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2021.03.21 コラム解決事例(税務顧問)

法人の節税方法について…出張旅費規程と役員報酬の活用

前回は、社宅制度の導入についてご紹介しました。今回は、出張旅費規程と役員報酬についてご説明します。社宅制度の導入を含めたこの3点がよく取り上げられる節税対策です。

【目次】

  1. 出張旅費規程を活用する
    1. なぜ節税効果があるのか
    2. 出張手当はどれ位が適正か
    3. 非課税として認めてもらう為にやるべきこと
  2. 親族(非常勤役員)に役員報酬を支給する
    1. 親族に支給する場合の注意点
    2. 支給額はどれ位が適正か
  3. まとめ

1.出張旅費規程を活用する

本来の趣旨は経費精算の手間を省くことですが、節税という視点でお話をします。

もし皆さんが会社に勤務した経験があれば、出張した際に出張手当が支給されたのではないでしょうか。私が事業会社や監査法人に勤務していた際、出張が非常に多かったこともあり(多い年は、年に半分以上とか)、累計で相当の出張手当が支給されていたと思います。この出張旅費規程の活用は、出張が多い場合にはそれなりの節税効果を生み出します。

1.なぜ節税効果があるのか

出張するにあたって通常必要と認められるものについては、所得税がかからないためです。例えば、会社から給料1万円支給された場合、所得税等の税金が発生しますが、出張手当1万円支給された場合は所得税等の税金が発生しないのです。これって、非常に大きいと思いませんか?私はやりませんし、顧問先にもいっさい勧めていませんが、出張が多い役員であれば、役員報酬を低めに設定し、出張手当を高めに設定することで、節税を図るケースも理論的にはあると思います。
勿論、この出張手当1万円で3食分の食事や細かい諸経費を賄うので、まるまる1万円が儲かるという訳ではありません。無駄な出費が多くなるとキャッシュ的には損する事だってあり得ます。
所得税法
(非課税所得)
第九条 次に掲げる所得については、所得税を課さない
四 給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの

2.出張手当はどれ位が適正か

非課税になるとわかれば、今度は出張手当としてどれくらい出すことが可能かについて気になります。所得税法では、「その旅行について通常必要であるとみとめられるもの」であれば、非課税としていますが、あいまいでよくわかりません。そこで、所得税基本通達を確認してみます。

所得税基本通達

(非課税とされる旅費の範囲)
9-3 法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

(1) その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。

(2) その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

こちらも具体的な基準が明示されていないため、よくわかりません。しかし、わかることもあります。それを以下に纏めました。

  • 役員と従業員の間で、手当に差をつけても問題なさそう
  • 役員と従業員の間で、グリーン車と普通車といった形で区別しても問題なさそう
  • 国内出張と海外出張の間で、手当に差をつけても問題なさそう
  • 同業・同規模会社と比較して、大きな差異がなければ問題なさそう(同業・同規模会社が支給する手当額は通常わからないため、常識な範囲であれば問題ないという事だろう)

結局、この常識な範囲がよくわからないのですが、税理士仲間と話していると、社長を前提として、宿泊費は実費精算と仮定し、日帰り日当であれば5,000円/日宿泊日当であれば10,000円/日程度であれば問題ないのではないかなという話をしていました。あくまで、仲間内での話ですので、絶対に大丈夫とは言いません。

3.非課税として認めてもらう為にやるべきこと

まず出張旅費規程を作成してください。当税理士事務所の顧問先については、規程フォームを提供し、顧問先毎にカスタマイズしてもらっています。顧問税理士がいない場合は、ネットで検索するとサンプルが出てきますので、そちらを参考にしてください。そして、実際に出張したことを示す出張申請書、出張報告書、出張旅費精算書を作成すれば問題ないと思います。こちらもネットで探してみてください。税務調査では、手当額の妥当性よりは、本当に出張に行ったのかという実在性が問題になりがちなので、これらの書面は必ず残すようにしてください。

2.親族(非常勤役員)に役員報酬を支給する

一番多いのは、配偶者に役員報酬を支給することで、役員報酬を分散する手法です。所得税は、累進課税ですので、複数人で役員報酬を分け合った方が、支払う税金を減らすことが可能になります。

1.親族に支給する場合の注意点

非常勤役員である親族の業務内容を整理する必要があります。業務内容は、会社によって異なりますので、各々必要な業務を検討します。そのうえで、何も仕事していないのに報酬を払っていれば、税務調査で否認されるリスクが高いです。あくまで非常勤役員ですので、常勤役員と比較すると、間違いなく仕事量は少ないはずですが、どのような業務を行っているかは整理しておきましょう。

2.支給額はどれ位が適正か

5万円から15万円が相場かなと思います。この支給額については、税務調査で必ず論点になるため、15万円支給するのであれば、それだけ支給する理由を予め考えておく必要があります。私の経験上、社長の扶養に入るために10万円未満に抑えているケースがほとんどです。また、過去の裁判例などを見ても、多額の役員報酬は避けた方が良いと思います。以下のコラムにおいて、支給額の妥当性について、より詳細にお伝えしています。

役員報酬について、税務調査や節税のポイントは

3.まとめ

今回は、出張旅費規程と役員報酬の活用についてお伝えしました。役員報酬は、多くの企業が活用していますが(配偶者を非常勤役員とするケースが非常に多い)、出張旅費規程は意外と活用していない企業も多いようです。出張の多い会社は検討してみても良いかもしれません。

前回取り上げた社宅のコラムはこちらです。

法人の節税方法について…社宅制度の導入

 

 

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