名古屋市で税理士・会計士をお探しなら梁瀬会計事務所「コラム・解決事例」ページ

営業時間:平日 9:00〜18:00(土日祝日も対応可能) 052-990-1575

CONTACT

News & Column

2022.03.24 コラム

マイクロ法人のメリット

顧問先から、「個人事業主+法人」の組み合わせで事業を進めるか、「法人+法人」の組み合わせで事業を進めるかについての相談を受けている時に、たまたま「税理士河南のYouTubeチャンネル!」というYouTuberを見つけました。チャンネル登録者数 7万人超えていますのでとても凄いです!そのYoutubeの中でマイクロ法人というキーワードが出てきましたので、今回はこのマイクロ法人について整理してみます。

【目次】
  1. マイクロ法人とは
  2. マイクロ法人のメリットの前提
  3. マイクロ法人のメリット
    1. 社会保険料の負担軽減
    2. 所得税等の節税
    3. 消費税の節税
  4. マイクロ法人のデメリット
  5. マイクロ法人の注意点
    1. 個人と法人で別々の事業をおこなう
    2. マイクロ法人から受け取る役員報酬は少なく
  6. まとめ

1.マイクロ法人とは

マイクロ法人に明確な定義はなさそうですが、様々なサイトをみると、「規模の拡大を目的としないひとり会社」とか「株主と取締役が一人の小さな会社」と明記されていることが多いです。

2.マイクロ法人のメリットの前提

このマイクロ法人の定義だけを確認すると、個人事業主が法人成りした場合でもマイクロ法人には該当します。しかし、マイクロ法人のメリットを語る上での大前提は、個人事業主とマイクロ法人の両建てでビジネスをやる事です。私も当税理士事務所を個人事業主として経営していますが、それとは別に会社も経営しているので、同じ状況といえば同じ状況です。

3.マイクロ法人のメリット

1.社会保険料の負担軽減

私は社会保険料の負担軽減が最も大きいメリットと考えます。個人事業主として稼いでいるのであれば、負担をかなり軽減できます。個人事業主の方は、国民健康保険と国民年金に加入していますが、国民年金の負担は大きくないものの、国民健康保険の負担は所得に応じて半端ない金額になります。私の顧問先でも最大値で払っている方も結構います。建設国保に加入している場合は定額ですが。

そこで、マイクロ法人を設立して、役員報酬を受け取るようにすれば、「国民健康保険+国民年金」から「健康保険+厚生年金」に切り替わります。ここで重要なことは、両方負担することはないという事です。そこでどうするか?役員報酬を10万円位に設定するんです。そうすることで、個人事業主としてどれだけ稼いでも、健康保険と厚生年金の負担はあくまで10万円の基準で算定されるので、負担が大きく減るのです。

2.所得税等の節税

所得税は累進課税ですので、稼げば稼ぐほど税金が増えていきます。そこで、所得を個人と法人に分散することで、所得税率を下げることが可能になりますし、さらに役員報酬については給与所得控除、個人事業主は青色申告特別控除65万円と両方のメリットを享受することもできます。

3.消費税の節税

最初の2年間は消費税を払わなくてよい免税事業者になれるというメリットがありますが、このメリットは2023年10月から実質的に使えなくなるケースが多いです。いわゆるインボイス制度です。とはいえ、今設立すれば1年くらいはこのメリットは享受できます。

インボイス制度開始以降でも、このメリットを享受できる業種があります。今回お伝えしたいポイントはこちらです。別のコラムでも書いていたと思いますが、主なお客さんがサラリーマンといった飲食店などは、インボイス制度開始後も免税事業者を選択できる余地があります。もし、課税事業者を選択せざるを得ない事業(A事業)と免税事業者を選択できる事業(B事業)をやっているのであれば、両方を個人事業主もしくは会社で経営した場合はどちらも消費税を払う必要がありますが、A事業は個人事業主で、B事業は会社で経営した場合はA事業分しか消費税を払わなくてよいので大きなメリットになります。

他にもメリットはあります。個人的な感覚ではありますが、会社の方が資金調達の審査がやや通りやすいかなと思いますし、小さい会社とは言え社長を名乗ることもできます(メリットですかね???)。

4.マイクロ法人のデメリット

私は大したデメリットはないと思っています。そもそもの法人化のメリットとデメリットについては以下のコラムを参照して頂くとして、マイクロ法人のデメリットは、手間が増えることと、税理士への報酬が増えることくらいでしょうか。といっても、社会保険負担軽減を考慮すれば、大したデメリットではありません。

個人事業主が法人成りを検討する際に注意する事

5.マイクロ法人の注意点

今回取り上げたメリット(特に社会保険料の負担軽減)を享受するための注意点をお伝えします。

1.個人と法人で別々の事業をおこなう

同じ事業を個人と法人で行ってしまうと、税務調査に選定された時に租税回避行為と認定される可能性があります。節税するためだけに法人を設立したんじゃないの?という指摘です。従って、別々の事業を行うようにしてください。この線引きはかなり微妙なので、税理士に相談することをお勧めします。

2.マイクロ法人から受け取る役員報酬は少なく

マイクロ法人を設立する一番の目的が社会保険の負担軽減のはずなので、役員報酬は低く設定しなければなりません。副業として始めたマイクロ法人の売上が増えていった場合は、その時にまた考えましょう。売上が増えることはとてもいいことです。

6.まとめ

個人事業主の方は売上が数百万円規模でも良いので、本業以外のビジネスを始めて頂ければ(配偶者をうまく活用するのもあり)、今回取り上げたメリットを享受できます。数百万円の売上をつくることは大変なことですがトライする価値はあるのではないでしょうか。とはいえ、社会保険料の負担軽減さえできればOKという事であれば、マイクロ法人の売上は100万円程度で問題ありません。これ位であれば何とかなると思いますので、個人事業主の方は是非トライしてください。

 

 

 

 

この記事は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。
また、この記事内容は結果を保証するようなものではありませんので、掲載されている情報を利用することで生じた、いかなる問題、損害等に対しても一切の責任を負いません。自己責任において、ご活用ください。