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News & Column

2022.12.01 コラム

免税事業者のインボイス制度への対応

インボイス制度については、税制改正で軽減措置等を検討しているようなので、今回のコラムはあくまでコラム公開時点を前提としています。

2023年10月からインボイス制度が始まります。税理士事務所を含め、事業者にはとても影響のある制度です。税理士事務所にとっては、記帳代行などの工数がかなり増える中、それに伴って報酬を上げるのがなかなか難しいので、マイナス面が大きいと思っています。

事業者も相手が課税事業者か免税事業者か把握する手間が増えますし、免税事業者は消費税を払うか否かという点で大きな影響が出ます。無申告の事業者もあぶりだされるでしょう。

このように事業者に大きな影響を及ぼすインボイス制度ですが、国にとっては消費税のとりっぱぐれが一定程度解消されるというメリットがあります。

【目次】

  1. インボイス制度とは
  2. 免税事業者の対応
    1. 課税事業者になる
    2. 課税事業者にならない
  3. まとめ

1.インボイス制度とは

改めてインボイス制度ですが、その概要については国税庁ホームページに任せようと思います。インボイス制度で検索して頂くと、「インボイス制度の概要」という国税庁のサイトがヒットしますので、そこにアップされている制度概要のパンフレットが比較的わかりやすいと思います。

インボイス制度が始まる1年前の今年10月から、確実にインボイス登録する顧問先が電子申告を始めています。電子帳簿保存法のようにぎりぎりになって延期する可能性も0ではないので様子見でしたが、さすがに予定通り開始する可能性が高いと判断しました。そのように判断したにもかかわらず、最近軽減措置がどうのこうのという話がニュースになっており、心底うんざりしているところです。ぎりぎりになって変更するような事を決めるなよと、電子帳簿保存法の時と同じことを思いました。

2.免税事業者の対応

顧問先で最も影響が大きいのが、免税事業者である個人事業主がインボイス制度に対してどのように対応するかという点です。免税事業者(売上1,000万円未満)にとって消費税の負担感はかなり大きいので、慎重に検討する必要があります。

1.課税事業者になる

私の顧問先の場合、BtoBのビジネスをやっている一人親方のような個人事業主の大部分は、課税事業者を選択することになりそうです。予想通りですが、元請からアンケートなどが届いており、別に強制という訳ではないものの現実問題として課税事業者にならざるを得ないのかなという印象です。

2.課税事業者にならない

BtoCビジネスの場合、今のまま免税事業者を選択することができるケースも多いです。例えば、家族で経営している飲食店、麻雀店、バーなどでしょうか。スナックなどの夜のお店は接待で使われることも多いので、接待で使われる飲食店はインボイス登録せざるを得ないかもしれません。普通の定食屋などは登録しないと思います。私の顧問先の場合、インボイス登録しない飲食店も普通にあります。

BtoBビジネスでも課税事業者にならないケースが幾つか考えられます。

元請が負担してくれるケース

インボイス制度が始まっても、最初の3年間は2割負担、次の3年間は5割負担、それ以降は全額負担というように経過措置がとられています。そこで、2割しか負担しなくてよい3年間だけは、元請が消費税を負担してくれるケースがあります。私の顧問先でも、外注先の負担軽減を重視し、最初の3年間だけは免税事業者のままで良いよという結論を出した会社があります。

元請が簡易課税を採用しているケース

元請が簡易課税を採用している場合、支払先が免税事業者だろうが課税事業者だろうがどうでも良いので、下請けが免税事業者を選択できる余地があります。このケースでも、私の顧問先で下請けとして働いてくれている個人事業主の負担軽減を重視し、原則課税と簡易課税の有利不利がほとんどなく大きな投資も予定していない事から、自社が簡易課税を選択した上で下請けには免税事業者のままで良いよと伝えた顧問先もいます。

3.まとめ

インボイス制度に対する免税事業者の影響についてお伝えしました。現実には、多くの事業者は課税事業者にならざるを得ません。消費税まで負担してしまうと、やっていけない!と判断したフリーランスが会社員に戻るという動きも出てきそうです。私の顧問先をみても、現実問題厳しい事業者もいるのが現状です。

顧問税理士がいる事業者は、税理士主導で粛々とインボイス制度への対応を進めていますが、顧問税理士のいない個人事業主も多いでしょう。来年10月に近づくにつれ国全体がばたばたしそうです。すでに色々なところで否定的な声が大きくなっています。だからこそ軽減措置の話も出始めていますし。

当税理士事務所は、税務調査、無申告の期限後申告、税務顧問といった今後お付き合いが発生しうるケースについては、最初の相談を無料で受けているのですが、単なる相談については1時間1万円頂いています(ただで教えてほしい!という人を避けるため)。実際は少ないと思いますが、それだけ払ってもインボイスについて教えてほしい!という方も出てくるのかもしれません。

 

 

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