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節税対策として車を購入するのはあり?
私の顧問先を見てみると、車を経費処理している事業者が圧倒的に多いです。顧問先の大部分が愛知県内であり仕事で車を使うことが多いですし、一人親方や建築業であればハイエース率がとても高いです。車を経費処理していない事業者としては、自宅で仕事ができるような人たちでしょうか。東京の顧問先は車を経費処理していない事業者のほうが多いです。駐車場などの維持費も高いですし、建設業のように機材を持ち運ぶ必要がない業種であれば車は必要ないと思います。
今回は、車を経費処理することについてお伝えします。
【目次】
- 経費扱いできる車は
- リセールのよい車は大して節税にならない
- 経費にはなるけど、お金も減る
- 梁瀬会計事務所のスタンス
1.経費扱いできる車は
とにもかくにも事業として使っていることです。その大前提の下、事業で使っていることを客観的に説明できることです。今までの税務調査では車の経費性について争ったことはほとんどありません。理由は単純でアグレッシブに車を何台も経費処理している方がいなかったからです。例えば、建設業の一人親方でハイエースのみを経費処理していた場合、事業で使っていることが明らかすぎて税務調査で論点にもならないです。フェラーリなどの高級車も基本的には同じ理屈です。仮に高級車を経費処理している顧問先が税務調査に選定された場合、通常の車と同じ理屈で戦うことになります。
2.リセールのよい車は大して節税にならない
1,000万円の車を購入すると、耐用年数の期間にわたって1,000万円相当の減価償却費を計上することができます。その後、全額償却した後に1,000万円で売却したとすると、1,000万円の売却益が発生するためトータルの損益は0円です。したがって、仮に購入金額よりも高い値段で売れた場合はトータルの損益がプラスなので節税にさえなりません。保険代、ガソリン代、車検代等の維持費を経費として認識できるので、そのあたりを加味する必要があるものの、売却時の税金を意識していない方もいるのでご注意ください。
売却時の税金が事業所得ではなく譲渡所得として認識する点に特徴があるものの、個人事業主の場合も考え方は同じです。
逆に言うと、リセールの悪い車は節税効果が高いといえます。例えばメルセデスベンツのSクラス、BMWの7シリーズなどの最上級グレードは、相対的にリセールが悪いと言われています。理由はよくわかりませんが、新車価格が高いことも大きな要因ではないかと。
こういった事情もあり、基本的にメルセデスベンツのSクラスに乗っている方はほとんど法人名義なんだろうなと勝手に推測しています。そして、個人名義で購入されている方は本当にお金持ちなんだとも思います。本当に私の勝手な思い込みですが。メルセデスベンツのHPをチェックしましたが、Sクラスは1,400万円からのようです。ラグジュアリー感であったり快適性であったり、高額に見合った価値があるのだと思います。
念のためにお伝えしておくと、リセールの良い車のほうが絶対にいいです。確かに支払う税金は増えますが入ってくるお金も増えるので。
私の顧問先にも、ブランディングのために外車が必要と判断して購入している人がいます。その方は外車であることが重要らしく、中古で100万円から200万円程度の車を定期的に購入していますが、毎回下落率20%程度で下取りに出しています。車に詳しい方で値下がりにくい車種を選んでいるそうですが、資金繰り的に非常に効率的にやりくりしています。
3.経費にはなるけど、お金も減る
車が好きだったり、ブランディングのために高級車が必要であったり、仕事のモチベーションアップのためだったり、事業として使うことが大前提ですが、スーパーカーなどの高級車を経費処理する方はたくさんいらっしゃると思います。私自身、高級車を経費処理すること自体は何ら問題ないという立場です。
しかしながら、絶対に考えなければならないことは資金繰りの問題です。車の購入はキャッシュアウトを伴いますので、顧問先から高級車を購入したいと相談を受け、資金繰り的にアウトであれば必ず止めます。今まで何度も止めています。逆に資金繰り的に何ら問題なければ、仕事のモチベーションが上がるといった理由でも買っても大丈夫ですよと伝えています。勿論、仕事で使うことが大前提です。
今は自動車ローンの金利がとても低いので、キャッシュではなくローンで買うことをお勧めしています。ディーラー等に紐づくローンではなく銀行のローンを活用してください。借入の検討は資金繰りの観点で必須です。
4.梁瀬会計事務所のスタンス
最後に弊所のスタンスをお伝えします。基本的に車の経費処理が認められるか否かは顧問先の使い方とその根拠資料の準備なので、顧問先が責任を負っているというスタンスです。したがって、税理士としてできることは仕事で使ってください、客観的に説明できるようにしてください、という事をフェラーリが認められた裁決例を参考に予め説明することです。顧問先が責任をもって事業用として使用し客観的な資料を準備していた場合、万が一税務署側が否認しようとしてもそれは戦います。客観的な資料がある以上、そもそも否認しようとしないと思いますが。