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2021.05.10 コラム解決事例(無申告・期限後申告)

無申告の時効は何年なのか。個人事業主は?法人は?

税務調査ほどではありませんが、今まで無申告の方が申告したいと相談に来られる方がいらっしゃいます。相談にいらっしゃる方は、無申告を解消しようという意思があるので、あまり関係ないのですが、電話相談を受けると、時効について尋ねる方が一定数います。そこで、今回は、法人や個人事業主の無申告の時効についてお伝えします。
また、無申告のデメリットなどについては、以下のコラムでまとめましたのでご覧ください。
無申告の状態は早く解消しましょう。いずれ税務調査がきますよ。

【目次】
  1. 無申告の時効は何年?
    1. 所得税の時効
    2. 法人税の時効
    3. 住民税の時効
  2. まとめ

1.無申告の時効は何年?

現在、無申告の方は、いつ税務調査がくるのかびくびくしている方が多いのではないでしょうか。もし時効がない場合、例えば、無申告が20年続いた後に税務調査に来られてしまったら、ほぼ間違いなく税金は払えないと思います。人生破綻するでしょう。しかも、税額が確定してしまえば、その税金は実質的に死ぬまで逃れることはできません。しかし、幸か不幸か時効は存在します。だからこそ、逃げ切れるケースもあるため、無申告者が結構な数いるのだと思います。

1.所得税の時効

5年です。所得税の申告期限は3月15日ですので(2019年度と2020年度はコロナの影響で4月15日でしたが)、その日から5年経過済みの年度は、納税から逃げ切ることができます。適切に納税している方からすると、不公平感は否めませんが、そのように決まっています。しかし、偽りその他不正の行為によって税を免れていた場合、7年まで延長されます。

では、偽りその他不正の行為とはどういったことでしょうか。
過去の裁判をみると、国税通則法70条2項4号にいう「偽りその他不正の行為」とは,税額を免れる意図のもとに,税の賦課徴収を不能又は著しく困難にするような何らかの偽計その他の工作を伴う不正な行為を行っていることとされています。例えば、税務調査において、別の口座に売上入金があるにも関わらず、調査官にないと嘘をつくことだったり、架空の外注費がばれないように、虚偽の領収書を作成したりすることです。多くのコラムでお伝えしている通り、税務調査で嘘をつくのも、不正を働くのも絶対にダメです。参考例として、裁決例の1つを取り上げます。「偽りその他不正の行為」と認定されなかったケースです。「偽りその他不正の行為」で検索すると、たくさん出てきますので、興味があれば調べてみてください。

請求人が真実の所得を秘匿するため、虚偽の資料を作成し又は領収証の控えつづりを秘匿するなどして、これらの申告漏れが発覚し難い状況を作出したとかの事実を認めることはできず、請求人が平成17年分の所得税の賦課徴収を不能又は困難にするような何らかの偽計その他の工作を伴う不正な行為を行ったとはいえないから、平成17年分の売上金額の残部の申告漏れに係る行為は、国税通則法第70条第4項に規定する「偽りその他不正の行為」には該当しないというべきである。
国税不服審判所(平成26年1月17日裁決)

2.法人税の時効

所得税と同様、5年です。偽りその他不正の行為によって税を免れていた場合、7年まで延長される点も同様です。個人事業主と比較すると、法人の無申告はそれほど多くありませんが、個人よりもバレる可能性は高いので、早めに解消するようにしてください。

3.住民税の時効

5年です。所得税や法人税と同じです。ここでお伝えしたいのは、滞納した場合の税金徴収です。国税などの税金と比較して、税金の徴収がかなり厳しい傾向があります。私の顧問先にも、約束通りに返済していたにも関わらず、急に市の方針が変わり(上司が変わったから?)、取り立てが厳しくなるという事はよく相談を受けました(差し押さえを強行するなど)。約束通りに払っているのにふさげるなと思うのですが、そもそも滞納している方が悪いという事もあり、なかなかつらい所です。とはいえ、住民税の徴収は厳しい傾向があるという事は理解しておくとよいと思います。

2.まとめ

今回は、無申告の時効についてお伝えしました。結論としては、基本的に5年です。別のコラムでもお伝えした通り、無申告は様々なデメリットがありますし、とにかく精神衛生上、良くないです。当税理士事務所に相談に来る無申告の方は、取引先に税務調査が来たからというように、きっかけは色々とあるのですが、皆さんがいうのは、いつバレるのか?と悶々とする日々だったようです。その無申告が解消した後は、税金の支払いという悩みの種はあるものの、気持ちはかなり楽になったようです。無申告はいつかはバレますので、早めに相談することをお勧めします。当税理士事務所は、顧問契約を締結することを前提にかなり安くしていますので、是非、ご相談いただければと思います。
無申告・期限後申告の料金やご利用の流れ等

 

国税通則法

第七章 国税の更正、決定、徴収、還付等の期間制限
第一節 国税の更正、決定等の期間制限
(国税の更正、決定等の期間制限)

第七十条 次の各号に掲げる更正決定等は、当該各号に定める期限又は日から五年(第二号に規定する課税標準申告書の提出を要する国税で当該申告書の提出があつたものに係る賦課決定(納付すべき税額を減少させるものを除く。)については、三年)を経過した日以後においては、することができない。

一 更正又は決定 その更正又は決定に係る国税の法定申告期限(還付請求申告書に係る更正については当該申告書を提出した日とし、還付請求申告書の提出がない場合にする決定又はその決定後にする更正については政令で定める日とする。)
二 課税標準申告書の提出を要する国税に係る賦課決定 当該申告書の提出期限
三 課税標準申告書の提出を要しない賦課課税方式による国税に係る賦課決定 その納税義務の成立の日
2 法人税に係る純損失等の金額で当該課税期間において生じたものを増加させ、若しくは減少させる更正又は当該金額があるものとする更正は、前項の規定にかかわらず、同項第一号に定める期限から十年を経過する日まで、することができる。
3 前二項の規定により更正をすることができないこととなる日前六月以内にされた更正の請求に係る更正又は当該更正に伴つて行われることとなる加算税についてする賦課決定は、前二項の規定にかかわらず、当該更正の請求があつた日から六月を経過する日まで、することができる。
4 第一項の規定により賦課決定をすることができないこととなる日前三月以内にされた納税申告書の提出(源泉徴収等による国税の納付を含む。以下この項において同じ。)に伴つて行われることとなる無申告加算税(第六十六条第六項(無申告加算税)の規定の適用があるものに限る。)又は不納付加算税(第六十七条第二項(不納付加算税)の規定の適用があるものに限る。)についてする賦課決定は、第一項の規定にかかわらず、当該納税申告書の提出があつた日から三月を経過する日まで、することができる。
5 次の各号に掲げる更正決定等は、第一項又は前二項の規定にかかわらず、第一項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、同項各号に定める期限又は日から七年を経過する日まで、することができる。
一 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、又はその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税(当該国税に係る加算税及び過怠税を含む。)についての更正決定等
二 偽りその他不正の行為により当該課税期間において生じた純損失等の金額が過大にあるものとする納税申告書を提出していた場合における当該申告書に記載された当該純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)についての更正(第二項又は第三項の規定の適用を受ける法人税に係る純損失等の金額に係るものを除く。)
三 所得税法第六十条の二第一項から第三項まで(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例)又は第六十条の三第一項から第三項まで(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例)の規定の適用がある場合(第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出及び税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第三十条(税務代理の権限の明示)(同法第四十八条の十六(税理士の権利及び義務等に関する規定の準用)において準用する場合を含む。)の規定による書面の提出がある場合その他の政令で定める場合を除く。)の所得税(当該所得税に係る加算税を含む。第七十三条第三項(時効の完成猶予及び更新)において「国外転出等特例の適用がある場合の所得税」という。)についての更正決定等
第二節 国税の徴収権の消滅時効
(国税の徴収権の消滅時効)
第七十二条 国税の徴収を目的とする国の権利(以下この節において「国税の徴収権」という。)は、その国税の法定納期限(第七十条第三項(国税の更正、決定等の期間制限)の規定による更正若しくは賦課決定、同条第四項の規定による賦課決定、前条第一項第一号の規定による更正決定等、同項第三号の規定による更正若しくは賦課決定又は同項第四号の規定による更正決定等により納付すべきものについては、第七十条第三項若しくは前条第一項第一号若しくは第三号に規定する更正、第七十条第四項に規定する賦課決定、前条第一項第一号に規定する裁決等又は同項第四号に規定する更正決定等があつた日とし、還付請求申告書に係る還付金の額に相当する税額が過大であることにより納付すべきもの及び国税の滞納処分費については、これらにつき徴収権を行使することができる日とし、過怠税については、その納税義務の成立の日とする。次条第三項において同じ。)から五年間行使しないことによつて、時効により消滅する。
2 国税の徴収権の時効については、その援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする。
3 国税の徴収権の時効については、この節に別段の定めがあるものを除き、民法の規定を準用する。

地方税法

第二款 消滅時効
(地方税の消滅時効)

第十八条 地方団体の徴収金の徴収を目的とする地方団体の権利(以下この款において「地方税の徴収権」という。)は、法定納期限(次の各号に掲げる地方団体の徴収金については、それぞれ当該各号に定める日)の翌日から起算して五年間行使しないことによつて、時効により消滅する。

一 第十七条の五第二項又は前条第一項第一号、第二号若しくは第四号若しくは同条第三項の規定の適用がある地方税若しくは加算金又は当該地方税に係る延滞金 第十七条の五第二項の更正若しくは決定があつた日又は前条第一項第一号の裁決等があつた日、同項第二号の決定、裁決若しくは判決があつた日若しくは同項第四号の更正若しくは決定があつた日若しくは同条第三項各号に定める日
二 第十七条の五第六項の規定の適用がある不申告加算金 同項の決定があつた日
三 督促手数料又は滞納処分費 その地方税の徴収権を行使することができる日
2 前項の場合には、時効の援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする。
3 地方税の徴収権の時効については、この款に別段の定めがあるものを除き、民法の規定を準用する。

 

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