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法人税務調査の追徴額が2.5倍に?国税庁の実績データと重点項目
「自社に税務調査が入る可能性はどれくらいあるのだろうか?」
「先日、国税庁が公開した令和2事務年度の調査実績から、最新の調査傾向や重点ターゲットを知りたい」
先日、国税庁ホームページにて「令和2事務年度(令和2年7月〜令和3年6月)における法人税等の税務調査事績の概要」が公開されました。
今回の公表データでは、コロナ禍による影響を色濃く受けて実地調査件数が激減した一方で、「1件あたりの追徴税額が前年比2.5倍へ激増」するなど、ターゲットを絞り込んだ厳格な調査が行われたことが明確になりました。
今回は、公開された法人税等の最新調査事績データ(件数・追徴額・不正割合)と、国税庁が掲げる「3大重点調査項目」、および不正発見割合の高い業種について分かりやすく解説します。
【目次】
- 法人の税務調査実績データ(調査件数・追徴税額・不正発見割合)
- 国税局が注力する「3大重点調査項目」の実態と不正事例
- 不正発見割合が高い注意すべき10業種
- まとめ:調査傾向を把握して事前の税務対策を徹底しよう
1.税務調査の件数
今回公表された令和2事務年度の法人税等に関する税務調査実績データは、従来の年次推移と比較して極めて特徴的な数値を示しています。
📄 令和2事務年度 法人税調査実績の主要数値
実地調査件数:約2万5,000件(前年比32.7%と激減): コロナ感染拡大に伴う臨場控えにより、平成30年度(約9万9,000件)や令和元年度(約7万6,000件)と比較して調査件数が大幅に減少しました。
1件あたりの追徴税額:780万6,000円(前年比249%と激増): 令和元年度(313万5,000円)から2.5倍へ跳ね上がりました。臨場件数が制限された分、事前に国税システム(KSK)等で大口の脱税・不正の疑いが極めて高い法人へピンポイントで狙いを定めた結果です。
不正発見割合(重加算税対象率):26.5%(前年比4.9%上昇): 調査が入った法人のうち4社に1社以上で意図的な隠蔽・仮装(重加算税)が摘発されています。
件数が減ったからといって「税務調査が甘くなった」わけではなく、むしろ「選定された場合の追徴リスクがより致命的になった」と言えます。
2.国税局が注力する「3大重点調査項目」の実態と不正事例
国税庁は調査にあたり、以下の「3つの分野」を継続的な最重要ターゲットとして位置付けています。
① 消費税還付申告法人への取組
多額の消費税還付申告を行った法人は、高確率で実地調査や事前確認の対象となります。
不正事例としては、国内で架空の仕入(課税仕入)を計上し、国外への免税販売を装って不当に多額の消費税還付を受けようとしたケースなどが摘発されています。
※なお、業績悪化による売上減少や、営業車・設備等の固定資産購入に伴う「正当な消費税還付」であれば、理由が明確なため過度に恐れる必要はありません。
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② 海外取引法人等に対する取組
国外への資金移動、関連会社との移転価格、国際的なタックスヘイブンを利用した税逃れへの監視が強化されています。「海外経由なら税務署にバレない」という考えは完全に通用しなくなっています。
③ 無申告法人に対する取組
帳簿や請求書を破棄して売上を申告していない接客飲食店などの無申告法人が厳しく摘発されています。
今後導入されるインボイス制度(適格請求書保存方式)に向けて、取引相手の集計データから無申告法人があぶり出される環境がより強固になっていくでしょう。
3.不正発見割合が高い注意すべき10業種
国税庁の公表資料(別表2)では、実地調査が行われた法人のうち、実際に意図的な隠蔽・仮装(重加算税対象)が判明した割合(不正発見割合)が高い上位10業種も公開されています。
| 順位 | 業種区分 | 不正発見割合 | 1件当たりの不正所得金額 |
|---|---|---|---|
| 第1位 | バー・クラブ | 53.7% | 2,385 万円 |
| 第2位 | 外国料理 | 52.0% | 1,432 万円 |
| 第3位 | 美容 | 37.5% | 1,565 万円 |
| 第4位 | 医療保健 | 36.7% | 1,146 万円 |
| 第5位 | 生鮮魚介そう卸売 | 36.2% | 3,592 万円 |
| 第6位 | 一般土木建築工事 | 36.0% | 1,828 万円 |
| 第7位 | 職別土木建築工事 | 33.9% | 1,714 万円 |
| 第8位 | 中古品小売 | 33.8% | 1,840 万円 |
| 第9位 | 医療関連サービス | 33.3% | 3,320 万円 |
| 第10位 | 土木工事 | 33.0% | 1,957 万円 |
令和2事務年度の特徴として、従来上位を占める飲食業(バー・クラブ、外国料理)に加えて、ワースト4位に「医療保健」(不正発見割合36.7%)がランクインした点が挙げられます。コロナ禍において調査件数が大幅に絞り込まれた結果、国税当局が不正の疑いが特に強い医療機関を厳格に選定・調査したことが伺えます。
また、前年10位から3位へ急浮上した利益水準が極めて高い「美容」業界(サロン・エステ等)や、従来からマークされている建設・土木関連業種(一般土木建築工事、職別土木建築工事、土木工事)も引き続き上位を占めています。
これらの業種に該当する法人は、税務署から常に高い警戒感を持ってチェックされているため、日頃から誤解の生じない適正な帳簿作成とエビデンスの保管を徹底することが重要です。
4.まとめ:調査傾向を把握して事前の税務対策を徹底しよう
今回は、国税庁が公開した最新の法人税等に関する税務調査実績データと重点ターゲットについて解説しました。
公表データから分かる通り、税務署は「大口の追徴が見込める法人」や「消費税還付・無申告・現金商売」に対してターゲットを絞り、極めて高い精度で税務調査を実施しています。
自社の事業内容や申告数値がこうした重点項目に当てはまる場合は、税務調査が入ってから焦るのではなく、事前に専門の税理士へ相談して帳簿やエビデンス(領収書・契約書等)の点検を行い、防衛策を講じておきましょう。