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税務調査では、調査官が奥様に話を聞くことも
このコラムを公開した時期は、税務調査が佳境に入っている方も多いと思います。皆様の税務調査の結果がうまくいくことを祈っています。今回は個人事業主や一人会社の税務調査でありうる状況についてお伝えします。それは、税務署の調査官は、個人事業主の奥様や両親といった税務調査に対して直接の対象ではない方にも質問をする場合があるという点です。
【目次】
- 誰が確定申告書を作成しましたか
- 確定申告書が誤っている
- 売上が間違っている場合
- 経費が間違っている場合
- 本人が悪いことをしていなくても重加算税はありうる
- まとめ
1.誰が確定申告書を作成しましたか
税務署の調査官が奥様(両親の場合もありますが、以後は奥様に統一します)に質問をするのはどういう時でしょうか。それは奥様が確定申告書を作成している場合です。本当は税理士を除き本人以外が確定申告書を作成することはできないのですが、税務調査とは直接関係ないため、調査官はその点は突っ込みません。税務調査は、提出した確定申告書が正しいか否かを確認する作業ですので、調査官は、誰がどのように作成したのか確認したいと考えます。その結果として、その確定申告書を作成した人に確認しなければならない事もありうるわけです。
私が税務調査に立ち会った案件でも、個人事業主の奥様が確定申告書を作成しているケースも多く、その一部で奥様が登場しました。本人が、俺は何もわからないからという理由で、最初から最後まで奥様が立ち会ったケースもあります。
2.確定申告書が誤っている
奥様が確定申告書を作成したからといって、必ず奥様が立ち会う訳ではありません。では、どういうケースで奥様が立ち会うのでしょうか。それは確定申告書が誤っているケースです。
1.売上が間違っている場合
売上が間違っている場合、明らかにミスと言える場合を除き、調査官は間違った理由を奥様に必ず確認しようとします。なぜなら、間違った理由によっては重加算税を課すことができるためです。ご主人には内緒で奥様が良かれと思って売上を過少に申告していた場合、ご主人は税務調査で初めて気づくので、税務調査以外でも修羅場になりそうです。私が立ち会った案件でも、ご主人は正しく申告していたと思っていたが、奥様が売上を過少に申告しているケースがありました。税務調査は私が立ち会いましたが、東海地区の方ではなかったこともあり、税務調査後は顧問先として関与していないため、夫婦間でどのように話し合ったかは知る由もなしです。
2.経費が間違っている場合
これは程度によります。仕入や外注費が間違っている場合、それも重加算税の可能性があるため、奥様に確認する可能性が高いです。私が関与したケースでは、奥様が外注費を過大に計上していて、その理由を奥様から直接聞いた案件がありました。このケースでは、私にも事前に教えてくれなかったため、事前対策ができず重加算税が課されてしまいました。何かやばいと思って税理士に相談したのであれば、必ず洗いざらい税理士に伝えなければなりません。そうして頂かないと、税理士も適切に納税者を守ることができません。
その他経費については、プライベート支出を盛りだくさん入れていてもわざわざ奥様に直接確認する事は少ないです。あとで、本人(もしくは税理士)が奥様から確認の上、調査官に伝えるパターンが多いです。プライベート支出盛り沢山は、個人事業主では本当に多く、重加算税につながる可能性も低いためだと思います。
3.本人が悪いことをしていなくても重加算税はありうる
本人は何も悪いことをしていなくても、奥様が意図的に過少申告をしていた場合、重加算税が課されます。本当か嘘かは別として、「俺は不正に関与していないんだから問題ないだろう」では済みません。これで重加算税を回避できるのであれば、みんなそのように嘘つきますよね。そんなことは許されません。この点を詳しくご紹介したのは以下のコラムです。重加算税の具体例を6つ挙げていますが、その1つ目が今回の事例です。
税務調査にて個人事業主に課せられる重加算税とはどういったものか
4.まとめ
お伝えした通り、確定申告書は税理士を除くと本人しか作成することができない事が大原則です。ですので、奥様に作ってもらう事は本来はダメです。といっても、現実的に奥様が申告することはとても多いのが現状です。従って、仮に奥様に任せるとしても、必ず本人が申告書を確認するようにしましょう。税務調査の結果、夫婦関係に亀裂が入る可能性もあるのですから。