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税務調査はどれ位の日数がかかるの
顧問税理士がいる納税者ではなく、税理士に依頼するのが今回の税務調査が初めてという状況を前提として、納税者が税務署の職員と面談する日数についてお伝えします。税理士に依頼しない場合、納税者本人がすべて対処する必要があるため、実地調査が1日だったとしてもそれ以降も税務署に何度も行く必要があることから、本業に集中するためにも税理士に立ち会ってもらう事を強くお勧めします。税理士に依頼する最大の目的は納税額を可能な限り減らすことだと思いますが、精神的なストレスを軽減し本業に集中できる点も大きなメリットです。
【目次】
- 個人事業主の場合
- 法人の場合
- 税務調査が早く終わるケース
- 税理士が関与した上で事前に修正申告
- 無申告、かつ資料がほとんど残っていない
- 売上、仕入、外注費等が間違っていない
- 税務調査が長くなるケース
- 仮装隠蔽、不正の疑いがある
- 無申告、かつ資料が大量に保管されている
- まとめ
1.個人事業主の場合
税務署から税務調査の連絡が来ると、実地調査の日程を決めたいと伝えられます。税務署管轄で通常の調査であれば、その実地調査の日数はほぼ1日です。実際に私が関与した税務調査の大半が1日です。従ってその1日さえ乗り切って頂ければ、それ以降は納税者が税務署の職員と話す必要はなく全て税理士が代理で対応します。
ただし、この日数はあくまで当初の予定であって、調査で不正が発覚したり納税者本人から直接聞く必要がある事情が新たに発覚すれば、2日、3日と増えていく可能性があります。私が関与した案件でも、私にも隠していた事実(特に仮装隠蔽がらみ)が明るみに出た場合などは2日になるケースがありました。勿論、私がわざわざ本人に聞く必要もないと判断すれば、「別に本人に確認する必要はないでしょ!」と交渉しますが。
結論。税理士に依頼すれば税務署の職員と1日だけ面談すれば終わるケースがほとんど。
2.法人の場合
同じように法人のケースではどうでしょうか。私が今まで関与したケースでは2日が多かったです。1日と言われたことは今のところありませんが、3日と言われたことは少しだけあります。個人事業主と同様、不正等が発覚すればさらに面談回数は増えていきます。
私が関与したケースで一番多かったのは4日間(実地調査2日、追加の面談2日)でした。調査官が実地調査で話した内容の裏取りをかなり詳細に行った結果、不整合な点があったので1日の追加面談については許容できたのですが、最後の1日は何のために開催されたか全くもって意味不明で、しかも統括官が意味不明なロジックで重加算税を課そうとしてきたので私が少々熱くなったことを覚えています。
結論。税理士に依頼すれば税務署の職員と1,2日だけ面談すれば終わるケースがほとんど。
因みに、顧問税理士がいる法人の税務調査では、実地調査が2日であったとしても納税者は1日のみでOKという事も普通です。これが通る理由は税理士が帳簿関係を把握しているため。
次は、個人と法人関係なく税務調査が早く終わるケースと長くなるケースについてまとめてみました。
3.税務調査が早く終わるケース
1.税理士が関与した上で事前に修正申告
一番早く終わるケースは、税理士が関与した上で事前に修正申告を提出した時です。税理士が関与した場合、そうそう変な指摘を受けることはないので、実地調査も半日で終わり、その後も税務署に行くことなく電話だけで終わることも少なくありません。税理士に支払う報酬が高くなるという大きなデメリットもありますので、事前に修正申告すべきかは複数の税理士に相談してみてください。最近、「安易な修正申告をしてはいけない!」と明記したリスティング広告も拝見しました。ごもっともだと思います。私の認識は下記のコラムの通りです。
私の仲間や私に依頼した納税者の情報から、「事前に修正申告しないとこんなリスクがあるよ、こんなリスクがあるよ。」といった感じでかなり脅すように話を進める税理士事務所があるようです。集客方法としては理解できるのですが、私はそういう方法はやらないです。そこまでして集客したいとは思わないので。
2.無申告、かつ資料がほとんど残っていない
情報がない以上、推計課税で進めていくしかないため早く終わるケースが多いです。早く終わるのですが税務署の言いなりになりがちなので、このケースでは税理士に依頼した方が絶対に良いです。ただし、資料が残っていない外注費への支払い等を認めてほしい場合は時間がかかってしまいます。
3.売上、仕入、外注費等が間違っていない
売上、仕入、外注費は金額も大きく必ずチェックされる項目です。この主要項目に誤りがないと比較的適正に申告書を作っているという印象を持ってくれるため、生活費相当や単純な誤り(国税や市税を経費処理していたり、借入返済を経費処理している等々)を否認されて終わりという流れです。生活費が盛り沢山だと少し時間がかかるかもしれません。経費or生活費の取捨選択に時間がかかるので。
4.税務調査が長くなるケース
1.仮装隠蔽、不正の疑いがある
例えば、売上が大きく誤っている(本当は売上3,000万円だけど申告金額は980万円というケースが典型的)場合や架空の外注費が発覚した場合、税務署の調査官は仮装又は隠蔽と認定して重加算税を課そうとします。さらに偽りその他不正の行為と認定して調査期間を7年まで遡ろうとします。この認定にはそれなりのハードルがありますので納税者との面談が長くなりがちです。質問応答記録書も絡んできますし。
因みに、私は「仮装又は隠蔽」や「偽りその他不正の行為」を認定するハードルは調査官や納税者が思っている以上にハードルが高いと考えています。認定の拠り所として質問応答記録書が多用されている時点で。とはいえ難しい面もありますので、自信がなければ事前に修正申告を提出する事も検討してください。この論点は本当に質問が多いのです。
2.無申告、かつ資料が大量に保管されている
資料が大量に保管されていた場合、その資料全てが経費になるとは限りません。得てして無申告の方はとりあえず何でも保管しているケースが多いです。資料が多ければ経費の可否を判断するための面談時間は長くなりがちです。
5.まとめ
今回は、税務調査に要する時間について整理しました。税務調査に時間がとられてしまうと仕事にも影響がでますし良いことは一つもありません。ある程度適正な申告をしていればそれほど時間も税金もとられません。是非、適正な申告を心がけてください。
万が一明らかに誤った申告をしている場合は、税務調査の立会いを専門にしている税理士に相談しましょう。リスティング広告を出している税理士であれば税務調査の立会いに慣れていますし、税理士への報酬以上の効果がある可能性が高いです。とはいえ、私から見て明らかに高額な報酬を設定する税理士もいますので、繰り返しになりますが複数の税理士事務所に問い合わせることをお勧めします。選択肢の一つとして、当税理士事務所を選んでいただければ嬉しい限りです。