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無申告で税務調査の連絡が来た場合の対応
今年は税務署からのお尋ねに関する相談がとても増えました。インボイス制度がスタートしたことに伴い、消費税の無申告の方が増えていることが要因です。税務署の調査官と雑談していても、消費税が無申告になっている方はとても多いらしく、税理士がついていない事業者の中には、消費税の申告が必要であることを知らずにインボイス申請した人も多いのでしょう。小規模事業者にとって、消費税の負担感はとても大きいので、インボイス申請しなければよかったと後悔する事業者も出てきそうです。
今回は、消費税に限らず、所得税(法人の場合は法人税)を含めて無申告の事業者に対して税務調査が入った場合の対応方法などについてお伝えします。
【目次】
- なぜ無申告だったのか
- 5年分の領収書などがどの程度残っているか
- 現金支払い
- クレジット支払い
- 振込による支払い
- 税務調査前に修正申告を提出するか否か
- 分割納税
- まとめ
1.なぜ無申告だったのか
税務調査を受ける前に必ず整理しておく必要があります。税務調査では必ず聞かれることですので、事実と異なる理由(誘導尋問されることもあります)で重加算税が課せられないようにしなければなりません。無申告だった理由は本当に様々ですので、ここで具体的なことは書きませんが、必ず税理士に相談しましょう。税理士と相談した上で、嘘ではない範囲でどのように税務署の調査官に説明するのか、当日を意識してシミュレーションするべきです。
2.5年分の領収書などがどの程度残っているか
無申告の場合、税務調査の調査期間は原則として5年です。従って5年分の領収書やレシートを探す必要があります。売上の請求書については、通帳を見ればわかるのであれば無かったとしてもそれほど問題となりません。大事なのは経費の根拠資料です。経費をどこまで復元できるかが支払う税金を減らす重要な要因になるため、税金を減らしたいのであれば納税者が頑張って探すしかありません。
1.現金支払い
原則として、領収書やレシートが残っていなければその支払いを立証できないので、経費として認めてもらうのは難しいです。従って、まずはご自宅や車など領収書やレシートが残っていそうな場所を探してください。
同時にやるべきことは、税務調査の連絡を受けた日以降の領収書やレシートを必ず保管しておくことです。この目的は、過去の経費金額を推計するためです。例えば、過去のガソリン代のレシートが全く残っていなかったとしても、直近1か月のレシートがあれば、そのレシートに基づき過去のガソリン代を推計できるためです。税務調査の交渉に使えるので必ず対応しましょう。
2.クレジット支払い
領収書やレシートがなくてもクレジット明細が残っていれば、少なくとも支払った事実は立証できます。そのため、クレジット会社に問い合わせしてクレジット明細を発行依頼してください。
3.振込による支払い
クレジット支払いと同様、支払った事実は立証できるので、銀行に問い合わせして通帳履歴を発行依頼してください。
クレジット支払いと振込による支払いについては、請求書や支払通知書などは不要でしょうか?答えは必要です。これらの支払いについても可能な限り根拠書類を探してください。支払先がわかるので、可能であれば再発行を依頼してください。その理由は、支払う消費税を減らせる可能性があるためです。
消費税の計算上、経費として認めてもらうためには、帳簿と根拠書類が必要です。そのため、無申告の場合はそもそも帳簿がないため経費として認めてもらえないのが通常なのですが、税務調査の現場では帳簿がなくても根拠書類が残っていれば認めてもらえることもあります。その可能性がある以上、税務調査の立会までに請求書等の根拠書類を準備するべきです。
3.税務調査前に修正申告を提出するか否か
私は無申告の場合で税務調査立会前に修正申告書を提出したことはないと思います。その最大の理由は、経費の資料が少なく所得を抑えた申告書を作成することが困難だからです。そのため、税務調査の立会までに可能な限り経費の資料を集めたうえで、その資料をうまく活用しながら交渉で経費を積み上げていく方法を採用します。勿論、資料がほとんど残っている場合は事前に修正申告書を提出するのもありだと思います。
今回のコラムを書くにあたって、税務調査をメインにしている仲間数名に確認したところ、無申告の調査で事前に修正申告を提出したことはないとの事でした。
税務調査立会前に修正申告を提出する場合、税理士に支払う報酬も一気に増えてしまうので、その点もデメリットです。
4.分割納税
税務調査が終わると、次は納税フェーズに移ります。原則として、過去5年分支払う事になるのですが、個人であれば所得税、消費税、住民税、個人事業税、国民健康保険などを支払います。法人であれば法人税、消費税、法人県民税、法人市民税などを支払います。そして、これらを一括で払える事業者はほどんどいません。従って、税務署や自治体に対して分割納税の手続きをしなければなりません。
梁瀬会計事務所は、顧問契約を締結することが前提ですが、分割納税のサポートも行っています。これらの書類を作成するのは本当に大変ですので、税理士に依頼したほうが良いと思います。
5.まとめ
今回は、無申告の事業者に対して税務調査の連絡が来た場合の対応についてお伝えしました。
当初申告している状態で税務調査にきた場合は、当初申告時に支払った税額との差額のみ支払えばよいですが、無申告の状態で税務調査が来た場合は、その時に全額支払う必要があるため、支払う税金は大きくなりがちです。そして、無申告加算税は過少申告加算税よりも税率が高いです。
このようにそもそも税額が大きくなりがちな無申告の税務調査であり、加えて無申告の方は経費の根拠資料がほとんど残っていないことが多いです。従って、可能な限り税額を減らすためにも税務調査に慣れた税理士に依頼することをお勧めします。
梁瀬会計事務所は、国税OBとも連携していますし、税務調査の経験は豊富です。また、税務調査の立会いを依頼した場合の料金は広告費にお金をかけていない分、他の税理士よりも安く設定しています。今後、適正に納税する意思のある方にとってはとてもメリットがあると思いますので、是非ご相談ください。料金についてはこちらをご覧ください。
税務調査の連絡はまだ来ていない状況で、無申告を解消したい方はこちらをご覧ください。
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