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2021.12.13 コラム

コロナ禍における法人に対する税務調査

令和2事業年度の法人に対する税務調査の概要が国税庁ホームページで開示されました。今回はこの調査事績についてお伝えします。因みに令和2事務年度とは、令和2年7月から令和3年6月を指します。より詳細に確認されたい方は以下のリンク先をご覧ください。

令和2事務年度法人税等の調査事績の概要

【目次】
  1. 税務調査の件数
  2. 税務調査による追徴税額
  3. 税務調査の重点調査対象
    1. 消費税還付申告法人に対する取組
    2. 海外取引法人等に対する取組
    3. 無申告法人に対する取組
  4. まとめ

1.税務調査の件数

まずは税務調査の件数ですが、コラムでお伝えした通りの傾向でした。具体的には、令和元年度については調査件数が約7万6千件でしたが、令和2年度は約2万5千件となっており大幅減です(前年比32.7%)。税務調査についてもコロナの影響をもろに受けていることが明確です。因みに、コロナの影響がない平成30年度は9万9千件です。つまり、令和1年度もコロナの影響で例年より少なかったことを考えると、令和2年度の減少率は相当だったことがわかります。

2.税務調査による追徴税額

税務調査1件当たりの追徴税額が特徴的です。令和元年度は3,135千円でしたが、令和2年度は7,806千円に増加し、前年比249%増と大幅増となりました。税務調査の件数が少ない以上、より税金がとれそうなところを集中的に選定したはずです。そのため、前年比で増加することは想定通りですが、2倍以上になるのはちょっと驚きでした。また、不正発見割合(重加算税が課された割合)も21.6%から26.5%に上昇しています。

3.税務調査の重点調査対象

1.消費税還付申告法人に対する取組

前年度も最初に取り上げられていた項目です。多額の消費税還付申告をした場合、基本的には税務調査に選定されるとみておいた方がよいでしょう。不正事例として挙げられていたのが、国内取引として架空の仕入計上をおこない、国外への販売(免税売上)を装い架空計上する事例です。このような事例を一定規模でやってしまうと、税務調査に選定されたらすぐにバレるので、なんでこんなことするんだろうとは思います。税務調査に選定されないと踏んでいたのかもしれません。

以下のコラムでも書きましたが、私の顧問先でも令和2年の確定申告では消費税還付が結構ありました。その理由は、コロナの影響で業況が大幅に悪化している中、固定費を賄えるほどの売上を確保できなかった事業者や、利益率が悪化した中で営業車などの固定資産を購入した事業者などが該当します。このような事業者は、消費税還付の原因が明らかであり、かつ分かりやすいので税務調査に選定される可能性は低いと思います。同じような消費税還付はとても多かったはずですし。

確定申告作業で気づいたこと。消費税還付が増えている…

2.海外取引法人等に対する取組

こちらも前年度と同様です。海外取引絡みは、不正ではなく企業間取引価格のミスといった事例も多いとは思いますが(この知識が豊富な税理士はそれだけでとても稼げます)、海外だとバレないだろう!と高を括って不正に走ってしまう会社もあるのかもしれません。

3.無申告法人に対する取組

同様に例年通りです。結局、この3項目はこれからも注力するという事だと思います(多額の追徴課税も見込めますので)。不正事例としては、接客を伴う飲食店が売上書類を廃棄して申告していなかった事例が取り上げられていました。よくあるパターンです。無申告については再三お伝えしている通り、インボイス制度が始まると無申告法人があぶりだされていくでしょう。一部の飲食店などはまだ逃れられる可能性も高いですが。

3.まとめ

今回取り上げた項目以外にも、不正発見割合の高い10業種や不正1件当たりの不正所得金額の大きい10業種など様々な調査結果が示されています。不正発見割合の高い業種については、バー・クラブが毎年のように上位ですし、今回は美容が10位から3位にアップしている点も注目点かもしれません。因みに業種:美容の範囲がよくわかりません。美容室は入っているんでしょうかね。

最近、顧問先になった方で、エステ関係のコンサルティング業を営む社長がいます。その方が言うには、美容(エステ)は、儲かるところは非常に儲かっているようですが、2極化が激しいようです。どの業界も同じですが、営業・マーケティングがうまくいかないとダメだとの事でした。売上減に悩む取引先に対して、そのマーケティング面でサポートしているようです。

少し話がそれてしまいましたが、今回は、国税庁が公開している令和2年度の税務調査の概要についてお伝えしました。この概要を確認すると、税務調査の傾向が掴めますので、是非原文も確認いただき、税務調査に選定される特徴があるようでしたら、税理士に相談するといった対応を早めに実行することをお勧めします。

 

 

 

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