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法人成りしたら個人時代の税務調査は来ない?廃業後の調査と帳簿保管の注意点
「個人事業を廃業して会社(法人)を設立すれば、もう個人時代の税務調査は来ないだろう」と思い込んでいませんか?当事務所に税務調査のご相談へ来られる個人事業主様の中にも、この点を大きく誤解されている方が非常に多くいらっしゃいます。
結論から申し上げますと、「法人成りしたから個人時代の税務調査が来なくなる」なんてことは絶対にありません。むしろ、個人事業を廃業した直後の方が、税務調査に入られる確率は高くなるのが現実です。
今回は、なぜ法人成り・廃業後に個人時代の税務調査が来やすくなるのか、その裏側の理由と年数経過による確率の変化、そして過去の帳簿書類の保管に関する注意点について分かりやすく解説します。
法人成りを検討する上での留意事項については、以下のコラムを参照してください。
🔗 関連コラム:個人事業主の法人化(法人成り)は本当に得?税理士が語る判断基準
【目次】
- 個人事業主を廃業して「法人成り」すると税務調査は来ない?
- 税務署はどうやって「個人事業主の廃業」を把握しているのか?
- 個人事業主時代の帳簿書類は廃棄NG!絶対保管すべき理由
- まとめ:勝手な自己判断は危険!過去の申告に不安があればご相談を
1.個人事業主を廃業して「法人成り」すると税務調査は来ない?
「法人化すれば過去の個人の申告はうやむやになる」というのは完全な勘違いです。
むしろ、法人成りして廃業した直後の方が、税務調査のターゲットに選ばれる確率は上がります。 これは法人化せずにそのまま事業をやめた(廃業した)場合でも全く同じです。
税務署にとって「最後の調査チャンス」だから狙われる
なぜ廃業後に調査が来やすくなるのでしょうか? 税務署の立場からすると、「今税務調査に入らなければ、二度とこの事業者の個人時代の税務調査ができなくなってしまうから」です。
過去に国税庁のOBから聞いた話ですが、少数ではあるものの「個人事業主時代の過少申告(税金のごまかし)を有耶無耶(うやむや)にするために法人成りする」という不純な動機の事業者が一定数存在するようです。税務署側もそれを百戦錬磨で知っているため、廃業のタイミングは「最後の回収チャンス」として厳しく目を光らせます。
調査確率は「廃業直後〜2年目」が最高!3年経過で一気に下がる理由
廃業後の税務調査の確率は、廃業した直後が最も高く、1年経過するごとに下がり、廃業から3年が経過すると一気に下がると考えられます。
税務調査は通常「直近3年分」をセットで調査対象とします。仮に2017年12月に個人事業を廃業し、2018年1月に法人成りした場合の「個人時代の調査対象年数」の推移は以下のようになります。
| 調査が入る時期 | 個人時代の調査対象期間 | 税務署側の調査優先度 |
|---|---|---|
| 廃業1年目 | 直近3年分(例:2015〜2017年) | 🚨 最高(3年分追徴できる) |
| 廃業2年目 | 直近2年分(例:2016〜2017年) | 〇 高い(2年分追徴できる) |
| 廃業3年目 | 直近1年分(例:2017年のみ) | △ 低い(1年分しか取れない) |
| 廃業4年目以降 | 過去の残存年数分 | 極めて低い(重度の不正除く) |
※2017年12月に個人事業を廃業し、2018年1月に法人成りした場合のシミュレーション例です。
税務署も限られた人員で多くの税金を徴収したいと考えているため、3年分まとめて遡って追徴課税をとれる「廃業1年目〜2年目」に集中して調査に入ります。
厳密には税金の時効(除斥期間)は5年(※偽りその他不正がある場合は7年)ですので、その間はいつでも調査され得ますが、税務署が看過できない重大な不正を把握していない限り、廃業して3年目以降は確率がかなり低くなると推測できます。
2.税務署はどうやって「個人事業主の廃業」を把握しているのか?
税務署が個人事業主の廃業をキャッチするルートは主に以下のようなものがあります。
① 個人事業の「廃業届出書」の提出
本来、事業をやめる際は税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出しなければなりません。税務署はこの書類によって廃業を確実に把握します(※提出を失念されている方も多いですが)。
② 青色申告決算書の月次売上データ
青色申告の場合、決算書に「月別の売上高」を記載する欄があります。例えば「8月までしか売上が計上されていない」申告書を見れば、税務署は「8月で廃業したのだな」と即座に推測します。
白色申告の場合は月別売上欄がありませんが、年間売上が例年より極端に少なくなっているため、税務署側は「売上が少ない=廃業したか、売上を除外(隠蔽)しているのではないか」と双方の可能性を疑ってチェックします。
3.個人事業主時代の帳簿書類は廃棄NG!絶対保管すべき理由
法人成りしたからといって、個人事業主時代の領収書・請求書・通帳・会計帳簿を捨ててしまうのは絶対NGです。
前述の通り、法人成り直後は個人時代の税務調査が入る確率が非常に高い時期です。それにもかかわらず「もう会社になったから関係ない」と過去の帳簿書類を破棄してしまうと、実地調査が入った際に事実を証明できなくなってしまいます。
特に消費税の計算において、領収書や帳簿が存在しないと「仕入税額控除」が一切認められず、預かった消費税の全額をそのまま納めさせられるという最悪の結果(破格の追徴課税)になってしまいます。個人時代の帳簿書類は、法律上の保存義務期間(7年間)しっかりと大切に保管しておきましょう。
4.まとめ:勝手な自己判断は危険!過去の申告に不安があればご相談を
今回は、法人成りした個人事業主に対する税務調査の可能性と注意点について解説しました。
「会社を設立して個人事業をやめれば税務調査は来ない」と思い込み、過去の個人時代の申告を適当に処理したり放置したりするのは極めて危険です。むしろ廃業直後こそ税務署から狙われやすい時期であることを知っておく必要があります。
梁瀬会計事務所では、法人成り後の税務顧問はもちろん、個人事業主時代の過去の申告漏れや修正申告、税務調査の緊急立会いまで幅広くサポートしております。
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