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無申告のきっかけにもなり得る税理士との関係悪化
先月、無申告の状態が続いていた個人事業主の方について、過年度分の期限後申告をおこないました。通帳の記帳漏れがあったりするなど、資料の収集が結構大変でした。無申告の方の期限後申告で最も大切なのは、経費の資料を可能な限り探し出すことです。そのため、通帳やクレジットカード明細の入手は当然として、携帯事業者に携帯代の明細を貰ったり、健康保険、国民年金の支払い実績を確認するために市役所に行ったり、取引先の請求書を貰いに行ったり、納税者にも結構な負担をお願いしています。その負担が納税額を減らす要因になるので、そこは仕事の合間に時間を作って頂き頑張ってもらいます。
この方が無申告になった理由は、税理士事務所(税理士ではなく担当の職員)との関係悪化でした。私が対応した無申告案件では、税理士との関係悪化しまして~といった事は時々聞きますので、結構多いのかなと推測しています。
【目次】
- 税理士との関係が悪化する理由
- 税理士と良好な関係を維持するには
- 税理士との関係が悪化した後の対応は
- まとめ
1.税理士との関係が悪化する理由
同じようなコラムを書いていましたので(税理士を変更する理由=税理士との関係が悪化)、その理由はこちらのコラムをご覧ください。因みに、今回期限後申告した個人事業主の場合、正当な経費を認めてくれないという理由でした。一番よく聞く話です。
2.税理士と良好な関係を維持するには
これは税理士の立場を加味した上での私の見解です。それは、正当な金額を払ったうえで正当な要求をするです。税理士の立場からすると、安い報酬しか貰っていないのに、過度な要求をされても、それだったら他に行ってよと思います。例えば、税理士に決算料しか払っていないのに、その都度節税の提案を要求されても、、、と私は思います。特に稼いでいる税理士(稼いでいるという事はお客さんをしっかりと掴んでいる能力の高い税理士)は、そういう方向になるでしょう。当税理士事務所は、まだ設立して間もないので、稼いでいる税理士とは言えませんが、安い金額で受注してしまうと後で足かせになるので、原則としてホームページに記載の金額でしか受けていません。
正当な金額を払っている場合、税理士にはどんどんコミュニケーションをとって色々な提案を要求しましょう(勿論、顧問契約書の記載事項に限ります)。例えば、投資をする際に関連する補助金がないか確認したり、経費になるか判断のつかない支出について経費にならないか聞いてみたり(私はこれは結構大事だと思っています)、とりあえず何でも聞いてみたら如何でしょうか。例えば、著名な税理士がツイッターで呟いていましたが、アップルウォッチが経費になる?とか。私も、しっかりと仕事で使っていることをしっかりと理屈づけることできればOKだと認識です。税理士の半分以上はダメ!っていうと思いますが。当税理士事務所の顧問先には、経費になるか微妙な支出があったら私に聞いてね!と伝えています。そこで私の見解をお伝えするようにしています。
税理士に記帳代行を依頼している場合は、資料のやり取りの際に連絡しますので、その際に色々な相談ができると思います。しかし、記帳代行を依頼していない場合、何カ月も連絡がないという事があり得えるのではないでしょうか。私の立場でもこれは結構まずいなと思っているので、こちらは用がなくてもメールや電話をして、近況を伺いこちらに何かできることはないかと話をするようにしています。
3.税理士との関係が悪化した後の対応は
どれだけお互い努力しても関係が悪化することはあり得ます。その理由が、税理士事務所というより担当者が理由なのであれば、担当者を変更するように要求しましょう。それで次の担当者と付き合ってみて状況が変わるかどうか確認します。担当者というより税理士事務所に不信感を持ったのであれば、さっさと別の税理士事務所に乗り替わりましょう。別の税理士事務所を探す場合は、不満だったことをぶつけたうえで、あなただったらどのように対応してくれますか?と聞いて、自分にとってよりよい税理士を探してください。
どうやって税理士を探すのが良いのでしょうか。税理士紹介サイト、freee税理士検索、税理士ホームページ、紹介、色々あります。最近ですとYoutubeもありますね。ここは手間と思わず、1つの手段ではなく複数の手段を使って探すことをお勧めします(全て利用は無料ですし)。
一番ダメなのは、面倒になって放置してしまい無申告になってしまう事です。ほぼ間違いなく数年後に税務署からお達しがきます。これまで無申告だった人はバレない人も多いですが、申告していた人が無申告になった場合は、ばれてしまうのは容易に想像がつきます。無駄に加算税、延滞税を払うことになりますので、本当にダメです。無申告になる位なら、嫌でも今の税理士事務所と付き合いましょう。
4.まとめ
皆さんが税理士に対してシビアに考えるようになると、私たち税理士も顧問先と関係維持をしっかりと意識して仕事をしなければなりません。そして、税理士変更が一般的になると、税理士側も顧問先獲得のきっかけが増えるため、集客力の強い税理士にはいい方向に流れます。そうなると、当税理士事務所は、税理士変更、顧問変更といったキーワードで検索上位に来ないのでまずいかもしれません。もともと集客経路として考えていなかったので仕方ないですし、この分野は税理士紹介サイトが圧倒的に強いので、費用対効果が悪いというのが私の認識です。という事で、このキーワードで勝負するつもりは今のところないのですが。