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個人事業主の無申告は、領収書等がない事が多い
これまで立ち会った税務調査のうち、無申告の事業者の割合は3割程度でしょうか。業種としては、間違いなく一人親方が一番多いです。今年立ち会った案件は、一人親方といった建設業ではなく清掃業など別の業種ですが。そして、無申告の事業者には特徴があります。今回は無申告の事業者の特徴についてお伝えします。
【目次】
- 無申告の事業者は、領収書等を残していない
- 無申告の事業者は、消費税の負担が増えがち
- 税務調査では経費の証拠をとにかく探す
- まとめ
1.無申告の事業者は、領収書等を残していない
無申告の事業者は、本当に領収書やレシートを保管していない方が多いです。これまで無申告の事業者の税務調査に相当数立ち会ってきましたが、半分以上は経費のレシートや領収書がほぼありません。本当に杜撰なんですよね。自分の売上が1年間でどれ位あるか把握しているわけでもなく、経費がどれ位あるかなんてほぼ把握していません。
その結果、税理士が立ち会う事が前提ですが、無申告の税務調査案件では重加算税が課されるケースが少ないという外部の方からすると違和感のある状況が起きてしまいます。現実問題として、売上を過少に申告している場合は、仮装又は隠蔽行為と認定され重加算税が課される可能性が高いのですが、売上をそもそも申告していない場合は、仮装又は隠蔽行為と認定することが難しいのです。それ以前の問題という感じでしょうか。無申告の方が悪質性が高そうなのに、過少申告の方がペナルティが厳しくなる可能性があるというのが現実です。
2.無申告の事業者は、消費税の負担が増えがち
無申告の事業者は重加算税が課されない事も多いのですが、消費税の負担は無申告の事業者の方が多額になりがちです。その理由は仕入税額控除というルールがあるからです。その内容については過去のコラムで説明していますので参考にしてください。
帳簿及び領収書がなければ、消費税の計算上、経費として認めてもらえないのですが、無申告の事業者は領収書もなければ、帳簿なんてほぼ100%ありません。帳簿がある無申告は意味不明ですよね。帳簿があれば申告義務があることは理解できるはずなので、それでもなお申告していないとなると、重加算税の香りがします。
結論として、領収書もなければ帳簿もない無申告の事業者は、消費税の計算上、経費が全く認めてもらえないので、法律をそのまま適用すると消費税の負担が半端ない金額になります。つまり売上の10%の消費税を払えという事です。確かに、法律の趣旨としてはその通りなのですが、税務調査は法律の範囲外で決まることも多いので、その点を次にご説明します。とはいえ、最近の傾向として、領収書と帳簿がなければ消費税の計算上経費として認めない!という税務署のスタンスも感じるので、その点は予めお伝えしておきます。
3.税務調査では経費の証拠をとにかく探す
では、領収書も帳簿もない無申告の事業者は、消費税は売上の10%相当が課税されるのでしょうか?それでは負担が大きすぎるので、税務調査では法律の範囲外のところで交渉することになります。具体的には、領収書がある経費だけでも仕入税額控除を認めてもらうという戦略です(後付けであることは調査官も当然わかっていることを前提としても、帳簿も作成したほうが良いでしょう)。必ずうまくいくとは限りませんが、我々ができることは少ないので、とにかく経費の証拠を探し出すことです。外注先があれば、頭を下げて領収書を再発行してもらう、普段購入する資材・材料屋さんがあれば、頭を下げて領収書を再発行してもらう、自宅に破棄していないレシートがないか探しまくるといった感じでしょうか。そして見つけた領収書やレシートだけでも仕入税額控除を認めてもらうように交渉します。交渉のやり方もあるのですが、ちょっと公開しづらいのでここでは記載しません。
4.まとめ
多くの無申告事業者が領収書などを残していないという事をお伝えしました。そして、その事実が消費税負担に大きな影響を及ぼすという事も。所得税も影響がありますが、推計課税という手法があるので消費税ほどはダメージを受けません。
という事で、経費に関する領収書やレシートは残しましょう。それがご自身を守ることにつながります。それ以前に無申告を解消しなければなりませんが。当税理士事務所の場合、顧問契約を締結することを前提としていますが、リスティング広告を出しておらず広告費がかかっていないこともあり、税務調査の立会いや無申告・期限後申告のサポートについて他の税理士よりも安く設定しています。詳細はこちらをご覧ください。