名古屋市で税理士・会計士をお探しなら梁瀬会計事務所「コラム・解決事例」ページ

営業時間:平日 9:00〜18:00(土日祝日も対応可能) 052-990-1575

CONTACT

News & Column

2023.06.22 コラム

貯金と退職金全額を不動産投資へ???

コラムのネタに困っている時に、たまたまファイナンシャルプランナーの記事を拝見しました。相談に答える形式です。相談者の前提は以下のような感じです(少し変更しています)。

  1. 75歳まで住宅ローンを払い続ける必要がある(毎月10万円位)
  2. 退職金と貯金の合計が約1,500万円
  3. あと数年間は大学生の子供に仕送りが必要

年金だけでは暮らしていけず、住宅ローンを払い終えるまでは再雇用で働き続ける必要があるのですが、何か良い方法はありませんか?という内容です。

そこでファイナンシャルプランナーは、住宅ローンの繰り上げ返済は行わずに、退職金を投資などで運用していくことが効果的であり、1つの方法として不動産投資をお勧めしていました。その上で、リスクを抑えて安定的な収入となるような物件に絞ること、比較的都市部で駅近の区分マンションであること、駅近であれば築年数はあまり気にしなくて良いこと等々が書かれていました。そして、仕送りがなくなった時から働く必要はなく年金暮らしでいけると。

この相談者は架空かもしれませんし、ファイナンシャルプランナーも集客だったり手数料を得るために記事を書いており不動産投資を勧めるのはわかるのですが、この相談者の条件で不動産投資はおすすめしないです。その理由をつらつらと書いていきます。

  • 退職金と貯金全額(つまり資産全額)を投資に回すこと自体、ありえない
  • 投資って基本的には余裕資金でやるものじゃないの?住宅ローンが残っている以上、退職金と貯金は余裕資金とは言えない
  • リスクを抑えて安定的な収入となるような物件に絞るってどうやって?
  • 60歳になって初めて不動産投資をするような人に良い物件の情報は回ってくるの?
  • 仮に62歳から年金暮らしを開始して、投資物件が空室になったらどうするの?一度、働くのを辞めて再雇用を希望しても難しいのでは?

少なくとも、私の顧問先だったら絶対にやめましょう!と言います。今までのコラムで何度もお伝えしている通り、不動産投資は当たり前ですが物件がすべてで、良い物件に巡り合えるのはお金と情報を持っている人たちです。情報を持っていない一般人に回ってくる不動産は、不動産投資家が投資対象と見なさなかった物件ですので、基本的に儲からない可能性が高いわけです。絶対に儲からないとは言っていません。可能性の問題です。

「不動産投資には空室リスクがあること」という当たり前の知識さえもっていれば、この提案は現実的ではないと判断し拒否すると思いますが、実際にはうまくいく将来だけをイメージして投資する人もいるのでしょう。とはいえ、昔と違って今はgoogleという検索ツールがあり今の50代であれば問題なく活用できます。その結果、情報格差が小さくなっていますので、こういった負け戦に挑む方は今後減っていくとは思いますが。

私の周りにも不動産投資をしていて儲かっている人と儲かっていない人がいますが、その違いはやはり資金力と情報力です。資金力は何ともしがたい面もありますが、情報力は意欲や努力によるところが大きいです。そして、儲かっている人はその情報収集のためにお金をたくさん使っていますし、時間も使っているのが現実です。

税理士事務所には不動産業者からたまに連絡が来ます。収益物件の紹介です。私に連絡が来た場合は、「親族に不動産業者がいるので必要ありません」と伝えて断るのですが、実際はこう思っています。儲かる物件なら上客に紹介するでしょ。私の知り合いには明確にこのように言って断る人もいます。

私を含めて税理士が言っていることがすべて正しいとは限りませんし、保険外交員やファイナンシャルプランナーなども同様です。従って、何かしら大きな意思決定をするときには、最終的には自己責任ですから(後になって税理士に文句を言っても問題は改善しません)、ご自身でしっかりと考えたうえで意思決定しなければなりません。

言われるがままではなく、自分で考えて意思決定しましょう!スマホさえあればある程度は調べることができるでしょう、今回はこれを言いたかっただけです。

 

 

 

この記事は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。
また、この記事内容は結果を保証するようなものではありませんので、掲載されている情報を利用することで生じた、いかなる問題、損害等に対しても一切の責任を負いません。自己責任において、ご活用ください。