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2021.10.22 コラム

領収書やレシートの保管方法。手間をかける必要はない!

新規の顧問契約を締結する際、顧問先から領収書やレシートの保管方法はどうしたら良いでしょうか?と質問を受けることがあります。確かに領収書等の保管は面倒ですよね。当税理士事務所は、顧問税理士のいなかった法人や個人事業主の税務調査に緊急で立ち会う事が多いのですが、その時の領収書の保管方法は様々で、びっくりすることも多いです。今回は領収書やレシートの保管方法についてお伝えします。

【目次】
  1. 領収書等の保管義務期間
    1. 法人の領収書の保管義務
    2. 個人事業主の領収書の保管義務
  2. 領収書等の保管方法
    1. 税務調査対策という視点
  3. 領収書等の保管方法より大切なこと
  4. まとめ

1.領収書等の保管義務期間

1.法人の領収書の保管義務

基本的には7年です。しかし、欠損金の繰越控除を利用する場合には10年に延長されます。

国税庁ホームページ
No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法

法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成又は受領した書類(以下「書類」といい、帳簿と併せて「帳簿書類」といいます。)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注2)保存しなければなりません。また、法人が、取引情報の授受を電磁的方式によって行う電子取引をした場合には、原則としてその電磁的記録(電子データ)をその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する必要があります。 ただし、その電磁的記録を出力した紙によって保存しているときには、電磁的記録を保存する必要はありません。

(注1) 「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあり、また、「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。

(注2) 平成23年12月税制改正により青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が9年とされたことに伴い、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間に延長されました。
また、平成27年度及び平成28年度税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間に延長されています。

2.個人事業主の領収書の保管義務

青色申告と白色申告で異なりますので、それぞれお伝えします。今回は領収書の保管義務ついてですが、帳簿の保管義務も併せて纏めています。下記の通り、青色申告については7年もしくは5年白色申告は5年と規定されています。

青色申告 保存が必要なもの 保存期間
帳簿 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など 7年
書類 決算関係書類 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など 7年
現金預金取引等関係書類 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など 7年
その他書類 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) 5年

 

白色申告 保存が必要なもの 保存期間
帳簿 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) 7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) 5年
書類 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 5年
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類

2.領収書等の保管方法

領収書の保管方法については、主に紙による保管方法と電磁的記録による保管方法がありますが、今回は紙による保管方法を前提に記載します。私が見てきた保管方法を思いつく限りで挙げてみましたが、別にどの方法で保管してもらっても構いません。大切なのは保管する事なので。

・1年分の領収書等が段ボールにがさっと保管されている
・棚、車、財布など、色々な場所に散らばって保管?されている
・月単位で袋などに入れて保管されている
・科目単位で袋などに入れて保管されている
・ノートに科目ごとに整理した上でのりで張り付けている
・ノートに月ごとに整理した上でのりで張り付けている
・ノートに何も整理せずに適当にのりで張り付けている

1.税務調査対策という視点

保管義務があることはお伝えしましたが、保管した領収書を見返すことはあるでしょうか?ないと思います。では見返すタイミングはいつでしょうか?そうです、税務調査に入られた時です。そのため、領収書の保管方法も、税務調査対策を意識するとよいと思います。

では、税務署の調査官は、領収書等がどのように保管されていると嬉しいでしょうか。彼らは時間的な制約がある中で税務調査対応しています。そうなると、整理整頓されていると嬉しいでしょう。特に科目単位で袋に保管されていると非常に助かるはずです。そのため、わざわざ税務署の調査官が喜ぶような保管方法をする必要はないと思います。別に税務調査を妨害することを勧めているわけではなく、わざわざ時間をかけてまで税務署にプラスになる行為をする必要はないという事です。

逆に税務署の調査官が困ってしまう保管方法は何でしょうか。多分、ノートに何も整理せずに適当にのりで張り付けている方法だと思います。とはいえ、この方法はやめた方がよいでしょう。そもそもこの適当な方法で張り付ける正当な理由がないですし、逆に疑われる可能性があります。例えば、見つかってほしくない領収書を見つけにくくする行為と認定される可能性も。このような行為は、下記の裁判例のその意図を外部からもうかがい得る特段の行動と認定され、重加算税が課される可能性も否定できません。そのため、そういった疑われる行為をわざわざする必要はありません。個人的には、1年分の領収書等を段ボールにがさっと保管するくらいでよいのではと思っています。因みに、私自身は経費が少ないという事もあり、月単位でがさっとクリアファイルに保管しています。

最高裁平成7年4月28日判決
「隠ぺい、仮装と評価すべき行為」について、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在したことまで必要であると解するのは相当でないとしたうえで、納税者が、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合には、重加算税の賦課要件が満たされる。

3.領収書等の保管方法より大切なこと

保管方法はどうでも良いとお伝えしました。それぞれが思うやり方を採用すればよいでしょう。大切なことは、ご自身で決めた保管方法に基づき、領収書を漏れなく適時に保管することです。例えば、段ボールを1つ用意して、入手した領収書は毎日段ボールに入れるというルーチンを維持することです。領収書をなくしてしまうと、経費処理できずに無駄に税金を支払うことになります。そのような不利になることを自ら行うことは止めましょう。

4.まとめ

保管期間は法人と個人事業主で相違し、個人事業主でも青色申告と白色申告で異なることをお伝えしました。そして、保管方法はご自身にとって最もやりやすい方法を採用して頂き、一番大切なことは漏れなく保管する事です。これだけは確実に実行してください。ご自身を守ることになりますので。

 

 

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