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2021.05.31 コラム解決事例(税務顧問)

自宅家賃の経費処理(家事関連費)について

個人事業主の顧問先から自宅家賃の一部を経費にできますかという質問がありました。自宅家賃の一部を事業用として経費処理する方は、当税理士事務所の顧問先にも一定数いるのですが、所得税法等を厳密に適用すると、意外と経費処理するハードルは高いです。そこで、今回は自宅家賃の経費処理、つまり家事関連費の実例をご紹介します。

【目次】
  1. 家事関連費とは
  2. 自宅の一部を不定期に使っているケース
  3. 家事関連費の実務での対応方法
  4. まとめ

1.家事関連費とは

家事上の経費に関連する経費の主たる部分が事業所得等を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつその必要である部分を明らかに区分することができる場合、その区分できる部分を経費に処理できるとされています。業務の遂行上必要であることはいいとして、必要である部分を明らかに区分できるかが実務では重要なポイントになります。

2.自宅の一部を不定期に仕事で使っているケース

個人事業主の顧問先から相談を頂いた内容は、普段はプライベートで使用しているスペースを仕事用として使う事があるのですが、そのスペース相当の家賃を経費処理できますか?という質問でした。その質問に対し、私は厳密には難しいですねと回答しました。理由は、必要である部分を明らかに区分することが難しいためです。つまり、そのスペースが事業専用で使用している場合は、明確に区分できるため、自宅に対する当該スペースの割合相当を経費として処理することはできます。法律を厳密に解釈した場合、そのようになってしまいます。

3.家事関連費の実務での対応方法

家事関連費を経費処理する要件である必要である部分を明らかに区分することができるか否かですが、実務ではそこまで意識せずに計上していることがほとんどではないでしょうか。その理由として、税務調査でもそこまで厳密に指摘されない事が多いためです。実際に、私が立ち会ったケースの場合、50%経費処理していたものを30%に削減されたりとか、その程度です。またよく言われている一定割合自己否認しておけば、そこまで問題ならないという点も同様です。例えば、携帯代や車の償却費を100%経費処理するのではなく、80%程度経費処理するようなものです。確かに、自己否認しておくと、ほとんど問題とならないのが実情なので、私の実感とも整合しています。しかし、税務署が厳密に解釈した上で指摘してきた場合、ほとんどのケースで負けると思いますので、その点はご認識ください。

4.まとめ

当税理士事務所は、実務でどのようにお伝えしているかというと、自宅家賃については、とにかく仕事でしか使わないスペースを確保した上で(1つの部屋を完全に仕事部屋にするのがベター)、かつ税務調査で調査官にそのスペースを見られても、きっちりと説明できるようにしてほしいと伝えています。また、携帯代や車の償却費などそもそも明確に区分することが難しい科目を経費処理したい場合は、今回お伝えしたリスクを考慮した上で、何%事業で使用しているかをご自身で判断して頂き、その事業割合で経費処理するしかないですねとお伝えしています。繰り返しになりますが、業務使用割合を明確にできない場合には否認される可能性があります。

所得税法

(家事関連費等の必要経費不算入等)

第四十五条 居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。一 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの
二 所得税(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を行う居住者が納付する第百三十一条第三項(確定申告税額の延納に係る利子税)、第百三十六条(延払条件付譲渡に係る所得税額の延納に係る利子税)、第百三十七条の二第十二項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予に係る利子税)又は第百三十七条の三第十四項(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予に係る利子税)の規定による利子税で、その事業についてのこれらの所得に係る所得税の額に対応するものとして政令で定めるものを除く。)
三 所得税以外の国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税並びに印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の規定による過怠税
四 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税及び特別区民税を含む。)
五 地方税法の規定による延滞金、過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金
六 前号に掲げるものに準ずるものとして政令で定めるもの
七 罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するもの及び外国又はその地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するものを含む。)並びに過料
八 損害賠償金(これに類するものを含む。)で政令で定めるもの
九 国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)の規定による課徴金及び延滞金
十 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定による課徴金及び延滞金(外国若しくはその地方公共団体又は国際機関が納付を命ずるこれらに類するものを含む。)
十一 金融商品取引法第六章の二(課徴金)の規定による課徴金及び延滞金
十二 公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)の規定による課徴金及び延滞金
十三 不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)の規定による課徴金及び延滞金

所得税法施行令

(家事関連費)

第九十六条 法第四十五条第一項第一号(必要経費とされない家事関連費)に規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。
一 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費
二 前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録等に基づいて、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費

所得税法基本通達

(業務の遂行上必要な部分)
45-2 令第96条第1号に規定する「主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。

 

 

 

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