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国外財産を追いかけろ!~国際徴収への取組~
国税庁のホームページもしくは国税庁動画チャンネルにて、表題の動画が公開されています。朝日新聞デジタルによれば、国税庁が78万円をかけて制作したようです。20分の動画で78万円って高いんですかね?この動画の目的は、富裕層が日本の徴収権限の及ばない国外に財産を移転させることで課税を逃れたとしても、「徴収共助」制度を使って海外財産を差し押さますよ!という事をアピールし、国外に財産を隠す富裕層への牽制が狙いのようです。
国税庁動画チャンネル
以下、私の感想です。
国外に財産を隠そうとする富裕層は、この徴収共助という制度は当然知っています。悪いことをしようとしている以上、リスクには当然敏感なので、徴収共助という制度があることを前提に財産隠しを試みるのが当然です。そのため、この動画では国外に財産を隠す富裕層を牽制する目的は達成できないんじゃないかなと。しかも、朝日新聞デジタルによれば、この徴収共助は2013年に導入し、2020年6月までに54件要請し、9億円徴収していると記載されていました。この記事をみて思ったのが、件数も金額も少ないなということです。これから国外に財産を隠そうとする富裕層が、この朝日新聞デジタルの記事を読むと、バレる可能性は低いなと思ってしまうリスクもある気がします。また、最近の国外への財産隠しのトレンドは仮想通貨ですかね。国税庁も海外関連の仮想通貨はなかなか捕捉できていない気がします。
最後にどうでもよい話です。動画の最後の方で、女性の演者さんが「真面目に納税している人たちが報われないじゃないですか。そんなことは絶対に許されないんです。」といった会話があります。たくさんの税務調査に立ち会ってきましたが、ここまで正義感をもって仕事に取り組んでいる人は必ずしも多くはない気がします。調査官と話をしていると、税務調査の件数をこなさないといけない、手続きが煩雑になったといったことをよく聞くので、正義感をもって仕事に取り組む余裕なんてない気がします。しかも、納税者には変な人や怖い人もいますからね。。。本当にストレスフルな仕事なんだろうなとこの動画をみて改めて感じました。動画の趣旨とは全く関係のないことを考えてしまいました。