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持続化給付金や家賃支援給付金のために期限後申告した場合の注意点
2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業者に対してかつてない規模の緊急支援策が実施された1年でした。
国民1人あたり10万円の「特別定額給付金」をはじめ、売上が大きく減少した事業者向けの「持続化給付金」や「家賃支援給付金」、さらには「実質無利息・無担保(ゼロゼロ)融資」や「飲食店向けの時短要請協力金」など、様々な支援策が展開されました。
当事務所の顧問先でも、特に持続化給付金や家賃支援給付金の支給を受け、厳しい事業環境を何とか乗り越えられた方が数多くいらっしゃいます。
しかし一方で、この給付金申請をきっかけに浮き彫りになったのが、「それまで確定申告をしていなかった(無申告だった)個人事業主の方々の駆け込み・期限後申告」です。
本来申告の必要がないサラリーマンや学生による不正申請は論外として、今回は「給付金をもらうために慌てて過去(2019年分など)の期限後申告を行った個人事業主」が、今後どのような税務調査リスクに晒されるのかについて詳しく解説します。
【目次】
- 給付金のための「期限後申告」はなぜ税務署に狙われるのか?
- 申告パターン別・税務調査リスクの4分類
- 2019年分の申告書だけを「所得税0円」で提出した場合(危険度:高)
- 過去5年分の申告書をすべて「所得税0円」で提出した場合(危険度:極めて高)
- 2019年分の申告書だけを「実態通り」に提出した場合(危険度:中〜高)
- 過去5年分の申告書をすべて「実態通り」に提出した場合(危険度:低)
- まとめ:税務調査が来る前に「正しい状態」へ戻しましょう
1.給付金のための「期限後申告」はなぜ税務署に狙われるのか?
持続化給付金や家賃支援給付金の申請には、原則として「確定申告書」の控えが必要でした。そのため、本来の申告期限を過ぎてから過去の申告書を提出する人が急増し、当時大きなニュースとなったのは記憶に新しいところです。
しかし、税務署側も当然その動きを把握しています。税務署の調査官は、2020年4月以降に提出された期限後申告データを見て「この人は給付金をもらうために、慌てて適当な申告書を出したな」と推測します。
「適当に数字を作って提出した可能性が高い(=申告漏れや叩けばホコリが出る可能性が高い)」と判断されるため、通常の申告をしている人よりも税務調査のターゲット(選定対象)になりやすいのです。
2.申告パターン別・税務調査リスクの4分類
過去にどのような形で期限後申告を行ったかによって、今後税務調査が入るリスク(危険度)は大きく異なります。わかりやすくするためにかなり極端な例にしています。
| 申告内容のパターン | 2019年分のみ申告 | 過去5年分をまとめて申告 |
|---|---|---|
| 所得税0円(ほぼ非課税)で申告 | 🚨 ① 危険度:高 高確率で調査対象? |
💣 ② 危険度:極めて高 即ターゲット指定の危険性? |
| 実態に応じて正しく申告 | ⚠️ ③ 危険度:中〜高 過去分のお尋ねが届く? |
🟢 ④ 危険度:低 優先順位は大きく下がる |
※無申告の場合、通常は過去5年分を遡って申告します。(事業開始が最近ならその年数分。昔から事業を行っていたと仮定して検証します)
①2019年分の申告書だけを「所得税0円」で提出した場合(危険度:高)
税務署から見れば「2018年以前も事業をやっていたのではないか?」と当然疑いますし、何より「所得税0円=生活できるだけの所得がない」ということになります。資産家でもない限り、所得0円で生活し続けられるはずがありませんから、「数字を適当にごまかして申告したな」と真っ先に疑われます。
追徴課税が見込める格好のターゲットとされるため、税務調査の対象になる可能性が高いです。
②過去5年分の申告書をすべて「所得税0円」で提出した場合(危険度:極めて高)
①よりもさらに危険で、「税務調査に入ってください」と自分からアピールしているような状態です。
法人であれば赤字が続くこともありますが、個人の場合、5年連続で生活費すら稼げていない(所得税0円)申告をし続けるのは現実的に不可能です。「裏で現金の売上を隠している」「売上を除外して意図的に0円にした」と判断され、即座に重加算税を視野に入れた厳しい税務調査が入る可能性が高いです。
心当たりのある方は、一刻も早く税理士に相談して修正申告の準備をしてください。
③2019年分の申告書だけを「実態通り」に提出した場合(危険度:中〜高)
実態に即して正しく申告していたとしても、調査のリスクは残ります。すぐに税務調査の連絡が来なかったとしても、税務署から「2018年以前の確定申告が提出されていませんが、どうなっていますか?」という『お尋ね(文書による問い合わせ)』がくる可能性があります。
お尋ねが来た以上、無視して逃げ切ることは不可能です。税務調査が入る前に自主的に過去4年分を提出(期限後申告)すれば加算税などのペナルティは軽減できますが、過去5年分の税金が一気にかかってくるため、金銭的な負担はかなり大きくなります。
④過去5年分の申告書をすべて「実態通り」に提出した場合(危険度:低)
他のケースに比べれば、税務調査のターゲットに選ばれる確率は大幅に下がります。給付金目的の期限後申告であることはお見通しですが、「すでに過去5年分を実態通りに正しく申告し、税金も納めている」のであれば、税務署が追加で調査に入っても取れる税金(追徴税額)がほとんどないと想定されるからです。
さらに、税理士の署名(関与)がある確定申告書であれば、信頼性が格段に上がるため、調査の優先順位はさらに下がります。
3.まとめ:税務調査が来る前に「正しい状態」へ戻しましょう
給付金のために慌てて提出した期限後申告(特に①〜②のパターン)は、税務署から見れば「ツッコミどころ満載の格好のターゲット」です。
税務調査の事前通知が届いてから慌てるのではなく、税務署から連絡が来る前に、自主的に過去の無申告を正しく解消(事前修正・期限後申告)することが、最大のペナルティ(重加算税など)を防ぐ防御策です。
税理士の中には「経費の領収書が揃っていないから」「過去の帳簿がないから」という理由で、無申告案件の対応を嫌がる事務所も多く存在します。
しかし、梁瀬会計事務所では、無申告・期限後申告の解決実績が豊富にございます。 領収書が手元に少ない場合でも、過去の銀行口座の履歴や現場の状況から合理的に経費を積み上げるノウハウを持っていますので、安心してご相談ください。
「過去5年分の税金を一括で払えるか不安……」という場合もご安心ください。当事務所では、申告後の税務署との「分割納付(納税の猶予)」の交渉まで徹底的にサポートいたします。
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