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2022.04.14 コラム

税理士に任せずにセルフ申告を

個人の確定申告がようやく完了しました。2月決算の税務顧問がないので、税理士の仕事はひと段落しました。しかし、これから3月決算の会計監査が忙しい期間に突入するので、5月の連休まではそちらに時間を取られてしまいます。忙しくない時期が本当にないので、会計監査の仕事を減らす必要があると前から考えているものの、人不足が深刻という事情もありなかなか実現しない状況です。

とはいえ、個人の確定申告前に比べると忙しくないので、ブログの執筆を再開しました。最近アップしていたブログは過去に書きだめていたものです。そのネタを探している最中に、法人の申告書作成も自分で楽に簡単に、というfreeeの広告を発見しました。年間24,800円でできちゃいますよ!というお話です。とてもいい話のように聞こえますが実際はどうなのでしょうか。今回のこの点について考えてみました。

【目次】
  1. セルフ申告と代理申告
  2. セルフ申告のポイント
  3. 税理士とfreeeの利害が対立?
  4. まとめ

1.セルフ申告と代理申告

freeeのホームページをみると、セルフ申告と代理申告について定義していますが、ザックリいうと、前者は税理士に依頼せずに自分で申告すること、後者は税理士に依頼して申告を任せることです。そのままですね。

2.セルフ申告のポイント

自分で申告をするという事なので、記帳も自分でやるという事です。つまり、以下の作業も会社(社長だったり経理職員)がやらなければなりません。

  1. 領収書の整理など
  2. 経費になるか否かの判断
  3. 会計システムに仕訳入力
  4. 決算仕訳の入力
  5. 確定申告書の作成および申告

freeeを活用することで、No3とNo5が効率的に実施できますよ!という事なので、元々税理士に依頼せずに申告していた法人や自計化していて申告だけ税理士に依頼している法人については、freeeの活用を検討する価値はあります。

では、今まで税理士に丸投げしていて、年間24,800円に惹かれて自分でやるべきか?という点ですが、この点は相当慎重になるべきというのが私の見解です。そもそも面倒だからこそ税理士に丸投げしていた訳で、お金が安くなるという理由で自計に切り替えると間違いなく痛い目にあいます。

ホームページをみると、税理士を活用せずとも簡単に使いこなせるような雰囲気があります。だって、法人の申告書作成も自分でラクに、簡単にですから。しかし、実際はそうはならないので、安さにひかれて自社でやり始めたもののうまくいかず、決算付近で税理士に助けを求めるパターンが増えるような気がします。しかし、決算付近で受けてくれる税理士はあまりいないので(このケースであれば、当税理士事務所も基本的には受けません)、通常よりも高い報酬を払って税理士に助けてもらうことになるでしょう。

3.税理士とfreeeの利害が対立?

freeeと税理士は密に連携しているのですが(当税理士事務所もfreeeにそれなりのお金を支払った上でfreeeソフトを利用させてもらっています)、今回の広告は税理士から仕事を奪うような話なのでしょうか?私はそうでもないかなと思います。

今回の広告に惹かれる会社は、24,800円で申告ができてしまうという点ではないでしょうか。という事は、そのような会社は税理士にあまりお金を払いたくない層です。税理士は、すぐに値引きを要求するような会社や個人事業主とは付き合いたくないので、そもそも税理士が関わる案件はそう多くないような気がします。つまり、自計化している事業者やそもそも税理士を必要としていない事業者を除いた上で、この広告に惹かれる事業者は私たち税理士がターゲットにしていない層ではないかと。

4.まとめ

今回はfreeeの広告についてお伝えしました。今回の広告について他の税理士がどのように思っているかは知りませんが、脅威に感じている税理士っているんですかね?私と同じように客層が被らないから問題ないと考えている人が多いのではないでしょうか。私の顧問先にはいませんが、すぐに顧問料を安くしてほしい!と言ってくる会社や個人事業主は一定数いると思います。私の顧問先で正当な理由なく値引き要求してきた場合は、この広告をみせてご自身でやってくださいとお伝えします。

このコラムを公開した後に、個人事業主の方から問い合わせが来ました。freeeで簡単にできる!と書いてあるのに全然うまくできません!どうしたらいいですか?という相談です。現実問題として、そんな簡単にできませんよとお伝えした上で、当税理士事務所はこの顧問料・記帳代行料であれば受けることは可能ですとお伝えして、電話は終わりました。何だか今後同じような相談がどんどん来る予感がします。値下げは一切しないので、受注することはほとんどないでしょうが。

銀行口座とクレジットカードを登録すればあとはAIが何でもやってくれると誤解している人が結構いそうな気がします。さすがにそれは無理ですよね。とはいえ、freeeやマネーフォワードはとても素晴らしいシステムであることに変わりはありません。私たち税理士事務所の工数削減にもつながっていますし、利用料の大幅な値上げなどがない限りは使い続けていきたいと思っています。

 

 

 

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