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2022.07.07 コラム

個人事業を廃業しても所得税の予定納税は必要か?

6月に税務署から予定納税額の通知書が届いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。顧問先には今回から予定納税の対象になった方がいたり、逆に予定納税の対象から外れた方がいるので、そういった方達から何度か質問がありました。

当税理士事務所の場合、個人事業主から法人成りする方が毎年いますのでよく質問を受けるのですが、個人事業主が法人成りした場合に所得税の予定納税を支払う必要があるか否かについてお伝えします。

【目次】
  1. 所得税の予定納税とは
  2. 予定納税を支払う時期
  3. 個人事業を廃業しても予定納税は必要か
  4. 予定納税額の減額申請書の提出期限

1.所得税の予定納税とは

予定納税とは、前年度の確定申告書に基づき算出した税額が15万円以上の場合、今年度の所得税および復興特別所得税の一部をあらかじめ納付する制度です。要は一定額以上稼いだら次年度は予め税金を払ってくださいね!という内容です。予め支払っているので、今年度の確定申告書を提出した後に払う税金は、事前に払った分を差し引くことができます。

2.予定納税を支払う時期

予定納税基準額の3分の1の金額を、第1期分として7月1日から7月31日までに、第2期分として11月1日から11月30日までに支払います。例えば、予定納税基準額が90万円の場合、第1期分として7月31日までに30万円支払い、第2期分として11月30日までに30万円支払います。この支払った60万円は最後に差し引きます。先払いとはいえ一括で多額の税金を支払う必要がないため、負担感は軽減されるかもしれません。

3.個人事業を廃業しても予定納税は必要か

結論から申し上げると予定納税は必要ありません。しかし、予定納税を回避するためには税務署に届け出が必要です。具体的には「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」を税務署に申請しなければなりません。

下記は国税庁のホームページから抜粋したものですが、減額申請書を提出できる要件が明記されています。この中の(1)に廃業と書かれていますので、法人成りした場合も含めて予定納税を回避することが可能です。

[手続名]所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続

(1) 廃業や休業、失業をした場合
(2) 業況不振などのため、本年分の所得が前年分の所得よりも明らかに少なくなると見込まれる場合
(3) 災害や盗難、横領により事業用資産や山林に損害を受けた場合
(4) 次の1から5のように、本年分の所得控除額や税額控除額が前年分と比較して増加する場合
1 災害や盗難、横領により住宅や家財に損害を受けたなどのために雑損控除を受けられる場合
2 多額の医療費を支出したため、医療費控除を新たに受けられる場合や前年分よりも医療費控除額が増加する場合
3 配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除を新たに受けられる場合や、これらの控除の対象となる人が増加した場合
4 社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除の控除額が増加する場合や、一定の寄附金を支出したため寄附金控除を受けられる場合
5 (特定増改築等)住宅借入金等特別控除や政党等寄附金特別控除、認定NPO法人等寄附金特別控除、公益社団法人等寄附金特別控除、住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除、認定住宅新築等特別税額控除などを新たに受けられる場合や、これらの控除額が増加する場合

なお、上記(1)から(4)以外の場合でも、特殊な事情が生じたことにより、予定納税額の減額を申請することができる場合があります。

4.予定納税額の減額申請書の提出期限

注意点は提出期限です。予定納税の第1期から減額申請する場合は、7月1日から7月15日までに管轄の税務署に提出してください。当税理士事務所では、顧問先で法人成りした先については一括で7月3日に各税務署に電子申告しました。

 

 

 

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