お知らせ・コラム
News & Column
税務調査の対策は税理士によって異なる
東京在住の個人事業主の方から税務調査の問い合わせがありました。今回のコラムを公開する日は、その時からかなり経過しているので、税務調査は既に始まっていますし終わっている可能性もあります。今年、愛知県以外の方から連絡が来ることはなかったので、東京の方であっても探せば弊社のホームページに行きつくという事だと思います。税務調査について執筆したブログから弊社を見つけた可能性が高いですが、ホームページの集客力が高まっている事を実感できる案件でした。
その個人事業主の方は、リスティング広告を出している税理士を含め、色々な税理士に相談していたのですが、事前に修正申告を提出するべきか否かで各税理士事務所のアドバイスが異なり迷っていました。そこで今回は、税理士によって税務調査の交渉方法は異なります!という点についてお伝えします。
弊社は原則として、顧問契約を締結して頂くことを前提に税務調査に立ち会うのですが、顧問契約を前提としていることがネックだったようで、今回は受注していません。従って、結果がどうなかったかも知りません。
【目次】
- 事前に修正申告を提出するのか
- 経費の積み増し方など
- まとめ
1.事前に修正申告を提出するのか
一番違いが出るのは、事前に修正申告を提出するか否かです。一部の税理士事務所は、どのようなケースでも事前に修正申告する事を勧めるようです。税理士によって戦略や方針は違いますので、何が正しくて何が間違っているのか、ここで明確にすることはできません。しかし、1つ事実があるとすれば、事前に修正申告を依頼した場合、税理士への報酬は格段に増えます。これは間違いないと思います。なぜなら工数が飛躍的に増えるためです。
今回のケースでも税理士によって異なりました。あるリスティング広告を出している税理士事務所や私は、事前に修正申告を提出することをお勧めしましたが、別の国税OBは事前に修正申告を提出するべきではないという話だったようです。しかも、税務署は受け付けてくれないとも言っていたそうです。?????。このように税理士でも言う事が違いますので、納税者は混乱しますよね…。そして実際にどちらが正しいかはわかりません。結果を比較することができないので。
このように混乱する可能性はあるものの、私が以前からお伝えしている通り、複数の税理士に相談するべきです。「前に相談した税理士は修正申告を提出するべきというアドバイスでしたが、どうして提出するべきではないのですか?」という風に、言っていることが違うのであればその事を質問したらよいのです。今回のケースでも、私は納税者の申告状況や残っている資料から判断し、事前に修正申告すべき理由をしっかりとお伝えしました。税務調査に慣れている税理士は、その理由は明確に答えてくれるはずです。
わからない事は税理士に質問し、比較した上で、より誠実に対応してくれそうな税理士、自分に合っている税理士を選べばいいのです。以前、事前の修正申告についてブログを書いていますので参考にしてください。
2.経費の積み増し方など
特に個人事業主の税務調査の場合、税務署が対象とするような税務調査に限定すると、事前の修正申告を除けば、税理士によってそれほど大きな差異はないのではないかと思っています。例えば、領収書やレシートがない中でどうやって経費を積み増していくのか?、重加算税を課せられないようにどのように事前準備をしていくのか?(⇐この対策の1つが事前に修正申告を提出することです)等々。国税OBに相談する限りそのように感じます。勿論、税務調査に慣れていない税理士と比較すると、大きな差異があります。あくまで税務調査の経験豊富な税理士に限定した比較です。
とはいえ、国税OBは税務署の立ち振る舞いを熟知しているので、その点は税務調査の交渉において有効に活用されていると思います。私も国税OBからその点は色々と教えてもらいましたが、それでも税務署の内部に長く在籍した方には当然及びません。従って、理屈以外の最後の一押しは国税OBの方が圧倒的に強いと思います。しかも、税務署側の調査官の多くは自分の後輩だったりするので、言わずもがなです。
私自身は、納税者も調査官も妥協できる結論に持っていくように心がけています。調査官も人なので、納税者の主張ばかりしても良い結果が生まないというのが経験に基づく結論であり、納税者に有利な結論に導くことは当然として、調査官が上司や税務署長などに説明できないような要求までは基本的にはしません。納税者の為にはならないのであれば(納税者が納得しないのであれば)、修正申告に応じることもありませんが。
3.まとめ
事前に修正申告するか否かは本当に税理士によって判断が異なります。だからこそ、最初に相談した税理士の話を鵜吞みにするのではなく、色々な税理士に相談し、自分なりに納得した上で結論を出してください。税理士への報酬もかなり違いますし。結局、結論は複数の税理士に相談しましょうという私のブログのいつもの結論に落ち着きました。
余談ですが、事前に修正申告する事を税務署は嫌がるようです。前職の税理士法人では、私自身年間30件以上の税務調査に立ち会っていましたが、独立後はリスティング広告を出している訳ではないので、税務調査に立ち会う回数は年間10件いかないと思います。従って、同じ税務署に何度も事前に修正申告を提出することはありません。しかし、同じ管轄の税務署に何度も事前に修正申告を提出する税理士事務所があると、あからさまに嫌がられることもあるようです。事前に修正申告を提出されてしまうと、税務署の指摘による追徴税額が減ってしまうので、ノルマを達成できないからですかね。私たち税理士は納税者側ですので、事前に修正申告を提出することが良いと判断すればこれからも採用しますが。
さらなる余談ですが、現時点の今年の関与案件を振り返ると、昭和税務署の案件については、税務調査に2回立会い、有料相談を1回受けましたので、合計3回絡みがありました。他の税務署は1件ずつです。今年は昭和税務署の引きが強かったです。
愛知県以外では、当税理士事務所のホームページは集客力がありません。従って、可能性は限りなく低いですが、実家のある佐世保の税務調査に関与したいです。自然検索ではほぼ不可能である以上、リスティング広告を出す必要がありますが、そもそも事務所が名古屋という点から集客は難しく現実的ではありませんが。
当税理士事務所は、最初の相談は無料で受けていますし、税務調査の立会いを依頼した場合の料金は広告費にお金をかけていないこと、顧問契約を前提にすることで、他の税理士よりも安く設定しています。詳細はこちらをご覧ください。勿論、税務調査の日程調整も含めて対応します。