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2021.11.22 コラム

同族のみの会社において福利厚生費は認められるのか

私の顧問先は中小零細企業ばかりなので、同族役員のみしかいない会社も一定数存在します。そしてよく質問を受けることがあります。それは、社長と奥様で行った旅行は福利厚生費として経費にできるの?という質問です。この質問は、当税理士事務所のコラムでもよく取り上げるグレーゾーンです。そこで今回は、同族役員しかいない会社で開催する社員旅行が経費になるのか?という点をお伝えします。

【目次】
  1. 社員旅行のポイント
  2. 養老保険には否認規定がある
  3. 実質的に私的旅行と認められる旅行とは
  4. まとめ

1.社員旅行のポイント

社員旅行の原則的な考え方を予めお伝えしておきます。社員旅行が給与課税されない要件について、所得税基本通達36-30において以下のように明記されています。

(1) 当該旅行に要する期間が4泊5日(目的地が海外の場合には、目的地における滞在日数による。)以内のものであること。
(2) 当該旅行に参加する従業員等の数が全従業員等(工場、支店等で行う場合には、当該工場、支店等の従業員等)の50%以上であること。

この所得税基本通達の要件に加えて、裁決例をチェックすると旅行代金が高額でない事も重要と言われています。一般的には10万円/1人と言われています。従って、①4泊5日以内、②50%以上参加、③高額ではないという3要件を全て満たした場合、給与課税されない可能性が高いです。この社員旅行については別のコラムで詳しく記載していますので、詳細はそちらをご覧ください。

社員旅行の注意点。税務調査で給与認定されないために

上記の要件は、第3者である従業員がいる会社に限定しているわけではないので、今回のコラムで取り上げる同族役員しかいない会社もこの要件を満たす必要があります。逆にいうと、「同族役員しかいない会社の福利厚生費(社員旅行など)は、給与認定される」といった規定がないという事になります。この否認規定がないから大丈夫という論理をサポートするネタがあるので次に紹介します。

2.養老保険には否認規定がある

同じ所得税基本通達36-31には、養老保険に関して、役員又は使用人の全部又は大部分が同族関係者である法人については、その同族関係者のみを被保険者としている場合には、その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額を給与認定すると明確に謳っています。

使用者契約の養老保険に係る経済的利益

36-31 使用者が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする養老保険(被保険者の死亡又は生存を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含むが、36-31の3に定める定期付養老保険を含まない。以下36-31の5までにおいて同じ。)に加入してその保険料(令第64条《確定給付企業年金規約等に基づく掛金等の取扱い》及び第65条《不適格退職共済契約等に基づく掛金の取扱い》の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益(傷害特約等の特約に係る保険料の額に相当する金額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。
(1) 死亡保険金(被保険者が死亡した場合に支払われる保険金をいう。以下36-31の2までにおいて同じ。)及び生存保険金(被保険者が保険期間の満了の日その他一定の時期に生存している場合に支払われる保険金をいう。以下この項において同じ。)の受取人が当該使用者である場合  当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。
(2) 死亡保険金及び生存保険金の受取人が被保険者又はその遺族である場合  その支払った保険料の額に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
(3) 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が当該使用者である場合  当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。ただし、役員又は特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする
(注)
1 傷害特約等の特約に係る保険料を使用者が支払ったことにより役員又は使用人が受ける経済的利益については、36-31の4参照
2 上記(3)のただし書については、次によることに留意する。
(1) 保険加入の対象とする役員又は使用人について、加入資格の有無、保険金額等に格差が設けられている場合であっても、それが職種、年齢、勤続年数等に応ずる合理的な基準により、普遍的に設けられた格差であると認められるときは、ただし書を適用しない。
(2) 役員又は使用人の全部又は大部分が同族関係者である法人については、たとえその役員又は使用人の全部を対象として保険に加入する場合であっても、その同族関係者である役員又は使用人については、ただし書を適用する

これまでで言えることは何でしょうか。納税者の立場で都合よく解釈すると、同じ所得税基本通達において、養老保険については、ほぼほぼ同族会社の場合は給与認定しますとわざわざ明記しているのに、福利厚生費については、何ら制限をかけていない以上、福利厚生費については給与認定されず経費処理できるよね!と解釈するはずです。私が税理士として立ち会った場合は、このロジックで税務署・国税局と戦うことになります。

3.実質的に私的旅行と認められる旅行とは

しかし、税務署・国税局の立場で有利な文言も存在します。国税庁ホームページには”従業員レクリエーション旅行”について書かれたものがあり、そこでは以下の文章が載っています。

次のようなものについては、ここにいう従業員レクリエーション旅行には該当しないため、その旅行に係る費用は給与、交際費などとして適切に処理する必要があります。

(1) 役員だけで行う旅行
(2) 取引先に対する接待、供応、慰安等のための旅行
(3) 実質的に私的旅行と認められる旅行
(4) 金銭との選択が可能な旅行

経験と知識のある調査官であれば、あなたが福利厚生費として処理した旅行は、実質的に私的旅行と認められる旅行だから給与ですと言ってくるだろうと思います。

4.まとめ

結局、納税者の立場、調査官の立場どちらでも理屈づけることが可能であり、まさしく経費のグレーゾーンと呼ばれるものに該当します。一応理屈づけることが可能であるため、否認リスクをしっかりと認識した上で損金処理しても構いませんが、あくまで自己責任でご対応ください。私自身は顧問先に対して一切勧めていません。あくまで経費にできるか?と聞かれたら今回のコラムの内容を伝えて、あとは自己責任でという感じです。また、税務調査を考えると金額の大きさも重要かなと思います。

以前、国税OBに「同族しかいない会社の旅行について、更正うてますか?」と質問しました。その回答は、「この論点だけだったら更正しないかな」でした。国税OBが言うには、否認したいけど、グレーゾーンと言えばグレーゾーンだから、更正の手続きが面倒なんだよねという事のようです。あくまで国税OB1個人の見解であり、絶対に大丈夫という訳ではないことはご留意ください。

 

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