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2024.11.14 コラム

資金繰りが厳しいときの対処方法

コロナ融資を利用した会社・個人事業主は多かったのではないでしょうか。私たちも今まで借入してこなかった顧問先に対して、コロナ融資は積極的に活用するように伝えました。今すぐには必要なかったとしても、これほど金利優遇される融資は通常は考えられませんし、コロナ禍後の経営環境が不透明である以上、手元資金は手厚くしておく必要があったためです。実際にコロナ融資で命拾いした顧問先もありましたので、とてもありがたい制度でした。

そして現在、コロナ融資の返済が既に始まっている企業や個人事業主も増えていますが、資金繰りが厳しい先はリスケの相談もしているはずです。そこで今回は資金繰りが厳しい時の対処方法についてお伝えします。

【目次】
  1. 資金繰りが厳しくなる理由
    1. 本業が厳しく売上が大きく減少している
    2. 元請の業績悪化
    3. 無駄な出費が多い
    4. 過剰な在庫
    5. 事業資金の私的利用
  2. 資金繰りが厳しくなった時の対応
    1. 借入の検討
    2. 借入返済の猶予を依頼
    3. 経費を削減する
    4. 在庫を削減する
    5. 資産を売却する
  3. まとめ

1.資金繰りが厳しくなる理由

まず資金繰りが厳しくなる理由を思いつくままにまとめてみました。

1.本業が厳しく売上が大きく減少している

資金繰りが厳しくなるありがちな理由であり、問題の根が深いものでもあります。そう簡単には改善できないものです。私も顧問先から売上減少している局面で相談を受けることが多いですが、財務的な視点やこれまでの経験に基づくアドバイスはするものの、最後は本人が腹をくくって意思決定及び行動しなければなりません。私の観測域でいうと、腹をくくって決断し即行動した顧問先はうまくいっています。

2.元請の業績悪化

元請けの業績が悪化し資金繰りが厳しくなると、元請けからの入金が遅れがちになります。これに振り回されて資金繰りが厳しくなっている顧問先もいます。定期的に相談を受けていますが、どこで厳しめに回収に動くか等々かなり難しい問題です。

3.無駄な出費が多い

売上が順調に伸びている時は気づかないことが多いのですが、売上が悪化するとこの無駄な出費がわかりやすく現れてきます。過剰な設備投資、過剰な人件費、過剰な諸経費(交際費等々)など色々です。過剰な設備投資や人件費は、事業計画が杜撰だったことが大きな要因です。楽観的な売上計画だったのか、資金繰りの視点が欠けていたのか理由は色々でしょうが、過剰な設備投資や人件費を見直すことはかなり大変な仕事です。

4.過剰な在庫

利益が出ているのにお金がないパターンは、この過剰な在庫を抱えているケースが結構多い印象です。そして決算月しか在庫金額を計算しない事も多い中小・零細企業では、手元資金が少ないので利益はほとんど出ていないだろうと推測したものの、実際は多額の利益が発生し納税資金に困ってしまうというパターンまでがセットになります。

多額の在庫を抱えざるを得ない会社や個人事業主は、期末だけではなく少なくとも四半期ごとには在庫金額を把握し、赤字拡大を防ぐために損切り販売をするといった意思決定も必要です。

5.事業資金の私的利用

まともな会社や個人事業主では考えられないのですが、事業資金を私的利用する人は本当に多いです。仮想通貨に投資してみたり、夜のお店に頻繁に通ったり、高価な時計を買ったり、使い道は人それぞれですが中小零細企業や個人事業主ではありがちです。こういったマインドの方を正しい方向へ導くことはかなり難しいです。

2.資金繰りが厳しくなった時の対応

これから取り上げる方法は、同時に進めていく必要があります。

1.借入の検討

既に日本政策金融公庫や銀行からの借入実績がある場合、追加融資ができないか相談しましょう。借入実績がない場合でも、口座を保有する金融機関に相談してみてください。顧問先と話をしていると、金融機関に決算書を提出したあとにあちらから融資提案してくれることも多く、金融機関側はまだまだ貸付意欲が高いことがわかります。資金繰りが厳しい状況なのでありがたく追加融資してもらったらよいのですが、あり得ない条件で融資しようとする銀行担当者もいますので、念のために顧問税理士に事前確認しましょう。

2.借入返済の猶予を依頼

追加融資を受けられない可能性も当然あります。その場合は、既存借入の返済猶予を銀行に相談しましょう。借入期間を延長して月々の元本支払額を抑えたり、いったん利息だけ払ったり等々、方法はいろいろありますので、そこは銀行担当者と協議することになります。今の会社の状況を誠実に説明すれば、基本的には何かしら対応してくれることがほとんどです。

3.経費を削減する

無駄な出費をなくすことは当然として、一つ一つの経費を見直していきます。同じ機能で価格を抑えることができる代替サービスがないか、外注に丸投げしていた仕事を自社で対応できないか等々。ここでの注意点としては、経費は売上のために必要なもの(必要経費)なので、本当に必要な経費まで削減することで売上が減少してしまわないようにしなければなりません。

4.在庫を削減する

過剰な在庫があるという事は、不良・滞留在庫がある可能性が高いです。今すぐに赤字販売でも処分すべき在庫なのか、今すぐに売るべきでない在庫なのか等々、まずは在庫管理を徹底しなければなりません。そのうえで、早急に資金化すべき在庫を把握し売却することで、資金繰りを改善する必要があります。

赤字販売(損切り)は気持ち的に難しい面もありますが、在庫の保管料が発生している事にも考慮しなければなりません。

5.資産を売却する

必要経費と同様、資産も売上のために必要なものです。従って、資産を売却することで売上にどの程度影響を及ぼすのか、詳細に検討することが大前提です。その大前提の下で資産売却をしていきますが、遊休資産は当然売却の対象ですし、無駄に高額な社用車なども売却対象になります。

3.まとめ

資金繰りが厳しくなった時の対応方法として良くないのは、消費者金融からの資金調達です。理由は単純に金利が高いからです。その金利負担によってますます資金繰りが厳しくなる悪循環に陥ります。

とはいえ本当に厳しくなれば消費者金融に手を出さざるを得なくなる事もあり得ます。個人的には、ここに手を出す位であれば廃業も検討しなければならないと思っていますが。そうならないように、先に挙げた対応方法などを含めてできることはすべてやる勢いで進めていかなければなりません。

過去のコラムでもお伝えしましたが、平常時に金融機関からお金を借りておくこともとても大事です。金融機関からお金を借りたがらない方も多いですが、資金繰りで助けてくれるのは基本的には金融機関です。お金を借りるという行為で金融機関と予めつながっておくことは、何かあった時に本当に助かりますので、資金需要がなかったとしてもお金を借りておくことをお勧めします。

 

 

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