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お金が減ってしまうダメな行動
顧問先の業績推移を確認していると、当たり前の話ですがコロナの影響は良くも悪くも影響が大きいことを実感させられます。需要そのものが劇的に減ってしまった業界は、1企業でできることはかなり限られていますがそうは言ってられないので、トライアンドエラーを続けながら何とか売上を確保している状況です。コロナ前後では事業環境は確実に変化しますので、その変化に合わせて会社も会計事務所もかわっていく必要があるし、変わることができない場合は退場するしかないのでしょう。
本題です。前回のコラムで会社のお金を増やす経路についてご紹介しました。そして、取り上げた経路で最も大切なのが利益を積み重ねてお金を増やす事です。今回は利益を積み重ねてお金を増やす事についてもう少し詳しく取り上げます。
利益を積み重ねる事について、どのように売上を増やすのかといった話はしません。それは怪しげなコンサルタントにお任せします。今回はあくまで税理士的な視点で、こういった事は止めましょうという事をお話しします。
【目次】
- 税理士の言いなりで節税商品に手を出す
- 節税商品はまずお金が出ていく
- 節税商品は課税の繰り延べである
- 高額商品を購入する
- 税金を払いたくないから経費を使う
- まとめ
1.税理士の言いなりで節税商品に手を出す
ここでのポイントは、タックスプランニングを考慮せずに税理士の言いなりで買うのはダメという事です。会社を長く経営していると、黒字になったり赤字になったりするものです。そこで、業績が絶好調な時に正直に税金を払うのではなく、いったん税金を繰延べるために節税商品を購入し、将来の不確実性に対処するためにその節税商品で将来にわたってお金を稼いでもらうというやり方は理にかなっています。ここで大事なのは稼ぐことができる節税商品です。従って信頼できる人に紹介してもらう必要があります。少なくとも、営業電話で紹介されるような不動産は止めましょう。そういった不動産は基本的にプロに見向きもされなかった不動産を無知な私たちに売りつけようとしている可能性がとても高いので。
とはいえ、そもそもタックスプランニングがとても難しいので(要は将来を予測するのは難しい)、私は節税商品を勧めることはほとんどありません。
全損の保険、海外不動産、ドローン投資など色々な節税商品がありましたが、税制改正によりこれらの投資は節税目的ではうまみがなくなっています。とはいえ、今後も様々な節税商品が発明され、それを税制改正で蓋をしめるという攻防が続くはずです。そして、今後もこれからも共通するであろうことは、節税商品はまずお金が出ていくという事、課税の繰り延べであるという事です。
1.節税商品はまずお金が出ていく
海外不動産を購入する場合は当然にお金が必要です。まず多額のお金が出ていき、不動産の運用収入でお金を取り戻していくイメージです(加えて節税メリットもある)。勿論、利回りが良ければトータルでは儲けが出る可能性もありますが、今回のポイントはあくまで先にお金が出ていくという事です。
極端な話ですが、1億円の海外不動産を購入した翌年にコロナが発生し、資金繰りが厳しくなったとします。海外不動産をすぐに売却できればいいですが、そう簡単にはいきません。そして銀行からも与信上お金を借りることが不可能であれば倒産です。もしかすると、海外不動産を購入しなければ倒産しなかったかもしれません。極端な話ではあるものの、可能性としてはありうる話なのです。
繰り返しになりますが、大事なことはタックスプランニングです。業績が絶好調なときは十分な余裕資金もあるでしょうから、節税商品を購入し、将来に備えるのはありです。しかし、一部の税理士事務所は手数料欲しさに安易に節税商品を勧めるようです。あとでトラブルになる可能性も大いにありうるので(特に不動産と保険)、よくそんな営業できるなと思いますが。本当にそういう人いますからね。手数料収入の味を占めてしまうとなかなかやめられないんでしょう。顧問先を見ていると、過去に保険をかけすぎた方が一定数います。保険のセールスの方に不安を煽られ、過度に加入されている方が多いのでしょう。勿論、保険は何かあった時に救ってくれるので、必要な保険に加入すること自体は何ら問題ありません。過度に加入することがどうなのか?という話です。その場合は、必要に応じて見直しも検討してもらっています。
私の顧問先でいうと、そもそも当税理士事務所が設立して間もないため、顧問先も若い会社が多く、多額の余裕資金がある訳でもないため、お金が出ていく節税はせずに税金を払ってお金を貯めてもらうようにしています。したがって、積極的には節税商品をお薦めしていません。節税商品は、資金が余っている会社が活用するものだと私は考えています。
2.節税商品は課税の繰り延べである
節税商品は、トータルで見ると節税になる訳ではありません。当初は税金を減らすことが可能ですが、その減らした分は後々税金が増えます。そのため、その特徴を理解した上で、スケジューリングが大切という事になります。節税商品と聞くと、税金が安くなるだけという印象を受けますが、必ずしもそうではない事を理解しなければなりません。皆様の顧問税理士も当然この事を理解しています。それを教えてくれるかどうかは知りませんが。
一番最悪なパターンは、節税商品を購入したものの、その商品で全く稼げずオワタになるパターンです。投資不動産でよくあるパターンです。繰り返しになりますが、私は節税商品として業者から営業される不動産は絶対に買いません。本当に稼げる可能性の高い不動産であれば営業しなくても勝手に売れますから。買うとしたら、信頼できる(付き合いのある)不動産に紹介された場合のみです。だからこそ、将来不動産投資を考えている方は、信頼できる業者を探すことから始めるとよいのではないでしょうか。
2.高額商品を購入する
節税商品と同じです。高額な車を購入するには多額のお金が先に出ますので、お金を増やすという意味では宜しくない行動です。そのため、顧問税理士としては資金繰りという観点でシビアに話を進めます。それでも車を買いたいという事であれば、資金繰り的に問題にならない場合に限り、最終的には買っていいですよと伝えています。しかし、明らかに見合っていない車を購入しようとした顧問先については全力で止めています。今のところ、そのアドバイスを皆さん聞いてくれているので、素敵な顧問先ばかりです。
これまでの見解から外れてしまう判断ですが、自分が好きな車を購入することで仕事のモチベーションが上がる人は確実にいます。なぜなら私もそうだから。私の顧問先でも、上位種のレクサスを購入した後に売上がどんどん増えていき、売上が前年比50%増を達成しそうな企業もあります。私は、人生1度きりなので、可能な限り自分が思うように生きたらいい!という考えが根底にあるので、資金繰り的に問題ないことが大前提ですが、モチベーションにつながるような事を止めることはしないです。それと会社で買う車なので、事業用で使ってくださいね!という事は必ず伝えています。
以前、顧問先から高級車(ポルシェよりさらに高いスーパーカー)を法人で購入したいという相談がありました。事業用で使う事はほとんどないとの事でしたので、ご自身の役員報酬で買ってくださいと伝え、実際に自分の役員報酬で購入してくれました。全くごねることなかったですし、こちらも素敵な顧問先です。
最後に改めてお伝えしますが、節税商品以上に、無駄に高額な商品(車だけでなくゴルフ会員権など)は買うべきではないです。社長がメルセデスベンツに乗る必要はなく、従業員と同じような社用車に乗ればいいのでは?というのが資金繰りという視点で考えれば正解ですので。しかし、それだけだと人生楽しくないじゃんという事です。社長だけいい思いをしていると、従業員のモチベーションが落ちる可能性もあるのでその点は注意が必要ですが。
3.税金を払いたくないから経費を使う
完全にNGの行動です。例えば、税金を払いたくないから、元請や外注先と頻繁に食事に行こうとする人がいるかもしれません。税金を払いたくないから無駄な経費を使う行動は、確実に税金の減少額以上にお金が出ていくので、あり得ない行動です。当税理士事務所の顧問先に対しては、この行動は絶対にダメ!と伝えています。だから、このような馬鹿な行動はしていないはずです。
勿論、接待を重ねることで売上を確保している顧問先もいます。飲食だったりゴルフだったり。売上拡大の方法は様々ですので(その方法の是非はここでは問いませんし、売上に対する交際費が多いので減らしましょう!と安易にいう税理士もいたりする?)、売上につながる経費は当然OKです。
4.まとめ
お金が減ってしまうNGな行動を取り上げました。他にもNGな行動はあると思いますが、とりあえず特徴的な例を取り上げてみました。繰り返しになりますが、節税商品は安易に購入するのではなく、出口戦略を含めたタックスプランニングがとても大切です。その点は、顧問税理士にしっかり確認するようにしましょう。最後に繰り返します。節税(課税の繰り延べ)商品を検討する際に大事なことは、①その節税商品が稼げるかどうかという投資判断、②タックスプランニングの2点です。富裕層はより利回りの良い商品が回ってきますが、特に中小企業・零細企業の場合、①をよくよく考えると、ほとんどの節税商品がいまいちという判断になりがちです。
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