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2021.03.05 コラム

税務調査で消費税の仕入税額控除を認めてもらえない事も(後編)

2023年10月1日追記:インボイス制度が始まりましたので、こちらの内容はそれ以前の資料として参考程度にご覧ください。

前回、仕入税額控除を認めてもらうためには、帳簿と請求書等を保存する必要があるとお伝えしました。そこで今回は帳簿と請求書等、それぞれの記載事項についてご紹介します。前回のコラムについてはこちらを参照ください。
税務調査で消費税の仕入税額控除を認めてもらえない事も(前編)

【目次】
  1. 帳簿の記載事項
  2. 請求書等の記載事項
  3. まとめ

1.帳簿の記載事項

仕入税額控除の要件を満たす帳簿への記載事項は、以下の通りです。消費税法では、4要件が明記されていますが、軽減税率が適用開始された2019年10月以降は、軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨を記載することが追加されました(改正法附則 34②)。

  • 課税仕入れの相手方の氏名又は名称・・・誰から購入したか
  • 課税仕入れを行った年月日・・・いつ購入したか
  • 課税仕入れに係る資産又は役務の内容・・・何を購入したか
  • 課税仕入れに係る支払対価の額(税込)・・・購入した金額は
  • 軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨」の記載・・・購入したものは軽減税率対象か

会計システムを使用して記帳している場合、通常、購入日購入金額は、必ず入力することになりますので、購入先購入したもの、及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨について、備考欄等を活用して入力する必要があります。下のfreee画面の場合、購入先=A社、購入したもの=事務用品と食料品、軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨については、例えば、コンビニで食料品と事務用品を購入した場合、食料品の税率は8%であること、事務用品の税率は10%であることがわかるように帳簿に記帳してくださいという事です。記帳の仕方は色々あると思いますが、freeeで記帳する場合は以下のような感じでよいのかなと思います。軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨とは記載していませんが、freeeでは税率区分欄が設けられているので、そこに8%と10%と記載することで同じ効果が認められます。私たちは記帳代行も受けていますが、正直に言うと面倒ですね…顧問先が免税事業者であったり、課税事業者であっても簡易課税制度を適用していた場合は、ここまで意識して帳簿を付ける必要がないため、気が楽ですが。また、実務でネックになるのは、顧問先からレシートや領収書をお預かりしても、明細がない場合があります。その場合、購入したものが記入できないので、いちいち聞かないといけないという状況に。そのため、可能な限り、明細があるレシートを入手するように顧問先には伝えています。要件を満たす帳簿を作成することは自分を守る事にもつながりますので。記帳を仕事としてやっている私たちにとっても面倒な作業ですので、こんなことやりたくない!という事であれば、記帳代行を税理士に依頼するとよいと思います。記帳代行についてはこちらを参考にしてください。
税理士に記帳代行を依頼するべきか

2.請求書等の記載事項

仕入税額控除の要件を満たす請求書等への記載事項は、以下の通りです。請求書等については、軽減対象資産の譲渡等である旨、及び税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額を記載することが求められています。

  • 書類の作成者氏名又は名称・・・誰から購入したか
  • 課税資産の譲渡等を行つた年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行つた課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)・・・いつ購入したか
  • 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(その課税資産の譲渡等が軽減税率対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減税率対象資産の譲渡等である旨)・・・何を購入したか
  • 税率の異なるごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込)・・・購入した金額は
  • 書類の交付を受ける事業者氏名又は名称・・・購入した人は(自分の事)

と要件をリストアップしましたが、そもそもこの請求書等は相手方が作成するものですので、その相手方が要件を満たす請求書等を作成してくれないと意味がありません。そこで実務で問題になりそうな点を検討してみます。まず、新たに要件として加わった軽減対象資産の譲渡等である旨及び税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額ですが、小さな会社の場合、対応できていない場合もあると思います。そこで、この2点については、請求書等の交付を受けた事業者(自分の事)がその取引事実に基づいて追記した場合はOKとなっていますので、面倒ですがご自身で記入しましょう。また、宛名が「上様」といった場合も交付を受けた事業者の氏名又は名称には当たらないため問題ですが、小売業など下記の事業者であれば、宛名は不要ですし、支払対価の合計額が3万円未満であればそもそも請求書の保存が必要とされていないため、金額の大きい支出だけ宛名を書いてもらってください。

書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称の記載が不要なケース
  • 小売業、飲食店業、写真業及び旅行業
  • 道路運送法
  • 駐車場業
  • 前三号に掲げる事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行うもの

確かに、小売業などはたくさんのお客を相手にしているので、いちいち宛名なんて書いてられません。実務を考慮して、省略可能としたものだと思います。

3.まとめ

今回は、仕入税額控除を認めてもらう為の要件をお伝えしました。かなり面倒ではありませんか?私はとても面倒です。請求書をみれば取引内容はわかるので、帳簿まで厳密にやる必要ないのでは?と思ってしまいます。とはいえ、法律で決まったルールですので、そのルールは守らなければなりません。税務調査でこの点を指摘されると、ルール違反なので交渉が容易ではないですし、税金インパクトも半端ないので、注意してください。

消費税法から抜粋

(仕入れに係る消費税額の控除)

第三十条 7 第一項の規定は、事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等(同項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が少額である場合、特定課税仕入れに係るものである場合その他の政令で定める場合における当該課税仕入れ等の税額については、帳簿)を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れ、特定課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。

8 前項に規定する帳簿とは、次に掲げる帳簿をいう。
一 課税仕入れ等の税額が課税仕入れに係るものである場合には、次に掲げる事項が記載されているもの
イ 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
ロ 課税仕入れを行つた年月日
ハ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
ニ 第一項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額
9 第七項に規定する請求書等とは、次に掲げる書類をいう。
一 事業者に対し課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この号において同じ。)を行う他の事業者(当該課税資産の譲渡等が卸売市場においてせり売又は入札の方法により行われるものその他の媒介又は取次ぎに係る業務を行う者を介して行われるものである場合には、当該媒介又は取次ぎに係る業務を行う者)が、当該課税資産の譲渡等につき当該事業者に交付する請求書、納品書その他これらに類する書類で次に掲げる事項(当該課税資産の譲渡等が小売業その他の政令で定める事業に係るものである場合には、イからニまでに掲げる事項)が記載されているもの
イ 書類の作成者の氏名又は名称
ロ 課税資産の譲渡等を行つた年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行つた課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)
ハ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
ニ 課税資産の譲渡等の対価の額(当該課税資産の譲渡等に係る消費税額及び地方消費税額に相当する額がある場合には、当該相当する額を含む。)
ホ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)から抜粋

(仕入先から受け取った請求書等に「軽減対象資産の譲渡等である旨」等の記載がなかった場合の追記)
【答】
平成 31 年(2019 年)10 月1日から、軽減税率が適用される取引について仕入税額控除を行うために保存すべき請求書等には、「軽減対象資産の譲渡等である旨」及び「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額」が記載されている必要がありますが、これらの項目の記載がない請求書等を交付された場合であっても、当該請求書等の交付を受けた事業者が、その取引の事実に基づいて、これらの項目を追記し、これを保存することで、仕入税額控除を行うことが認められます(改正法附則 34③)。
なお、保存すべき区分記載請求書等の記載事項のうち、請求書等の交付を受けた事業者による追記が認められているのは「軽減対象資産の譲渡等である旨」及び「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額」のみとなっていますので他の項目について追記や修正を行うことはできません(軽減通達 19)。
(注) 区分記載請求書等保存方式の下でも、現行と同様に、例えば、3万円未満の取引に係る仕入税額控除については、請求書等の保存がなくても法令に規定する事項が記載された帳簿の保存のみで適用することができます(消法 30⑦、消令 49①一)。
なお、帳簿には、これまでの記載事項に加え、「軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨」を記載することが要件となります(改正法附則 34②)。

消費税法施行令から抜粋
(課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の記載事項等)
第四十九条 法第三十条第七項に規定する政令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 法第三十条第一項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が三万円未満である場合
二 法第三十条第一項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が三万円以上である場合において、同条第七項に規定する請求書等の交付を受けなかつたことにつきやむを得ない理由があるとき(同項に規定する帳簿に当該やむを得ない理由及び当該課税仕入れの相手方の住所又は所在地(国税庁長官が指定する者に係るものを除く。)を記載している場合に限る。)。
三 特定課税仕入れに係るものである場合
2 再生資源卸売業その他不特定かつ多数の者から課税仕入れ(特定課税仕入れに該当するものを除く。以下この条、次条第二項及び第五十四条第一項第一号において同じ。)を行う事業で再生資源卸売業に準ずるものに係る課税仕入れについては、法第三十条第八項第一号の規定により同条第七項の帳簿に記載することとされている事項のうち同号イに掲げる事項は、同号の規定にかかわらず、その記載を省略することができる。
3 卸売市場においてせり売又は入札の方法により行われる課税仕入れその他の媒介又は取次ぎに係る業務を行う者を介して行われる課税仕入れについては、法第三十条第八項第一号の規定により同条第七項の帳簿に記載することとされている事項のうち同号イに掲げる事項は、同号の規定にかかわらず、当該事項に代えて当該媒介又は取次ぎに係る業務を行う者の氏名又は名称とすることができる。
4 法第三十条第九項第一号に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業とする。
一 小売業、飲食店業、写真業及び旅行業
二 道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第三条第一号ハ(種類)に規定する一般乗用旅客自動車運送事業(当該一般乗用旅客自動車運送事業として行う旅客の運送の引受けが営業所のみにおいて行われるものとして同法第九条の三第一項(一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金)の国土交通大臣の認可を受けた運賃及び料金が適用されるものを除く。)
三 駐車場業(不特定かつ多数の者に自動車その他の車両の駐車のための場所を提供するものに限る。)
四 前三号に掲げる事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行うもの
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