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士業(税理士)の独立ノウハウ本|士業経営の本質とは
久しぶりに士業の経営ノウハウ本を読みました。
これから独立開業を目指す方であれば、開業前に読んでおくと多くの気づきが得られる一冊だと思います。
読み進めていくと「一貫性の法則」や「返報性の法則」といった心理学的なアプローチの解説もあり、名著『影響力の武器』の影響も受けている印象を受けました(私自身も『影響力の武器』は定期的に読み返しています)。
私が独立する際にも、先人である税理士が書いた経営本やマニュアル本を数多く読み漁りました。 成功するプロセスに関する考え方は書き手によって様々であり、そうした多角的な視点をあらかじめ知っておくことは非常に大切です。
基本的に本に書かれているのは「実際に成功した人たちの考え方」ですから、その中から自分の価値観や適性に合ったものだけを柔軟に取り入れていけば良いと考えています。
今回は、『士業事務所で年収3,000万円を目指すノウハウ』を読んで感じたことや、私なりの税理士・経営者としての考えをつらつらと書いてみたいと思います。
【目次】
- 「年収3,000万円」のリアルな意味
- 当たり前のことを愚直にやり続ける
- 本の内容に対する税理士・経営者としての考え
- まとめ
1.「年収3,000万円」のリアルな意味
本書では「士業事務所で年収3,000万円を目指す」というテーマが掲げられているため、基本的には個人事業主としての独立を想定していると思います。
ここで注意したいのは、「個人事業主の年収=売上」と捉えるか、「個人事業主の年収=所得(利益)」と捉えるかという点です。
言うまでもなく、売上3,000万円と所得3,000万円とでは達成のハードルが全く異なります。 私自身の想像の域を出ませんが、税理士業界において年間「所得」で3,000万円を稼ぎ出している個人税理士は、それほど多くはないのではないかと感じます。
2.当たり前のことを愚直にやり続ける
本書に書かれていることの大部分は、実はとても「当たり前のこと」です。
固定費の抑え方、ホームページの活用法、クライアントとの向き合い方、付き合うべき人の見極め方など、どれも経営の基本と言える内容ばかりです。
そして同時に指摘されているのが、「その当たり前のことを実行しない士業がいかに多いか」という現実です。
税理士業界に関して言えば、良くも悪くも「当たり前のことを完璧に実行しなくても、何となく食べていけてしまう業界」だからという背景もあるのかもしれません。
逆に捉えれば、当たり前のことを愚直にやり続けるだけで、製造業・飲食業・建設業といった他業種に比べて成果を出しやすい(稼ぎやすい)業界であるとも言えます。
私自身、自分の強みと弱みを冷徹に分析し、それに合わせた自社サイトのSEO対策を愚直に継続してきました。 その結果、広告費ゼロ(完全ゼロ広告)であっても安定して顧問契約を獲得できており、零細事務所の経営としては悪くない状態を維持できています。
最近では自身の業務キャパシティを考慮し、無理に契約数を追う必要もないため、結果として顧問先様の質(相性)も高く保つことができています。
3.本の内容に対する税理士・経営者としての考え
① 集客について
「開業前に準備すべきは、実務経験ではなく集客方法の構築である」という点については、まさにその通りだと共感しました。
どれほど豊富な実務経験や高度な税務知識を持っていたとしても、それを披露し、提供する場(お客様)がなければ宝の持ち腐れになってしまうからです。
私の場合、独立当初は相見積もりになりにくい専門分野でのWeb集客(SEO)を優先的に構築し、そこから徐々に紹介の輪を広げていく戦略を取りました。併せて、freeeの税理士紹介サービスのような「初期コストが発生しない集客手段」も補完的に活用しました。
顧問先の積み上げに伴い、去年の後半あたりからはご紹介案件も着実に増えており、概ね独立前に描いていたイメージ通りに展開しています。
また、Web経由で新規のお問い合わせがあった際には、「私にたどり着いた経路」を必ず教えていただくようにしています。 これにより、自分が獲得したいお客様層へのアプローチ方法をその都度更新し、ブラッシュアップしています。
得意分野によって最適な集客方法は異なりますが、集客成功の一番のコツは「すでにうまくいっている人を徹底的に真似すること」です。
私自身も最初は上手な事例の真似から始まり、それを自分なりにカスタマイズしてSEOを実行することで、一定の成果を上げることができました。
② 顧問先の整理とミスマッチ防止
容易に想像がつきますが、「嫌な顧客(不当な要求をする人や横暴な人)」に対応することは、最も時間と精神力を消耗します。相対する税理士や事務所スタッフが疲弊しますし、結果として優良な顧問先へのサービス品質まで低下してしまいます。
したがって、万が一そのような事態になった場合は、顧問契約書に基づいて速やかに契約を解除する必要があります(契約解除自体、非常にエネルギーを使う作業ですが……)。
私自身は契約前の段階でかなり慎重に相性を判断しているため、幸いなことに当事務所にはそういったお客様がおられず、ストレスとは無縁の環境を作れています。 「嫌な人と付き合わなくて済む」というのは、独立して事務所を経営する最大のメリットだと実感しています。
一番良いのは、契約前の段階で「良い顧客か悪い顧客か」を見極め、良い顧客とだけ契約を結ぶことです。 ここには税理士側の見識や経験値が必要になってきますが、判断基準は人それぞれで良いと思います。
本書の中でも「集客経路(リスティング広告・自然検索・紹介など)によって顧客の質や傾向が異なる」という具体例が挙げられていました。 皆さんが想像される通りの結論が書かれており、一般論としてはまさにその通りだと思います。
しかし、自社サイトでの発信内容や集客手法を工夫することで、「ミスマッチな顧客からの問い合わせ自体を事前に減らす」ことは十分に可能です。
4.まとめ
今回取り上げた内容は、本書の中に散りばめられたノウハウのほんの一部です。
成功する士業事務所の作り方について具体的かつ実践的なアドバイスが詰まっており、1〜2時間もあれば一気に読み通せます。
独立を考えている方や、現在の事務所経営の方向性に悩んでいる方は、隙間時間にサッと読んで自らの経営方針と照らし合わせてみてはいかがでしょうか。