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2022.12.08 コラム

副業に対する税務調査

このコラムを書いているのは10月なのですが、副業300万円の問題が話題になっていました。厳密には、「記帳・帳簿があれば事業所得になる」という解釈はフリーランス側の都合のよい解釈ではあるものの、現実には帳簿さえ保存していれば、社会通念上、事業と言える程度の規模か?という前提は形骸化するような気がしています。

今回大きく取り上げられたのは、事業所得は赤字の場合に給与所得等と相殺できますが、雑所得の場合は相殺できません。青色申告の65万円控除ができなくなるという点よりも、この相殺できない点が騒がれていた理由のような気がしています。結果として、国税庁が大幅に修正しましたのでフリーランスの勝利です。特にこれから真面目に副業する人たち(帳簿書類をしっかりと作成・保存する人たち)にとっては、雑所得と認定される可能性が低くなったので、今回の改正は良かったのかなと思っています。では不真面目な人たちにとっては、どうでしょうか?

【目次】
  1. 副業で赤字とは
  2. 税務調査への影響は
    1. 適切に申告している納税者
    2. 適切に申告していない納税者
  3. まとめ

1.副業で赤字とは

そもそもなのですが、副業で赤字って何で?と思います。副業を始めるにあたって設備投資といった初期投資があれば、初年度は赤字になるケースもあるのかもしれませんが、普通に考えると赤字はあり得ないと思っています。多額の初期投資が発生するようなケースは、そもそも事業所得になる可能性が高いですし、副業で赤字は基本的に違和感があります。

ではどうして副業で赤字になるのでしょうか?それは副業とは関係のない支出が盛りだくさんだからです。少なくとも国税庁はそのように考えているからこそ、今回のドタバタ劇が発生したのではないでしょうか。

2.税務調査への影響は

1.適切に申告している納税者

雑所得認定の可能性も低くなりましたので、以前よりも状況が良いです。

2.適切に申告していない納税者

プライベート盛りだくさんの申告をしている方は多いと推測されます。今回の改正があったにも関わらず、帳簿書類を保存していない方もいるでしょう(プライベート盛りだくさんの支出があるのでそれがばれたくないから)。その結果、事業所得を否認されて雑所得認定。給与所得等との相殺が認められず追徴課税発生という流れになります。経費の一部も否認されるでしょう。

今回の改正に従い、帳簿書類を保存している方もいるでしょう。その場合は経費の明細が明確なので、プライベート盛りだくさんであることがバレバレです。その結果、経費否認されて追徴課税という流れになります。

つまり、今回の改正によって、税務署の調査官は追徴課税しやすくなったと思っています。

3.まとめ

副業収入300万円規模であれば、税務調査に選定しても追徴税額は多額にはなりませんので、税務調査に選定される可能性は低いのが現状です。私は副業の税務調査に立ち会ったことはありません。その理由は、税務調査に選定される可能性が低いことと、税理士に立会を依頼すると安くても30万円くらいかかりますので、費用対効果が低い点もあるかなと。

副業の申告をしている方たちは税理士に依頼するケースも少ないと思います(数万円の報酬でやってくれる税理士もいるかもしれませんが)。当税理士事務所は、無申告・期限後申告で関わった1名のみ、副業の申告を相応の値段でサポートしている程度です。

従ってネットの怪しい情報を鵜呑みにして(都合よく解釈して)、不適切な申告をしている方も多いのでしょう。税務調査の選定という点で今後どうなるんでしょうかね。

 

 

 

 

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