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税務調査は売上3百万円でも選ばれます
税務調査の無料相談のなかで、売上が小さいし調査の対象になるとは思わなかったと話す方がかなりいます。確かに税務調査の選定は、税金がとれそうなところを選ぶ傾向があるので、売上が小さい事業者は対象になる可能性は低いものの、実際に選定されている事業者がいることも事実です。そこで今回はこれまで関与した税務調査について、売上規模の視点で考えてみます。無申告者に対する税務調査は除きます。
【目次】
- 関与した税務調査の売上規模
- 売上規模が小さくても税務調査に選定
- 9百万円程度の売上が続いている
- 所得が少なすぎる
- まとめ
1.関与した税務調査の売上規模
過去関わった税務調査の当初申告が手元にある訳ではないので、私の記憶に基づきます。私が関与する税務調査は顧問税理士がついていない個人事業主や小規模法人であるため、売上1億円を超えるような案件はほとんどありません。その規模であれば、顧問税理士がいることが多いので。まれに顧問税理士がついている会社・個人事業主から相談がありますが、その多くが不正絡みです。ある通帳の売上を全て除外しているとか、従業員不正を行った人から直接相談があったりとか。リスティング広告を出しているような税理士事務所は顧問税理士がいても税務調査に関与してくれると思いますが、私は色々と面倒なので、電話相談は受けていますが実際に税務調査に立ち会う事はしていません。
ざっくりですが、実際に私が税務調査に立ち会った案件の割合は以下の通りです。
1.売上1億円以上:1割
2.売上5千万円以上:1割
3.売上3千万円以上:2割
4.売上1千万円以上:3割
5.売上1千万円未満:3割
因みに今年これまで関与した税務調査は、売上1千万円以上と売上1千万円未満の個人事業主でした。
2.売上規模が小さくても税務調査に選定
上記の割合からわかることは、売上規模が小さくても税務調査には選定されるという事です。あくまで私が関与した案件に限るので、税務調査に選定される全体割合とは異なります。実際は、売上規模の大きい事業者の方が選定される可能性は高いですが、顧問税理士がいる場合が多く、わざわざスポットで他の税理士に依頼する可能性が低いため、私の案件には反映されません。
ここでお伝えしたいのは、選定割合ではなく売上規模が小さくても税務調査に選定されているという事実です。どうして、売上規模が小さい事業者が税務調査に選定されるのでしょうか。その理由の大部分は以下の2点で説明できます。
1.9百万円程度の売上が続いている
消費税逃れです。既に税務調査は終わりましたが、今年関与した案件にもありました。真実の売上は1千万円以上あるにもかかわらず、消費税を支払いたくないから1千万円未満で申告するケースは本当に多いです。
このケースでは、税務調査に選定された場合、消費税をがっつり支払う必要があるので追徴税額は増えがちです。そして、得てして領収書やレシートも残っていないので、仕入税額控除が認められずに本来払う必要のない税額になります。例えば一人親方であれば、税理士をつけて簡易課税制度の適用を判断しながら適正に納税していれば、さらに税額を減らせたのに…と結果論とは言え思ってしまいます。
2.所得が少なすぎる
表題の売上3百万円でも税務調査に選定されるケースで最も可能性が高いのはこのケースです。売上が真実かどうかは関係なく、所得が少なすぎると売上が少なくても選定されてしまいます。売上から経費を差し引いた金額が所得ですが、この所得が生活費の原資になります。従って、所得が百万円位しかないと普通は生活できません。その場合、税務署はどう思うかというと、売上をごまかしているか、経費にプライベート支出が含まれていると考えます。そして、その推測はほとんどのケースで正しいです。家族との飲食代、自宅の備品、マッサージ代、市民税といった経費にできない税金など、個人事業主によって色々ですが、家族の食費を入れている方は本当に多いです。
今回は王道である2つを取り上げましたが、個人事業主で税務調査に選定されやすい特徴をまとめたコラムがこちらです。
3.まとめ
今回取り上げたような過少申告をこれまでずっと続けていた方もいますし、売上が増え始めたタイミングで過少の売上を申告する方もいますし、色々です。理由はどうあれ、税務調査に選ばれてしまうと本当にきついです。得てして、過少申告をしている方は手元資金が少ない方が多いので、5年分の修正申告を提出するとなると、5年分の所得税、消費税、市民税、個人事業税、国民健康保険といった税金等を支払う必要があります。一括で払える人はほとんどいませんので、分割で払っていくことになりますが本当に大変です。分割納税している顧問先を見ていると本当にそう思います。
という事で、結論は毎年適正に申告して、適正に納税するのが一番です。適正に納税することを前提に暮らせば、無駄な出費も減るでしょうし。無駄な出費ばかりしていた方が分割納税のために生活水準を下げるのは本当につらいですよ。