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税務調査が行われやすい時期とは
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されている地域は、新規の税務調査はストップしているようです(緊急を要するものを除く)。当税理士事務所が関与していた案件については、解除されたタイミングで再開され、今また緊急事態宣言が再発出されているものの、クロージングに向けて調査は進んでいます。国税局の方に伺うと、去年は再発出されたら途中の案件もストップしていたようですが、それだと調査件数がこなせないので、今は納税者の協力を得ながら可能な限り進めているとの事でした。件数をこなさないと脱税している会社・個人を取り締まる件数も増えないので、私もそうすべきだと思います。
2020年以降、税務調査の実施期間は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響をもろに受け、実質的にほどんど稼働していませんでしたが、通常は、税務調査が行われる時期というのは決まっています。今回は、税務調査が行われる時期についてお伝えします。
【目次】
- 税務調査は税務署の異動の影響が大きい
- 税務調査の時期
- 1月から3月の税務調査
- 4月から6月の税務調査
- 7月から8月の税務調査
- 9月から12月の税務調査
- まとめ
1.税務調査は税務署の異動の影響が大きい
税理士業界では当たり前の情報ですが、税務署の異動日は7月10日頃となっています。つまり、税務署の新体制は7月から開始されます。この点を念頭に、これから税務調査の時期についてお伝えします。
2.税務調査の時期
1.1月から3月の税務調査
税務調査はこの期間はほとんど行われません。なぜでしょうか?理由は簡単で、税務署も税理士もこの時期が一番忙しいからです。年明けは法人の年末調整、そして3月中旬に向けて個人の確定申告が始まりますので。法人課税部門の調査官もこの時期は、個人の確定申告業務のサポートを行うようで、法人部門/個人部門関係なく、税務署はとても忙しいそうです。
私たち税理士もこの時期はとても忙しいです。当税理士事務所の場合、確定申告だけお願いしますという依頼は受けていません。税務顧問を前提に最初の1年だけ受けることはありますが、継続的に確定申告だけお願い!というのは断っています。その理由は、この期間の仕事を増やしたくないためです。税務顧問を締結して定期的に連絡をとっていると、個人事業主の場合、12月末時点ではだいたい9月分まで集計を終えていますが、確定申告だけサポートしていると、得てして12カ月分を1月以降に一気にやることになります。
2.4月から6月の税務調査
税務調査はおこなわれますが、比較的軽い事案が多い傾向です。理由はさきほど取り上げた税務署の異動が関わっています。ある担当者がクロージングできていない調査事案があり、その担当者が異動するとどうなるでしょうか?その場合、新任の調査官に引き継いでもらう必要があります。これって手間ですよね。そのため、6月末には調査が終わりそうな比較的軽い調査が選定されているのだと思います。
当税理士事務所が担当している案件について、まん延防止等重点措置が解除された7月中旬に税務署から連絡がありました。調査官が替わりましたという報告です。本件は重たい案件であること、コロナ感染症で調査がストップしたこともあり、調査が始まってかなり時間が経過しています。このようなケースだと途中で調査官が替わることもあり得ます。
とにかく税務署側は7月以降に調査を持ち越したくありません。この税務署側の都合をうまく利用して交渉するというやり方も有効です。「6月中に納税者を説得するから、この点は認めてよ」等々。
3.7月から8月の税務調査
7月に各部門の調査チームが再編され、ここから税務調査が本格的にスタートします。とはいえ、税務調査の調査先を選定する必要があるため、上司が調査先を選定しつつ、少しずつ調査が開始される時期です。また、8月中旬に長期休暇があるため、その時期までに調査が終われそうな軽めの調査が選定される可能性も高い時期です。
4.9月から12月の税務調査
税務調査の最盛期です。8月の連休前には、税務調査先の選定も終えていますので、連休明け以降から、どんどん税務署から電話がかかってきます。税務調査に選定されたくないと思っている方たちがびくびくしながら過ごす期間でもあります。独立前に所属していた税理士法人時代も、8月中旬以降から税務調査の問い合わせが一気に増えました。毎年同じです。
また、この時期は調査官の力の入れ具合も違います。調査官は公務員ですが、ボーナスや出世には敏感なはずです。出世するには、高い評価を受ける必要がありますが、そのためには税務調査で重加算税を課すことだったり、多額の追徴課税を獲得することが大切となります。ではどの時期の調査で頑張る必要があるでしょうか。7月から12月の調査です。なぜなら4月から6月の調査で頑張ったとしても、7月の異動に係る評価には間に合いませんよね。従って、9月から12月の税務調査は重たい事案であるだけでなく、調査官もがんばりがちという2重苦の期間です。
3.まとめ
今回は税務調査の時期についてお伝えしました。時期によって厳しさが違うという点も大切ですが、税務署側は、6月末までに、もしくは12月末までに調査を終わらせたいという事情があることは頭の片隅に置いておきましょう。税理士を活用せずにこの点を考慮した交渉できるかとなると難しいかもしれませんが。関連するコラムもありますので参考にご覧ください。
税務調査の全体的な流れ:税務調査にはどのように対処すべきか。
無予告調査の対処方法:予告なしに税務調査が来た場合の対処方法について
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