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税務調査では、電話やメールなどの履歴を確認されることも
税務調査では、確定申告書が正しいか否かを確認するために、請求書、領収書、納品書、レシートなどあらゆる資料をチェックされます。それ以外にも電話の履歴やメールの履歴が確認の対象になる場合があります。当税理士事務所が新規で立ち会う税務調査は、顧問税理士がいない小規模事業者が多いこともあり、電話やメールの履歴まで確認されることはまれですが、可能性がないとは言えないため、対策を含めてご紹介します。
【目次】
- 税務調査でメール等が確認される根拠
- 税務調査で全てのメールを見せろと言われたら
- 税務調査前にメールを削除することは
- まとめ
1.税務調査でメール等が確認される根拠
国税通則法74条の2では、税務署や国税局の調査官は、帳簿書類その他の物件の提示もしくは提出を求めることができるとされています。メールは、その他の物件に該当するという事ですが、この書きぶりから確定申告書が正しいことを確認するためであれば、関連する資料であればどういったものでも提出しなければならないことになります。
2.税務調査で全てのメールを見せろと言われたら
例えば、売上や外注費などの期ズレを確認するために、営業担当者や経理担当者のメール履歴を全て提出してくださいと言われたらどのように対処すべきでしょうか。そういわれてしまうと全部提出しなければならないような気もします。しかし、メールの履歴は見せたくはないはずです。取引先に迷惑をかける可能性もありますし、取引先と秘密保持契約を締結しているのであれば、事前に取引先に了承を得る必要もあるでしょう。このような事情があるからという理由ではありませんが、私は必ずしも全て見せる必要はないと考えています。その理由をこれからご説明します。
税務調査での対処方法
先ほど取り上げた国税通則法74条の2では、調査官は、調査について必要があるときは、資料の提示・提供を求めることができると明記されています。つまり、調査に必要でない資料は提出する義務はありません。当然、調査に必要ではないメール履歴も提出する義務はありません。従って、私たちの対処方法は、調査官が確認したい取引を指定してもらい、その取引に係るメールを正直に提出すればよいのです。それでも全メールを提出してほしいといわれたら、安易に応じすことなく、全メールを提出しなければならない合理的な理由を問いただしてください。税務調査は交渉事なので、何でもかんでも調査官の言いなりになってしまうと、税務署が描くストーリーで話が進んでしまいます。それは避けなければなりません。勿論、最終的に全メールを提出しても問題ありません。膨大なメールを提出することで、調査時間を消費させるという戦略もあり得ますし。
3.税務調査前にメールを削除することは
当然にそういった事はやめるべきです。理由は簡単でそれがバレたら重加算税が課される可能性が極めて高いからです。しかもメールの削除は簡単にバレますよ。税務署・国税局は国家権力ですからメールの復元は可能ですし、メールは複数の人に送っているので、その全員分を削除するのは難しいですよね。そういった費用対効果の低いことはやめましょう。
4.まとめ
今回はお伝えしたかったことは、調査に必要と判断したら、電話やメールの履歴も見せなければならないという事です。その可能性は低いとしても、その可能性があることがわかっているだけで、より適切な事前対策を検討することができます。税務調査は事前準備が本当に大切ですので、ご認識ください。
当税理士事務所は、調査官の理不尽な要求にもしっかりと対応します(実際に、税理士がついていればそのような理不尽な要求はそうそうありませんが)。当税理士事務所は最初の相談は無料で受けていますので、その無料相談でも可能な限りの事はお伝えします。そして、税務調査の立会いを依頼した場合の料金は広告費にお金をかけていない分、他の税理士よりも安く設定しています。
国税通則法
第七章の二 国税の調査 (当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)第七十四条の二 国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員(税関の当該職員にあつては、消費税に関する調査(第百三十一条第一項(質問、検査又は領置等)に規定する犯則事件の調査を除く。以下この章において同じ。)を行う場合に限る。)は、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(税関の当該職員が行う調査にあつては、課税貨物(消費税法第二条第一項第十一号(定義)に規定する課税貨物をいう。第四号イにおいて同じ。)若しくは輸出物品(同法第八条第一項(輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税)に規定する物品をいう。第四号イにおいて同じ。)又はこれらの帳簿書類その他の物件とする。)を検査し、又は当該物件(その写しを含む。次条から第七十四条の六まで(当該職員の質問検査権)において同じ。)の提示若しくは提出を求めることができる。