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2021.02.26 コラム

確定申告の注意点-白色申告の事業専従者給与

令和2年の確定申告が始まりました。今まで何も対応しておらず、これから仕事の合間に申告の準備をする方もたくさんいらっしゃると思います。時間もないし自分でできないという事であれば、早めに当税理士事務所に相談して頂ければと思います顧問契約が前提になりますが、比較的安い金額で確定申告をお受けしています。私たちの顧問先は全て青色申告ですが、顧問税理士がいないような個人事業主の場合、白色申告の方も多いと思います。そこで、今回は白色申告の事業専従者給与についてご紹介します。以前、チェック漏れでミスしそうになった事もありましたので、その点についても後ほどご紹介します。

【目次】
  1. 白色申告の事業専従者給与
  2. 控除額の具体例
  3. 無申告で家族経営の個人事業主
  4. まとめ

1.白色申告の事業専従者給与

白色申告者である個人事業主と生計を一にする配偶者その他の親族(15歳未満は対象外です)で、専らその個人事業主の営む事業に従事する事業専従者がいる場合、当該個人事業主の必要経費として処理できる制度です。必要経費にできる金額は決まっています。

  • 個人事業主の配偶者:86万円
  • 個人事業主の配偶者以外の親族:50万円

ただし、上記金額と、その個人事業主が稼いだ事業所得等を当該事業に係る事業専従者の数に一を加えた数で除して計算した金額と比較して、低い金額にしなければなりません。のちほど具体的な金額を使用してご説明します。青色申告の専従者とは異なり、大きい金額を設定することはできませんが、要件を満たすのであれば必ず適用した方がよい制度です。

事業に専ら従事するかどうかの判定ですが、これも法律で決まっています。具体的には、6カ月以上、事業に従事している必要があります。また、学生である期間や別の仕事をしている期間がある場合、納税者の事業に専従する期間には含まれません。また、白色事業専従者控除は、青色事業専従者控除とは異なり、実際に給与を支払ったかどうかについては要件とされていないため、給与支払実績がなくても専従者控除が可能です。

2.控除額の具体例

Case1:個人事業主の所得金額150万円、専従者は妻のみ
⇒150万円÷(1+1)=75万円 結論:配偶者の専従者控除額75万円

Case2:個人事業主の所得金額200万円、専従者は妻のみ
⇒200万円÷(1+1)=100万円 結論:配偶者の専従者控除額86万円

3.無申告で家族経営の個人事業主

もし家族で事業をやっていて無申告の方がいるようでしたら、かなりリスクが高いです。以下のコラムでも書きましたが、税務調査に入られた場合、所得が大きくなる可能性が非常に高いからです。例えば、家族3人で事業をしていて、年間2000万円の売上があったとします。諸々経費を差し引いて1200万円残ったとしたら、400万円ずつお金を振り分けているかもしれません。単純に考えると各々が400万円の所得になりそうですが、白色申告の場合はそうなりません。一人の事業主に対して1,200万円-86万円(配偶者)-50万円(子供)=1,064万円の所得が発生してしまいます。青色申告で予め青色専従者給与の申請をしておけば所得を分散できたものの、白色申告の場合は所得が分散できず、過度な税金を払うことになります。

この状況下で、税務調査に選定されてしまうと目も当てられないので、早めに税理士に相談することをお勧めします。

無申告・期限後申告の実例。愛知県名古屋市の個人事業主

4.まとめ

今回は、白色申告の事業専従者給与について取り上げました。最後に注意点をお伝えします。以前、私もチェック漏れでミスしそうになりましたが、白色申告者の事業専従者については、配偶者控除や扶養控除を取ることができませんので、その点は注意してください。

もう1つ注意点を思い出しましたので記載しますと、白色申告は領収書やレシートを保管しなくてよい、帳簿は作成しなくてよいと誤解する方がいますが、そういう訳ではありません。青色申告ほど厳密な帳簿を作成する必要はありませんが、申告書を作成する上での最低限の帳簿は必要ですのでその点は誤解しないようにしてください。

 

所得税法から抜粋

(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)
第五十七条 青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「青色事業専従者」という。)が当該事業から次項の書類に記載されている方法に従いその記載されている金額の範囲内において給与の支払を受けた場合には、前条の規定にかかわらず、その給与の金額でその労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度、その事業の種類及び規模、その事業と同種の事業でその規模が類似するものが支給する給与の状況その他の政令で定める状況に照らしその労務の対価として相当であると認められるものは、その居住者のその給与の支給に係る年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入し、かつ、当該青色事業専従者の当該年分の給与所得に係る収入金額とする。
2 その年分以後の各年分の所得税につき前項の規定の適用を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同項の事業を開始した場合には、その事業を開始した日から二月以内)に、青色事業専従者の氏名、その職務の内容及び給与の金額並びにその給与の支給期その他財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
 居住者(第一項に規定する居住者を除く。)と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「事業専従者」という。)がある場合には、その居住者のその年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、各事業専従者につき、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を必要経費とみなす
一 次に掲げる事業専従者の区分に応じそれぞれ次に定める金額
イ その居住者の配偶者である事業専従者 八十六万円
ロ イに掲げる者以外の事業専従者 五十万円
二 その年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額(この項の規定を適用しないで計算した場合の金額とする。)を当該事業に係る事業専従者の数に一を加えた数で除して計算した金額

所得税法施行令から抜粋

(親族が事業に専ら従事するかどうかの判定)

第百六十五条 法第五十七条第一項又は第三項(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)に規定する居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が専らその居住者の営むこれらの規定に規定する事業に従事するかどうかの判定は、当該事業に専ら従事する期間がその年を通じて六月をこえるかどうかによる。ただし、同条第一項の場合にあつては、次の各号のいずれかに該当するときは、当該事業に従事することができると認められる期間を通じてその二分の一に相当する期間をこえる期間当該事業に専ら従事すれば足りるものとする。

一 当該事業が年の中途における開業、廃業、休業又はその居住者の死亡、当該事業が季節営業であることその他の理由によりその年中を通じて営まれなかつたこと。
二 当該事業に従事する者の死亡、長期にわたる病気、婚姻その他相当の理由によりその年中を通じてその居住者と生計を一にする親族として当該事業に従事することができなかつたこと。
2 前項の場合において、同項に規定する親族につき次の各号の一に該当する者である期間があるときは、当該期間は、同項に規定する事業に専ら従事する期間に含まれないものとする。
一 学校教育法第一条(学校の範囲)、第百二十四条(専修学校)又は第百三十四条第一項(各種学校)の学校の学生又は生徒である者(夜間において授業を受ける者で昼間を主とする当該事業に従事するもの、昼間において授業を受ける者で夜間を主とする当該事業に従事するもの、同法第百二十四条又は同項の学校の生徒で常時修学しないものその他当該事業に専ら従事することが妨げられないと認められる者を除く。)
二 他に職業を有する者(その職業に従事する時間が短い者その他当該事業に専ら従事することが妨げられないと認められる者を除く。)
三 老衰その他心身の障害により事業に従事する能力が著しく阻害されている者
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