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税理士に記帳代行を依頼するべきか
税理士に支払う主な報酬には、税務顧問料、決算料、記帳代行料、会計システム料などがありますが、今回は記帳代行について取り上げます。記帳代行を依頼するのは、自社に経理担当がいないケースがほとんどだと思いますので、個人事業主や小規模企業を想定しています。また、記帳代行をやらない(やりたくない)税理士もいますので、その辺りも取り上げます。
【目次】
- 記帳代行でどこまでやってくれるの
- 記帳代行を依頼するメリット
- 面倒な作業から解放され、本業に集中できる
- 従業員やパートを雇うより安い
- 正確に記帳することができる
- 記帳代行を依頼するデメリット
- 費用がかかる
- 試算表の作成に時間がかかる
- いつまで経っても決算書を理解できない
- まとめ
記帳代行でどこまでやってくれるの
記帳とは、ざっくりいうと、領収書やレシートを整理し、それを伝票に入力することで、総勘定元帳や試算表などを作成する業務です。税理士のホームページをみると、記帳代行について様々なサービスを提供しているようで、例えば丸投げプランであれば、領収書やレシートを整理もせずに、税理士に丸投げしてしまえば、全てやってくれるサービスです。それ以外にも、領収書等の整理は事業者が行い、伝票入力のみを税理士に依頼するサービスもあります。当然、サービス内容によって料金は変わってきます。また、領収書やレシートの量によっても料金が変わる場合がありますので、やってほしい作業と料金を比較しつつ、検討する必要があります。
記帳代行を依頼するメリット
1.面倒な作業から解放され、本業に集中できる
メリットはここに尽きると思います。会計・税務の知識がない場合、やっぱり時間がかかってしまいます。そこで、ご自身で1か月分の記帳をやってみて、どれくらい時間が必要だったかを把握してみる事をお勧めします。そして、記帳に必要な時間をざっくり計算した上で、
「仕事で稼げる単価 ✖ 記帳に要する時間 > 税理士に支払う報酬」
であれば、記帳代行を税理士に依頼する方が合理的ですので、単純に記帳代行に月10,000円支払うのはもったいないなと考えるのではなく、記帳代行を依頼して空いた時間でご自身がどれくらい稼げるかという視点で検討することをお勧めします。またご自身でやってみて所要時間を計算するだけでなく、誰かに聞いてみるのもよいと思います。しかし、いきなり税理士に聞いても、税理士に都合のよい回答をするかもしれませんので、まずは仕事仲間に聞くのがよいでしょう。
具体例 日当:15,000円 記帳に要する時間:1日 記帳代行報酬10,000円
⇒「日当15,000円×1日=15,000円」 >「記帳代行報酬10,000円」 ⇒税理士に依頼した方が合理的
因みに、私が事業者であれば、お金を払って税理士に依頼します。記帳自体は、お金を生み出す作業ではないため、そこに時間と労力をかけたくないという思いがあります。勿論、出来上がった数値(売上や利益など)を分析することは大切ですので、その分析については、税理士からレクチャーを受けた上で、本業に生かすために時間をかけると思います。
2.従業員やパートを雇うより安い
経理の為に従業員やパートを採用した場合、パートであったとしても月5万円程度はかかるのではないでしょうか。それに比べて、記帳代行を依頼した方が圧倒的に価格は安くなると思います。また、既に経理担当者を雇用している場合ですが、経理担当者の仕事範囲が広く、残業時間が長い場合は、残業時間削減のために、経理担当者の仕事の一部を税理士に依頼することで全体的なコスト削減につながる可能性があります。
3.正確に記帳することができる
会計・税務の知識のある税理士に依頼するため、正確性は担保されます。
記帳代行を依頼するデメリット
1.費用がかかる
当然、サービスを依頼する以上、費用はかかりますので、費用対効果(上記の算式)に基づき検討してみてはいかがでしょうか。
2.試算表の作成に時間がかかる
「事業者が税理士に資料を提出⇒税理士が集計し会計システムへ入力⇒税理士が報告」という流れになりますので、ご自身で記帳するより時間がかかってしまいます。そのため、適時適切に自社の実態を把握することができないという問題が発生します。記帳代行を受けない税理士がよく言うのはこの点です。確かにその通りなのですが、全ての会社・個人事業主が適時適切に会社の状態を分析する必要があるわけではないため、一律に受けないのはどうなのかな~と思ったりもします。クライアント視点とはいえないともいえる。
どうして記帳代行をやりたがらない税理士がいるかについてですが、単純に手間のわりに報酬が高くない点ではないかなと。それは私も否定しませんが、私自身は、クライアントにとってメリットがある方を選んでほしいので、一緒に協議をした上で選択しています。私のクライアントの場合、記事執筆時点では、個人事業主はほとんど記帳代行を依頼し、法人の場合は半々という感じでしょうか。freeeやマネーフォワードといった会計システムを利用することで、記帳もかなり効率的にできるようになったので、非常に助かっています。
3.いつまで経っても決算書を理解できない
記帳を自分でやらないので、税理士が何度説明しても、貸借対照表や損益計算書を理解することができないという指摘です。これも税理士がよく指摘するポイントですが、私としては記帳を自分でやらないからではなく、そもそも本人に理解するつもりがないのか、税理士の説明がいまいちなのかどちらかだと思っています。ですので、今回取り上げたものの、必ずしもデメリットとは言えないというのが私の考えです。
まとめ
今回は、記帳代行について取り上げました。資金繰りなどの観点から、適時適切に会社実態を把握しないといけない個人事業主や企業を除けば、費用対効果という観点で検討することをお勧めします。
当税理士事務所の顧問先の中でも特に建設業の方については、朝も早く、非常に忙しい方が多いため、領収書の整理や仕訳入力なんて時間がかかって面倒なので、任せてよかったといっていただける方が多いです。