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令和2年分確定申告-青色申告特別控除65万円の変更点
確定申告の時期になりました。税理士業界にとって最も忙しい時期です。提出期限が4月15日まで延長されたものの、私自身は、3月中旬から2月及び3月決算企業の法定監査でさらに忙しくなるため、通常のスケジュール通り、3月中旬までに終わせるべく、仕事を進めているところです。そこで、今回は、令和2年確定申告の変更点のうち、青色申告特別控除の変更点をご紹介します。
【目次】
- 青色申告特別控除とは
- 青色申告特別控除の変更点
- まとめ
1.青色申告特別控除とは
青色申告の特典の1つであり、国税庁ホームページには以下のような記載されています。
国税庁 No2070 青色申告制度より抜粋
(1)青色申告特別控除
イ 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則、(一般的には複式簿記)により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高55万円(令和元年以前は最高65万円)を控除することとされています。
(注)令和2年分以後の青色申告特別控除について、この55万円の青色申告特別控除を受けることができる人が、電子帳簿保存又はe-Taxによる電子申告を行っている場合は、65万円の青色申告特別控除が受けられます。ロ 上記イ以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得及び山林所得 を通じて最高10万円を控除することとされています。
要は、会計ソフトなどを利用して、適切なルールに基づき期日までに確定申告書を提出してくれたら、税金を減らしてあげますよという制度です。今回は、制度変更についてご説明しますので、複式簿記などの説明は割愛し、これまで65万円控除を受けていた方が、引き続き、65万円控除を受けるにはどうしたらよいのかについて説明します。
2.青色申告特別控除の変更点
これまで、青色申告特別控除は10万円控除と65万円控除の2段階でしたが、令和2年度確定申告から、10万円控除と55万円控除と65万円控除の3段階になり、これまで65万円控除を受けていた方は、以下の要件のどちらかを追加で満たすことで、65万円控除を引き続き、受けることができます。
- その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること。
- その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと。
要件1については、令和2年9月30日までに電子帳簿保存法の承認申請書を税務署に提出し、令和2年12月31日までに仕訳帳及び総勘定元帳を電子帳簿保存を行う必要があり、これから対処することが不可能なため、現実的な方法としては、要件2を満たすことを検討する必要があります。
3.まとめ
65万控除を受けるには、要件2を満たす必要がある旨、お伝えしました。そして、その方法はe-Taxを使用して確定申告するだけです。スマートフォンでも簡単に申告できるように改善されています(お笑いの小島よしおさんがPRしているニュースをみました)。日頃からパソコンを使われている方は、e-Taxホームページの解説を見ながらやって頂くと問題なく対応できると思います。普段使用されていない方は、以下の方法を参考にしてみてください。
- YouTube(国税庁動画チャンネル)の解説動画をみながら操作
- e-Tax・作成コーナーヘルプデスクの活用・・・なかなか繋がらないようですが
基礎控除について、これまで38万円だったものが、令和2年度確定申告から48万円にアップしました。そのため、青色申告特別控除で65万円控除を受けることができれば、控除額が10万円増えることになります。最近は、増税のニュースばかりですが、これは数少ない納税者にメリットのある改正ですので、是非活用してください。
国税庁 No2072 青色申告特別控除
青色申告者に対しては種々の特典がありますが、その一つに所得金額から最高65万円又は10万円を控除するという青色申告特別控除があります。
1 55万円の青色申告特別控除
この55万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。
- 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
- これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
- 2の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。
(注)
- 現金主義によることを選択している人は、55万円の青色申告特別控除を受けることはできません。
- 不動産所得の金額又は事業所得の金額の合計額が55万円より少ない場合には、その合計額が限度になります。ただし、この合計額とは損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいいますので、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算します。
- 不動産所得の金額、事業所得の金額から順次控除します。
2 65万円の青色申告特別控除
この65万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。
- 上記1の要件に該当していること
- 次のいずれかに該当していること
- その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存(下記《参考》参照)を行っていること。
- その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと。
《参考》
納税者の方の事務負担やコストの軽減などを図るため、各税法で保存が義務付けられている帳簿書類については、一定の要件の下で、コンピュータ作成の帳簿書類を紙に出力することなく、ハードディスクなどに記録した電子データのままで保存できる制度があります。詳しくは、国税庁ホームページ(ホーム)>法令等>その他法令解釈に関する情報>電子帳簿保存法関係をご覧ください。3 10万円の青色申告特別控除
この控除は、上記1及び2の要件に該当しない青色申告者が受けられます。
(注)
- 不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の合計額が10万円より少ない場合には、その金額が限度になります。ただし、この合計額とは損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいいますので、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算します。
- 不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額から順次控除します。