名古屋市で税理士・会計士をお探しなら梁瀬会計事務所「コラム・解決事例」ページ

営業時間:平日 9:00〜18:00(土日祝日も対応可能) 052-990-1575

CONTACT

News & Column

2021.04.22 コラム

税務調査で、役員や従業員によるお金の使い込みがバレることも

税務調査に入った結果、会社のお金を使い込んだことがバレたというのは実際にあります。私も、愛知県の方ではありませんでしたが、かなり遠方の方から電話相談を受けたことがあります。しかも金額が半端なかったので、他人事とは言えこれは結構やばい事案だなと思いました。逮捕される可能性もあるかなと。税務調査で逮捕されるかという点については、別のコラムでまとめましたので参考にしてください。
税務調査で逮捕されることはある?

今回お伝えするのは、その件ではなく、役員・従業員不正などが税務調査にどのような影響を及ぼすかについてお伝えします。

【目次】
  1. 税務調査で不正がばれるのはなぜ
  2. 役員・従業員不正が税務調査に及ぼす影響
  3. まとめ

1.税務調査で不正がばれるのはなぜ

役員や従業員の不正は、皆さんが思っている以上に起きています。金額が大きい場合はニュースになりますが、ニュースにならないレベルの横領などもあちこちで起きています。かなり前ですが私の親族の会社でもありましたし、それ以外でも様々なところで話を聞きます。バレるタイミングとしては、経理担当者の配置換え、内部通報、税務調査などが考えられます。

従業員による不正の具体例を挙げてみました。不正方法は無限にありますのでその一部です。従業員だけでなく、役員による不正も含まれます。

・経理担当が、請求書を捏造して架空口座へ振り込み⇐私が相談を受けたのはこちら
・経理担当が、会社のお金で私的な物品を購入
・営業担当が、売上伝票を廃棄した上で売上代金を着服
・営業担当が、請求書を改ざんして、取引先に水増し請求して、差額を横領
・購買もしくは資材担当が、在庫を横流しして売却代金を着服

税務調査では、調査官が銀行口座や請求書等の証憑を確認しますので、そこでバレることがあります。しかし、不正した人はバレないように様々な対策を講じるので、証憑を確認するだけではバレない事ももあるでしょう。しかし、取引先に反面調査にいくとどうでしょうか?取引先と結託している場合はばれないかもしれませんが、不正は単独でおこなう場合も多いため、反面調査でバレることは多いでしょう。

2.役員・従業員不正が税務調査に及ぼす影響

では、従業員等の不正が税務調査にどのような影響を及ぼすのでしょうか。まず従業員等の不正って会社(経営者)からすると被害者ですよね。経営者に監督責任があるとは言えです。しかし税務調査は、会社(経営者)が思いもしない最悪の方向へと導きます。

分かりやすい例でいうと、”営業担当が、売上伝票を廃棄した上で売上代金を着服”、”購買もしくは資材担当が、在庫を横流しして売却代金を着服”ですが、これって本来であれば、会社が売上として処理すべきものです。それが既存の申告書には計上されていません。そのため、税務調査では、確実に着服した売上代金相当額、在庫の売却代金相当額を、各事業年度に収入(損害賠償を請求する権利のようなもの)として申告するように言われます。感覚的には本来貰うべきお金が貰えなかったのだから、損失のみを計上し税金を返してもらいたいくらいです。しかし、税務上はそれを許してくれません。
横領による損失があるためその部分は損失として認めてくれますが、その見合いとして、従業員等に対する損害賠償請求権を収入として認識しなければなりません。
もっと最悪な結論になる場合があります。それは、横領した金額が、賞与や給与として認定される可能性が高い点です。従業員であれば給与として経費処理できますが(しかし、源泉所得税は回収することが難しいため、その部分は実質的に会社負担になるでしょう)、役員の場合は…そうです、役員賞与と認定され全額損金として処理できません。これこそが最悪の結論です。私が電話で相談を受けたときも、これからできることは役員賞与ではなく役員貸付として認定してもらう事なので、そこは顧問税理士に頭を下げて、頑張るしかないですねとお伝えしました。勿論、役員貸付と認定されたとしても、貸倒損失の計上は非常に要件が厳しいので、損失計上できるのはかなり先になってしまうという事も考えられます(役員賞与よりましだよねという事です)。

従業員不正については重加算税の有無についても論点があるのですが、別の機会にお伝えします。

3.まとめ

今回は、税務調査で役員や従業員による不正が発覚した場合についてお伝えしました。会社は被害者であるにもかかわらず、税務上は被害者として判断してくれません。そればかりでなく、過少申告加算税、延滞税も課されるわけです。最悪の場合、重加算税が課されることも。不正は上場企業のような内部統制システムが構築されている企業でも後を絶ちません。では、不正防止に資金投入できない中小企業は最低限どのような対応をすべきでしょうか。私が考えるポイントは、事務所に多額の現金を保管しない(小口現金のみ)、通帳の履歴を定期的にチェックする、預金の引き出しは複数人で実施、取引先との証憑のやり取りは営業ではなく経理と直接やり取りする仕組みにする、といったところでしょうか。常に第3者の監視がある状況を作り出すことです。これだけでも随分違ってくると思います。

 

 

この記事は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。
また、この記事内容は結果を保証するようなものではありませんので、掲載されている情報を利用することで生じた、いかなる問題、損害等に対しても一切の責任を負いません。自己責任において、ご活用ください。