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公認会計士の独立後のキャリアパスについて
4年前に公認会計士は独立しやすいというコラムを書きました。そこでは独立しやすい理由について、監査法人の非常勤勤務という収入源があることをお伝えしました。このコラムは4年前の状況に基づき書いているので、最近の非常勤勤務の需要は詳しくありませんが、後ほど記載している通りこの業界の人手不足感は否めないので、まだまだ需要はあると思います。
今回は公認会計士が独立後にどういった分野で活躍しているのか、私の周りの会計士だけなのでサンプル数は少ないですが、公認会計士の独立後の動きについてまとめてみました。
【目次】
- 監査法人の非常勤勤務
- 東京を拠点に活躍する会計士
- 会計士領域の仕事
- 税理士領域の仕事
- 東京以外を拠点に活躍する会計士
- まとめ
1.監査法人の非常勤勤務
私は4年前に比べればかなり減らしていますが、非常勤勤務を継続しています。継続している理由は、人手不足が全く解消しておらず、ここで辞めてしまうと申し訳ないという気持ちが大きいためです。最近は会計不正のニュースも多く、これまで以上にやるべきことが増えることは容易に想像できますし、この業界で人手不足が解消するのはまだまだ先になりそうです。
とはいえ、徐々に関与を減らす方針には変わりないので、何かのきっかけで非常勤勤務を辞める流れになるのかなと。一方で、非常勤勤務が収入の大部分を占める人もいるので、4年前と変わらずメリットが大きい働き方なのだとは思います。最近の非常勤単価がどうなっているのかはよくわかりませんが。
しかしながら、独立後に定期的に情報交換している会計士仲間を見てみると、非常勤勤務を継続している人は少ないです。
2.東京を拠点に活躍する会計士
私の会計士仲間の大部分は東京で活躍しています。そして、大多数は監査法人の非常勤勤務をしていません。
1.会計士領域の仕事
IPO支援、財務デューデリジェンス、内部統制支援、決算早期化支援など、公認会計士が主戦場とする仕事で活躍しています。社外監査役として活躍している人もいます。私が今も関与している監査法人はIPO監査を経験できる機会が多いので、IPO支援、内部統制支援、決算早期化支援などは監査法人時代の経験を有効に活用することができます。かなり昔になりますが、私がインチャージとして関与している時のクライアントが新規上場しましたが、本当に貴重な経験をすることができました。
そして、集客方法の多くは人脈によるものです。仲間同士で仕事を融通したり、他士業や金融機関などからの紹介等々、とにかく人脈がとても大事なようです。特に仲間同士で仕事を融通するのがとても多い印象です。それぞれ会計士にも得意不得意があるので、仕事を受けて自分の不得意分野であれば、得意な会計士と一緒に仕事したり、その逆もしかりという感じです。
このように横のつながりで仕事を充実させていくことになりますし、この業界はとても狭いので、不義理な監査法人の辞め方は本当に避けた方が良いです。そもそもそういった辞め方をするような人は独立してもうまくいきませんが。
ホームページで集客している人はいません。ホームページ集客しようにも税務と比較すると市場規模が小さいので、難しいとは思います。
税理士領域の仕事
税務にも進出しようとした仲間はいましたが、相当競争が激しいようで撤退したと言っていました。税理士向けの集客本にも書いていましたが、東京は税理士一人当たりの事業者がとても少ないので、その通りなのだろうと思います。私はそもそも東京で独立するつもりはありませんでしたが、うまくやれる自信はないです。
3.東京以外を拠点に活躍する会計士
東京とは完全に逆です。東京以外で独立した仲間がほとんどいないのでサンプル数が本当に少ないのですが、会計士領域の仕事のみで活躍している人は一人もいません。私と同じように税務の仕事をベースに、会計士領域の仕事をしています。税務の仕事しかしていない人もいます。大阪、名古屋、福岡などの都市部であれば会計士領域の仕事のみで稼ぐことも可能かもしれませんが、東京に比べるとやはり厳しいのではないでしょうか。
しかし、会計士が税理士領域の仕事を主戦場として選ぶ場合、そもそも税務の経験がないという問題に直面します。東京から地方に移動したケースをみてみると、親の税理士事務所に就職するケースを除くと、私と同じように税理士法人などに就職して税務の経験を積んでいます。私の場合、監査法人の非常勤勤務もOKとしてくれたので(週の半分は税理士法人の仕事、残りは監査法人の仕事)、本当に幸運でした。
私自身、税理士試験に合格した人たちに比べれば税務知識がないと自覚しているので、税務分野で自分が活躍できる領域を明確に絞って集客しています。そして、私が以前所属していた税理士法人を退職して独立した税理士(税理士試験組や国税OB)とも連携することで、お互いサポートしあっています。
4.まとめ
東京で活躍している会計士は独立した当初から、既に独立した会計士仲間から仕事を依頼されることもあり、特に監査法人の非常勤勤務を選ぶ必要もなく一定の所得を確保しています。そして、仕事をどんどん増やして所得を増やしていく人もいれば、ある程度の所得があればOKと割り切って仕事を選びながら働いている人もいます。
一方で、地方に移動するケースは、税務経験の問題があることからすぐに独立するというよりいったん税理士法人などで数年間の勤務を経て独り立ちする流れが一般的だと思います。そして、私のように監査法人の非常勤勤務を継続しながら税理士法人等に就職することは現実的ではないため、その数年間の所得が一気に下がる点が独立の大きなハードルになります。だからこそ、親の税理士事務所に就職する選択肢以外で、地方に移動する仲間がほとんどいないのだと思います。
もし東京で税理士事務所を経営している仲間がいるのであれば、監査法人の非常勤勤務で働きつつ、その仲間にお願いをして数年間安い給料で働かせてもらって経験を積んで、地方で独立するという形もありではないでしょうか。これまで独立について何度か相談を受けてきましたが、この条件にマッチする方についてはそのようにアドバイスしました。勿論、都合の良い話なのでハードルは高いと思います。