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税理士はこれから儲けることが難しいのか
今回は、普段書いている内容とは異なり、税理士の稼ぎ具合について書きます。昔は儲かったよといった話を時々耳にするのですが、私が若手の部類ということもあり、古き良き時代の事はよくわかりません。独立した国税OBと話をすると、以前と比べると定年前に税務署を退職して、税理士として独立する方が減っているようです。税理士業界が、独立しても儲からない環境だからかもしれません。国税OBには、税務調査というわかりやすいスキルがあるので、集客力が伴えば結構儲かるのかなと思ったりもします。実際にネット広告を積極的に出している国税OBは結構います。しかし、最近特に増えたので、ライバルも多く、以前ほどは儲けるのは難しいのかもしれませんが。私が知っている国税OBは、能力が高いという事もあり、上手にやっています。
【目次】
- 税理士や税理事務所スタッフの仕事は減っていく
- 税理士報酬は右肩下がり…
- 今の税理士報酬の相場は
- 税理士は結局儲かるのか
1.税理士や税理事務所スタッフの仕事は減っていく
オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が2013年に発表した論文において、今後消滅する職業として、税務申告書代理者が上位にランクインされました。この論文をきっかけに税理士の仕事は逓減していくのではと言われています。
私の見解は、超長期的にはわかりませんが、そう簡単にはなくなることはないだろうという考えです。その理由は、経営者が税理士に求めるものは、申告書の作成業務というより、必要なときに相談できるパートナーとしての存在だと考えているからです。経営者は孤独ですから、適時に相談して、様々な不安を解消したいというニーズが必ずあります。私自身も、顧問先と話す内容は、税務相談よりも、資金繰りなどを含めた経営相談やプライベートに近い相談の方が圧倒的に多いです。また、AIが様々な業務を代替することで、人と人とのつながりが薄れていくからこそ、やっぱり人と話したい!という欲求も増えそうな気がします。しかし、AIで効率化できる部分、その最たる例が記帳代行ですが、記帳代行を主たる業務として経営している税理士事務所は、これまで通りの儲けは難しいかもしれません。また、顧問先とのコミュニケーションを重視せずに、記帳代行ばかりやっている税理士やそのスタッフも、給料が上がることは難しそうです。
税法は多岐にわたり、かつ難解で、毎年にように更新されていきます。そのため、法律をしっかりと(その趣旨や背景を含めて)理解していること、加えて多くの裁決事例を知識としてストックしている税理士は少数です。だからこそ、そのようなスーパーな税理士は、顧問先だけでなく、税理士へのサービス提供でもお金を稼ぐことができますので、生き残るのは当然として、稼ぐ力も段違いだと思います。
2.税理士報酬は右肩下がり…
税理士報酬が右肩下がりというのは、税理士へのアンケートなどからも事実のようです。その最大の理由は、平成14年に実現した広告規制の撤廃です。広告規制があった頃は、顧問先は、税理士報酬を比較することが難しく、税理士事務所の言うがままに払っていたのですが、現在は、”税理士 名古屋”や”税理士 東京”などで検索すると、たくさんの税理士事務所のホームページを閲覧することができ、価格も比較することができます。その結果、自分が払っていた報酬が高いことに気づき、価格破壊が起きたという流れです。
3.今の税理士報酬の相場は
freee認定アドバイザー(308名)が回答したものですが、面談回数が年1回の場合の税理士報酬がまとめられていました。
税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ
確認してみると、当税理士事務所の報酬は平均よりも安いようです。売上1,000万円未満については、戦略的に安く設定していますが、売上1,000万円以上についても、普通に安いですね…価格設定を失敗したかも…しかし、freeeの星上位の税理士事務所のホームページなどを確認すると、びっくりするような低価格を設定している事務所もあり、この平均報酬の設定だと、なかなか新規の顧問先獲得は難しいような気もします。当税理士事務所にとってライバルとなるような税理士事務所のホームページを確認しても同じように思います。
皆さんが税理士を選ぶ際、税理士報酬の相場を知ることが大切です。税理士報酬の相場は、ネットで検索するとたくさん出てきますので、確認してみてください。
4.税理士は結局儲かるのか
税理士報酬が右肩下がりである以上、税理士事務所全体の売上は逓減傾向にあるため、儲かりにくくなっているのは確かです。しかし、AIを活用することで経費も劇的に下げられる余地があります。例えば、freeeやマネーフォワードといった会計ソフトを活用することで、記帳代行業務に要していた人件費を大幅に削減できます。既に従業員を抱えている税理士事務所は、その部分を削減することは難しいですが、当税理士事務所のように新しい事務所は、開業当初から効率化を前提に経営しているので、経費が少ないです。そのため、ある程度売上が確保できれば、それなりに稼げるのではと期待しているところです。
例えば、個人の税理士事務所で、売上が1,000万円確保できた場合、自宅を事務所としていれば、経費は人件費100万円と諸経費100万円位でおさまるので、800万円の所得になります。それなりの所得ですよね。ただし、0からのスタートで、売上1,000万円確保するのはめちゃくちゃ大変なのですが…。また、自宅を事務所にしてしまうと集客力が低下するので、別に事務所を構えた方がよいと私は思います。当税理士事務所でも今後どうやって集客していくかについて、以下のコラムで整理してみました。
税理士の集客方法①これまでのやり方
税理士の集客方法②これからのやり方