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税務調査の日程は調整可能です。
任意の税務調査の日程は調整可能ですが、マルサが関わるような強制調査は日程調整は不可能である点は予めお伝えしておきます。その前提で話を進めます。
静岡県についてはわかりませんが、東海地区(愛知県、岐阜県、三重県)の2022年の税務調査は、6月末から7月初旬にかけて税務調査が一気に始まりました。当税理士事務所に対しても、4件ほど問い合わせがあり3件受注しました。残り1件はこちらの日程調整が難しく、電話で可能な限りのアドバイスをして終わりました。とても申し訳なかったです。リスティング広告を出しているような税理士事務所とは異なり、税務調査を専門に対応する税理士がいるわけではないので、受けることができる件数に限りがあります。同じ時期に税務調査専門の国税OBに連絡したのですが、税務調査の問い合わせがどんどん来ていて大変!という事を話していました。
そして、8月の連休明けから、税務調査の問い合わせが再開されるのですが、9月4日時点で2件受注しました。当税理士事務所にも依頼があるという事は、リスティング広告を出している税理士も抱えきれないほど調査件数が多いのかもしれません。
前置きが長くなりましたが、今回は税務署が関与する案件についての日程調整についてお伝えします。
【目次】
- ちょっとした日程調整
- 岐阜県各務原市の税務調査のケース
- 愛知県名古屋市の税務調査のケース
- 最近の税務調査では
- まとめ
1.ちょっとした日程調整
税務署から連絡があると、調査日の調整まで話が進みます。その際、「すぐにはわからないので、可能な日程がわかり次第連絡します」とか、通常は数週間は仕事で埋まっているでしょうから3週間から1カ月後を指定することをお勧めします。しかし、多くの方は税務調査に慣れていないので、そういう訳にもいかず言われるがまま日程を確定することも多いかもしれません。では、その日に決めた日程を変更することは可能でしょうか?結論としては可能です。しかし理由が必要です。例えば、税理士に立ち会ってもらう事を決めて、その税理士が当初の日程が難しければ、税理士が調査官に連絡をして日程を変更しますし、絶対に外せない仕事が後から決まってしまったら、その理由を誠実に伝えれば、日程変更は基本的に可能です。
別のコラムでもお伝えしましたが、調査の日程を先に設定した方が良い理由は、当初申告を見直し、必要に応じて税理士に立ち会ってもらう為の時間を確保するためです。
2.岐阜県各務原市の税務調査のケース
かなり前になりますが、岐阜県各務原市の個人事業主の税務調査に立ち会ったケースです。税務調査の連絡が来たのは、4月から5月だったと思いますが、税務調査の立会いが始まったのは10月頃でした。ここまで延期された理由は、納税者がリハビリ中だったためです。私が最初にお会いした時もギブスがついていましたし痛々しい感じでした。この事情をお伝えし、リハビリが終わるまで税務調査を待ってもらうように調査官に伝え、了承いただいたという流れです。
国税局が担当するようなケースはわかりませんが、税務署が関わる調査は、適切な理由であれば延期してくれるというのが私の経験に基づく結論です。
3.愛知県名古屋市の税務調査のケース
この名古屋市のケースは、税務調査の連絡が来たのは12月で、税務調査の立会いは翌年の6月頃でした。このケースで延期された理由は2つあります。一つ目は、連絡を受けた時に出張で名古屋におらず、その出張が翌年1月まで続くという状況であったこと、2つ目は、1月を過ぎてしまうと、税務署は確定申告の仕事がメインになるため、税務調査の仕事がいったん停止されることです。その結果、税務署の調査官から確定申告の期限が終わった後に再度連絡しますという話がありました。
この個人事業主は無申告の方でしたので調査期間は原則として5年です。そして、確定申告期限が1年超えたので、調査期間が1年ずれることになりました。
4.最近の税務調査では
私が関与した案件ではありませんが、コロナを理由に調査が先延ばしになることもまだあるようです(納税者がコロナになったという訳ではなく、コロナが蔓延しているという理由)。確かに納税者が高齢の場合はリスクも高いですし、ワクチンを打っていない方もいるでしょう(高齢だと少ないか)。少し話がずれてしまいますが、ここまでコロナがまん延していると、税務署の方もコロナにかかっている人が多いでしょうから、税務調査は高水準では稼働していないかもしれません。
私が関与する場合は、税務調査自体はさっさと終わらせたいし、納税者もそのように思っている方が大多数です。従って、こちらが経費性についてしっかりと説明することで経費を上積みし、合理的な範囲で納税額を減らすことができれば、基本的にはクロージングに向けて調整していきます。こちらが真摯な対応をとって、かつ今後は適正納税することを伝えれば、税務署は説明可能な範囲で許容してくれることが多いです。
5.まとめ
という事で、基本的には正当な理由があれば調査日の変更は可能ですし、理由によっては数か月後に変更することも可能です。とはいえ、調査官も人なのであまりイラっとさせるようなことは避けるべきなので、過度な要求はやめた方が良いと思います。
最近、愛知県や三重県の地域ではありませんが、私以上に税務調査に立ち会っている仲間とご飯を食べました。その時の話の中で、税理士が連絡して調査日を先に延期すると、事前に修正申告を出すための時間を確保するためでは?と疑われることがあったそうです。この事からも、まだまだ事前に修正申告を提出することを税務署は嫌がることがよくわかります。私も事前に修正申告を提出しましたが、当初決まっていた調査日から変更していませんし、特に嫌味を言われることはありませんでしたが、内心はわかりませんよね…。事前に修正申告を提出することについては、こちらのコラムをご覧ください。
確かに、過去には、事前に修正申告を提出するために調査日を先に延期したことがあったなーと思い出しました。売上5000万円位の個人事業主で、レシートなどもしっかり保管されていたので、集計がとても大変でした。今年立ち会った案件は、調査日がそれなりに先に設定されていたこともあり、コロナ等の理由がない限り、調査日は変更していないような気がします。