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他人名義の口座を使う個人事業主は少なくない
最近、あるニュースが取り上げられていました。副業禁止の消防士がユーチューバーとしてお金を稼いでいたというニュースですが、税理士的にはその収入を妻名義の口座に入金していたという点が気になりました。無申告でしょうから仮に税務調査に選定されると重加算税が課される可能性が高いです。他人名義の口座を使って収入を隠ぺいする行為は重加算税の典型ですので。
当税理士事務所の集客の入り口の1つに無申告・期限後申告があります。今年も既に受注しており、5年分の申告書を作成しているところです。その方ではありませんが、去年受注した方と面談している時に他人名義を使う個人事業主について話題が上がりました。これまでの税務調査の相談でも他人名義を使っている方が実際にいて、その相談を受けたことも少なからずあります。そこで今回は他人名義の口座を使用する個人事業主について取り上げます。
【目次】
- 他人名義の銀行口座を利用する理由
- 差し押さえを避けるため
- 会社にバレないようにするため
- 自分名義の銀行口座を作れない
- 他人名義の銀行口座を使わざるを得ない場合
- まとめ
1.他人名義の銀行口座を利用する理由
普通に考えると、他人名義の銀行口座をビジネスで使う事はありません。他人名義の銀行口座を使わせてくださいと言ってきたら取引先だって「え?」ってなるはずです。とはいえ、現実には他人名義の口座を使用しているケースがあります。私が相談を受けた方の理由は以下の通りでした。
1.差し押さえを避けるため
税金(市県民税の滞納が多いです)の滞納があった場合、売上金が自分の口座に入ってしまうと差し押さえを受ける可能性があります。そこで、売上を現金を受領して信頼できる?第3者だったり奥様の銀行口座に入金するケースや、なぜ実現可能かわかりませんが第3者名義の銀行口座に売上金を振り込んでもらっているケースもありました。この方法ですが、最初は差し押さえを避けることができるかもしれませんが、いずれは取引先から直接お金を回収する方向に進みますので最終的には差し押さえられそうです。例えば国税の徴収部門は、税金の滞納が続くと取引先に連絡をしてそこからお金を回収しようとします。当税理士事務所の顧問先の外注先が国税の納税を無視し続けた結果、元請である私の顧問先に対して税務署から差し押さえの打診が来たこともあります。
これまで何度もお伝えしましたが、市県民税の徴収はかなり厳しいですよ。市の担当者と決めた通りに分割納税していても、担当者が変わることで一括で払え!と方針転換することも何度も見てきました。
2.会社にバレないようにするため
会社員が副業しているとします。その副業が会社にバレたくないため、奥様の口座で副業をするというパターンです。私が相談を受けたのはまさしくこれでした(この副業が無申告でした)。この税務調査には立ち会いませんでしたので最終的にどうなったかは知りませんが、このような税務調査の主要な論点は以下です。
・副業を実際にやっている人は誰か?
・本人が副業していたとして、どうして他人名義の口座を使ったのか
・どうして無申告だったのか
他人名義の口座を使用してビジネスをしていた場合、税務署は当然に不正を疑います。確実に重加算税及び調査期間7年延長の方向へ導こうとします。こういうケースでは本当に説明の仕方が大切なので、本当は税理士に立ち会ってもらった方がよいです。
会社に副業がばれたくないという気持ちはよくわかります。しかし無申告はダメです。この場合は副業の実行主体を奥様にして頂き(形式だけでなく実質でも)、奥様が確定申告すれば会社にもバレないし税務署からも怒られません。副業の実行主体を奥様に移せるのか?という問題は大きいでしょうけど。
3.自分名義の銀行口座を作れない
このパターンもあり得ます。どういう人が銀行口座を作れないかについて興味があればネットで検索してみてください。レアケースだとは思います。私が関わった件でこのパターンはありません。
2.他人名義の銀行口座を使わざるを得ない場合
上で取り上げた例だけでなく、他人名義の口座を使うという事は何かを隠したいという理由が多いでしょう。そのため、無申告の方がほとんどである気がします。無申告であることから当初はバレないかもしれません。税務署も無申告案件には力を入れていることもあり、いずれはバレる可能性が高いわけです。
従って、無申告を解消するためにまずは期限後申告することを検討してください。そして期限後申告する際に、その隠したい理由に対応できるか否かについて税理士に相談いただくという形がよいのではないかと思います。勿論、不正なやり方ではなくです。
3.まとめ
特に無申告の方で他人名義の銀行口座を使用している方は早めに税理士に相談することもお勧めします。当税理士事務所は、不正に加担することはできないものの、税理士としてできる範囲内でサポートしますし最初の相談は無料で受けています。そして、無申告・期限後申告を依頼した場合の料金は広告費にお金をかけていない分、他の税理士よりも安く設定していますので、是非ご連絡ください。