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無申告の状態は早く解消しましょう。いずれ税務調査がきますよ。
無申告だった方からの相談を受けることがあります。2020年は、持続化給付金等を受けたいがために、無申告を解消した方もいるのではないでしょうか。この場合は、通常よりも高確率で税務調査の対象に選定されると思いますが。なぜなら、所得を過少に申告している可能性が高いためです。話が少しそれましたが、今回は無申告であることのリスクについてお伝えします。
【目次】
- 無申告はばれないんじゃないの?
- 無申告のデメリット
- 所得の証明ができない
- 仕事がなくなる可能性がある
- 老後の生活資金が確保できない
- 税務調査で大打撃を受けることも
- まとめ
1.無申告はばれないんじゃないの?
必ずバレるとは言いませんが、いずれはバレると考えておいた方が良いです。その理由をこれからお伝えしますが、まずお伝えしたいのは、税務署が、無申告事業者に対する税務調査に力を入れている点です。以下は令和元年の税務調査の状況ですが、ここには、以下のような文章があります。
令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況
無申告は、申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすこととなるため、的確かつ厳格に対応していく必要があります。こうした無申告者に対しては、更なる資料情報の収集及び活用を図るなどして、実地調査のみならず、簡易な接触も活用し積極的に調査を実施しています。
税負担に不公平感があるのは本当にその通りですし、税務署が力を入れるのは当然と言えます。また、バレるきっかけとしてよく聞くのは、税務署へのタレコミと取引先への税務調査です。これは、複数の国税OBに聞いた話ですので、事実だと思います。また、私の実感とも整合しています。これまでに何度か、以下のような問い合わせがきたことがあります。「知り合いが申告していないようなんだけど、どこに言えばいいの?」と。その場合、管轄の税務署に言ってくださいと伝えるのですが、タレコミは本当に多いようです。取引先に税務調査が入り、そこで無申告であることがバレたというのもよく聞きます。反面調査に行くと、請求書、領収書、会計帳簿等を確認しますので、そこで抽出した先に無申告の方がいれば、当然バレてしまいます。税務調査の相談を受けた際に、「少し前に元請に税務調査が入ったらしくて…」という話も本当によく聞きます。それ以外にも、銀行口座の動きから無申告がばれたりなど、様々な情報に基づき、無申告の状態がばれてしまうのです。
2.無申告のデメリット
では、無申告状態であることのデメリットを考えます。
1.所得の証明ができない
日々の生活では、これが一番大きいのではないでしょうか。その結果、住宅ローンが組めない、事業資金を借りることができない、持続化給付金等の補助金を受けることができない、子供を保育園に入れられないなど様々な制約が発生してしまいます。2019年に無申告のサポートをした方の場合、この年に無申告を解消したことで、後ろめたい気持ちがない状態で2020年に持続化給付金や家賃支援金等を受給でき、本当に感謝されました。
2.仕事がなくなる可能性がある
私が実際に無申告のサポートをした愛知県名古屋市の個人事業主の場合、ある時、元請から確定申告書や開業届を提出してほしいといわれ、慌てて私のところに相談に来ました。事後的ではありますが、開業届や過去の確定申告書を税務署に提出し、それを元請に提出することで事なきを得ましたが、うまく立ち回らなければ、元請から仕事を切られたかもしれません。また、無申告の状態で税務調査に入られた場合、元請に反面調査に入られる可能性もあり、そこで無申告が元請に知られる可能性もあるかもしれません(税務署の職員が、元請に対して無申告であることをばらすことはありません)。
3.老後の生活資金が確保できない
私が相談を受ける無申告の方は、国民年金なども払っていない方がほとんどです。その状態が継続すると、老後の生活資金が確保できず、悲惨な状態に陥る可能性も否定できません。申告をするという事は、適正な税金を払う事ですので、今までの生活は維持できないかもしれいませんが、無申告を解消したタイミングで生活も見直し、前向きに進めてほしいです。私の顧問先にも無申告だった方はたくさんいますが、過去の税金を分割納税しながらもしっかりと頑張っていらっしゃいます。分割納税が終われば、その余剰資金で過去の国民年金や小規模共済といった老後の生活資金の確保にお金を振り分けられますので、当事務所ではそのようなサポートをしっかりと行っています。
4.税務調査で大打撃を受けることも
無申告の状態で税務調査の対象になった場合に問題となるのは、帳簿や請求書・領収書等が残っていないケースが多い点です。通帳履歴やクレジットカード明細からわかるものがあればよいのですが、全てをそれで把握できないため、所得税は推定計算になる場合があります。この推定計算は、経験が大切ですので、請求書等がほとんど残っていない場合は特に税理士に相談して頂いた方がよいでしょう。推定計算の事例については、こちらを参考にしてください。
売上の推定計算が論点となった税務調査-名古屋市のメンズエステ経営
もっと怖いのは消費税です。消費税の計算上、経費として認めてもらう為には、帳簿及び請求書等の保存が必要です。無申告ですので、間違いなく帳簿はないでしょう。その結果、適正に処理していれば本来払わなくて済んだ消費税負担が発生する可能性があります。この消費税の問題については以下を参照ください。
税務調査で消費税の仕入税額控除を認めてもらえない事も(前編)
税務調査で消費税の仕入税額控除を認めてもらえない事も(後編)
調査官との交渉により、こちらに有利な推定計算を採用してもらう事で所得税はかなり減らすことはできたものの、消費税についてはこのルールがネックとなり、それなりの金額になってしまうことは、税務調査の実務では多々ありますので、本当に無申告であることはリスクしかありません。
3.まとめ
今回は、無申告であることのリスクについてお伝えしました。無申告であることは、すぐにではないかもしれませんが、いずれはバレます。そして、バレてしまうとその時に本来払うべき以上の納税負担が発生してしまいます。また、税務調査前に自主的に申告をすれば加算税率も低くなります。ですので、早めに税理士に相談してください。当税理士事務所の料金等はこちらをご覧ください。広告にお金をかけていない分、申告料金を安く設定しています。
無申告・期限後申告の料金やご利用の流れ等
税理士によっては、無申告事案は大変な労力がかかるため、引き受ける事務所は少ないようです。しかし、当税理士事務所では、長年無申告であったとしても(顧問先には、10年以上無申告だった方もいます)、しっかりとサポートしますし、その経験も豊富です。無申告の場合は、一括で納税することもできない場合がほとんどですが、分割納税についてもしっかりとサポートしますので、無申告であることを不安に感じていらっしゃるようでしたら、是非ご相談ください。分割納税については、以下のコラムをご覧ください。
税務調査や確定申告後の分割納税や納税猶予について
以下、2022年追記
令和4年の税制改正で、無申告者に対するペナルティが強化されました。詳細は以下のコラムをご覧頂きたいのですが、本当に厳しいので無申告の方は税務調査に選定される前に税理士に相談しましょう。2022年であればまだ間に合います。
令和4年度税制改正。重加算税、無申告の場合には簿外経費は認めない!