。そして、否認された原因が税理士にある場合、損害賠償請求を受けることになり、多額の賠償金を支払うことになります。それに関連して、今回は、資産税を担当していた国税OBから聞いた話を取り上げます。私がその話を聞いて、相続税対策に関する知識として知っておいた方がよいと判断したため、取り上げました。

【目次】
  1. 相続対策を銀行に相談する上で理解しておくべき事
  2. この注意点が明らかになった判例とは
  3. まとめ

1.相続対策を銀行に相談する上で理解しておくべき事

相続税対策を検討する場合、相談に行く先は、税理士だけでなく、金融機関なども考えられると思います。ここでは金融機関に相談する上で理解しておくべき事項をお伝えします。

私は、仕事柄、銀行の方と付き合う事が多いです。また、大学の友人にも銀行員がいます。彼らにも確認しましたが、銀行は、良くも悪くもしっかりと記録を残す文化があります。そのため、私たちが面談した内容についても、銀行員は記録を残します。残す理由の1つとして、後々トラブルが発生した時に言った言わなかったでよくもめるため、その対策として残している面があります。となると相続税対策を銀行に相談した場合、その経緯が記録として残ることになります。そして、税務署が反面調査として銀行に問い合わせした場合、その記録が全て税務署に伝わる可能性があります。この記録が税務調査に伝わってしまう点が、銀行へ相談する上で理解しておくべき事項です。

2.この注意点が明らかになった判例とは

この判例は比較的最近のものですが、特に相続を専門とする税理士の中では有名な判例です。なぜ衝撃的だったかというと、今まで多くの税理士・金融機関・不動産業者が推奨していた相続税対策である借金して不動産投資をおこなうことを否認された点です。多くの税理士がホームページ等で解説していますので、判例の詳細な解説については、相続税を専門とする税理士のホームページにお任せします。”令和元年8月27日東京地裁”で検索して頂くと、解説したサイトを探すことができます。例えば、こちらもサイトはとても分かりやすいです。

相続税対策の限界か?東京地裁、路線価による不動産評価を否認

ここでは、あくまで銀行に相談する上での注意点を紹介します。

令和元年8月27日東京地裁

平成29年(行ウ)第539号 相続税更正処分等取消請求事件から抜粋

銀行がその際に作成した貸出稟議書の採上理由欄には「相続対策のため不動産購入を計画。購入資金につき,借入の依頼があったもの。」との記載がある。

※貸出稟議書とは、融資担当者がお金を貸すために、責任者から承認を得るための書類

相続税更正処分等取消請求事件

このように、今回の不動産投資が、相続税の負担軽減を主目的として行われたことについて、税務署が裁判所に証拠として提出して、それが認められたことが否認された要因の一つとなっています。ただし、この事実が否認された最大の要因ではなく、あくまで要因の1つであることにご留意ください。

3.まとめ

銀行に相談した場合、その相談内容が記録として残ってしまう事、その記録が税務署に伝わってしまう事をお伝えしました。とはいえ、相続対策として不動産投資を行う場合、銀行からお金を借りることが多いため、銀行が全く関与しない訳にはいかない点が難しいです。銀行は、私たちを助けてくれることも多いため、日ごろから友好的に付き合う必要があるのですが、あくまで、ここでお伝えしたいのは、銀行員に話した内容は、税務署にも伝わることを理解して頂くことです。そのため、相続税対策という重要な部分は、税理士と連携して確定し、資金調達の部分だけ銀行に相談することで、今回取り上げたリスクを軽減するという視点も持っていただければと思います。当税理士事務所は、相続を専門に取り扱う税理士と連携していますので、相続税対策を検討されている方は是非ご連絡ください。

今回のように、相続税対策として不動産を購入するケースは本当に多いです。そしてダメな物件を掴まされるケースも後を絶ちません。それはなぜでしょうか?純粋な投資として不動産を検討する場合、その不動産がどれだけ稼いでくれるかを慎重に検討するはずです。しかし、相続税対策として不動産を検討する場合、税金の減少額が中心になってしまい、不動産がどれだけ稼いでくれるかという分析がおろそかになっているからだと思います。売る側もそれを狙っている節があります。不動産会社や銀行の甘いささやきに騙されることなく、子供などを巻き込んで上で慎重に検討することをお勧めします。

 

 

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