名古屋市で税理士・会計士をお探しなら梁瀬会計事務所「コラム・解決事例」ページ

営業時間:平日 9:00〜18:00(土日祝日も対応可能) 052-990-1575

CONTACT

News & Column

2021.10.04 コラム

ダメな税理士・会計事務所の特徴とは

会計事務所についての書籍を読みました。仕事が忙しくなかなか本を読むきっかけがなかったのですが(税務など仕事に直接関係のある本は読んでいますが)、子供のプールの送り迎えで、1時間ほど車で待つ時間があったのでその本を読んでみました。私の経験も反映させたうえでこの本の内容をご紹介します。今回はダメな会計事務所の特徴?についてまとめてみました。
読んだ本はこちらです。別の本を購入しようと思っていたところ、お勧め欄に掲載されていたので勢いで購入しました。アマゾンの評価も非常に高いです。

社長! こんな会計事務所を顧問にすれば あなたの会社絶対に潰れませんよ!

【目次】
  1. 粉飾決算に加担する
    1. 減価償却費を計上しない
    2. 翌期に計上すべき売上を今期に計上する
    3. 発生した経費を除外する
  2. 提出先に応じて決算書を複数作成
  3. 経費の大部分を雑費で処理している
  4. 節税に生命保険を勧める
  5. まとめ

ダメな会計事務所として、以下の特徴が紹介されていました。

1.粉飾決算に加担する

これは、過少に売上を計上する、過大に経費を計上するではなく、その逆のパターンです。つまり、売上を過大に計上する、経費を過少に計上するのです。前者の場合、確実に税務署に怒られ重加算税を課されるので絶対にダメなことですが、後者は、逆に税金を余分に払ってくれるので、税務署的には特に問題ありません。さすがに売上の架空計上は明らかに真実ではないので修正することになるでしょうが、経費の過少計上はそのままだと思います。では、税金を余計に払ってまでそのような粉飾をするのでしょうか?理由は簡単で、銀行対策です。では、具体的なやり方はどういったものがあるのでしょうか。

1.減価償却費を計上しない

私の実感としてもこれは多いです。ただこの手法は、銀行側もわかっているので、銀行は未償却分を調整した上で真実の貸借対照表及び損益計算書を作成します(実態BS、実態PLと呼ばれます)。私自身、金融機関の監査に携わっていますが、そういった調整を見るのは日常茶飯事です。

となると、金融機関が把握できるのであれば、この粉飾は意味がないため、そもそもやる意味がありません。むしろ悪影響しかありません。なぜなら、銀行はそういう調整をするような会社だと認識しますので。従って、黒字化するために減価償却費を調整しましょうと税理士事務所が言ってきた場合、金融機関のビジネスを全く理解していない可能性もあります。注意してください。

2.翌期に計上すべき売上を今期に計上する

本書で取り上げられていたのですが、私は黒字化のために売上の期ズレを意図的に調整する事例は知りません。銀行もこの手口は気づかないと思います。私の推測ですが、この手口が選ばれる理由は、税金の支払いという点で、トータルで見れば不利にならないからだと思います。つまり、今期売上を計上した場合、翌期に計上しなくて済むことから、トータルでは±0だからです。

しかし問題点もあります。税務調査で重加算税が課される可能性があります。単純な売上の期ズレであれば重加算税が課されませんが、この事例の場合、明らかに意図してやっているため重加算税が課されるリスクがあります(税金を減らす意図ではないですが)。この点からもよくない手法かなと思います。

3.発生した経費を除外する

実務ではこれが一番多いと思います。よく聞くのは税務調査で否認されやすい交際費の一部を除外するケースです。実際にそういった話を聞いたこともあります。この手口は銀行も気づかないですし、税務署も気づかないため、後々問題になることはほぼありません。しかし、無駄に税金を払う必要が出てくるので、そのデメリットを受け入れる必要があります。

当税理士事務所では、粉飾しないとまずい!という状況に遭遇したことがありませんが、今後もこの状況が続いてほしいものです。加担してと言われれば顧問契約を解除するだけですが。

2.提出先に応じて決算書を複数作成

前の税理士法人に勤務している時に、顧問先ではない単発の相談で同じような事例に遭遇しました。3年前くらいなのではっきりとは記憶していませんが、金融機関向けの決算書と税務署に提出している決算書が違っていたような気がします。バンクミーティングが開催される直前に相談を受けましたが、税理士法人として関わることはせずに、弁護士を紹介して終わりました。バンクミーティングが開催される時点でかなり厳しい状況だったはずです。しかも、不正案件だったと思うので、銀行の同意を得るのは相当難しいでしょう。今となっては倒産しているかもしれません。本書では、決算書が5通作成されているケースが紹介されていました。なかなかの強者です。私は関わりたくないですね。

3.経費の大部分を雑費で処理している

ここまでひどいケースってあるんですかね?交際費、寄付金、役員報酬、給与以外は全て雑費として処理していたそうです。理由は、課税所得に関係ないからとの事。これはあり得ないですね。税理士事務所が関わっていない個人事業主で多額の雑費計上している方は知っていますが、税理士事務所が関わってこれは意味が分かりません。税務調査に選定される可能性も高まりますし。さすがにこの税理士事務所は解約した方がいいです。

4.節税に生命保険を勧める

別のコラムでも書いたと思いますが、厳密には節税ではないんですよね。課税の繰り延べでしかありません。従って、節税(課税の繰り延べ)目的で生命保険に入ることは、当税理士事務所の顧問先には勧めません。とはいえ、今となってはほとんどの保険が法律改正で節税(課税の繰り延べ)目的が達成できませんが。本書でも指摘している問題点は、資金繰りが悪化する可能性がある点です。私が勧めない点もまさしくこの点で、保険をしきりに勧める税理士事務所は辞めた方が良いと思います。なぜ保険を勧めると思いますか?保険代理店から手数料を貰えるからです。

私も本当に必要と思えば、保険加入を提案します。そして、顧問先が保険に加入した場合、代理店によっては手数料をもらっています。しかし、本当に必要である可能性が高い顧問先しか代理店には紹介しません。そこまで必要と思えない顧問先まで紹介してしまうと、無駄な保険に入る可能性があるためです。今付き合っている代理店は、私のスタンスを理解してくれているので、とても助かっています。そもそも「顧問先を紹介してください」と会うたびに言われたら、関係を切ると思いますが。

保険はキャッシュアウトを伴うものと理解し、安易に保険に入ることは絶対に避けましょう。

5.まとめ

これ以外にも、「契約以外の事は一切やらない」、「威厳を保ちたがるが、対応が遅く、スピード感がない」、「会社のIT化を積極的に提案してくれない」などがありました。ダメな会計事務所の定義は確定的なものではないので、今回取り上げた事例が絶対ダメな税理士事務所とも言い切れません。とはいえ、同じような思いで、今の税理士に不満を持っている会社・個人事業主も多いでしょう。その不満をより明確にするためにこの本を読む価値はあると思います。不満が明確になれば、税理士の変更の動機付けにもなりますし、自分が求めている税理士が見つかる可能性も高まるのではないでしょうか。行動せずに不満を持続する位なら、行動してその不満を取り除きましょう!

 

 

 

この記事は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。また、この記事内容は結果を保証するようなものではありませんので、掲載されている情報を利用することで生じた、いかなる問題、損害等に対しても一切の責任を負いません。自己責任において、ご活用ください。